亜鉛の1日あたりの摂取基準量とその作用・働き、および筋力トレーニングやダイエットにおける関わりについて解説します。
目次
亜鉛とはどんな物質?
亜鉛(あえん、英: zinc、羅: zincum)は原子番号30の金属元素。元素記号は Zn。亜鉛族元素の一つ。安定な結晶構造は、六方最密充填構造 (HCP) の金属。必須ミネラル(無機質)16種の一つ。
生体では鉄の次に多い必須微量元素で、体重70 kgのヒトに平均2.3 g含まれる。生物学的半減期は280日とする報告がある。100種類を超える酵素の活性に関与し、主に酵素の構造形成および維持に必須である。それらの酵素の生理的役割は、免疫機構の補助、創傷治癒、精子形成、味覚感知、胎発生、小児の成長など多岐にわたる。炭酸脱水酵素が最も重要だと思われる。そのほか、加水分解酵素の活性に関わり、DNA や RNA のリン酸エステルを加水分解によって切断するので細胞分裂に大きく関わる。
亜鉛の作用と働き
亜鉛は人間の体内におよそ2,000 mg存在しています。なかでも、歯・骨・肝臓・腎臓・筋肉に多く含まれています。
亜鉛は多くの場合、体内のタンパク質と結合しており、以下のような作用・働きを持ちます。
①酵素の構成
②酵素の活性化
③ホルモン合成と分泌調節
④DNA合成
⑤タンパク質合成
④免疫反応の調整
ミネラルとは?
ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム・リンは多量ミネラル、鉄・亜鉛・銅・マンガン・ヨウ素・セレン・クロム・モリブデンは微量ミネラルとして、厚生労働省により基準が設定されています。
亜鉛の不足と過剰摂取
亜鉛が不足すると?
亜鉛が不足することにより、味覚障害・皮膚炎・食欲不振などが発生することが知られています。
亜鉛を過剰摂取すると?
急性亜鉛中毒では胃障害・めまい・吐き気、継続的な過剰摂取の場合は貧血・免疫障害・神経症状・下痢・HDLコレステロール低下などが起こることが知られています。
亜鉛とトレーニング
亜鉛はタンパク質合成とホルモン合成・分泌調整に関わる物質ですので、筋力トレーニングにも大切な物質と言えるでしょう。
亜鉛が多く含まれる食品
牡蠣
牡蠣100gには亜鉛が約13.2mg含まれます。
牡蠣100gあたりのビタミン・ミネラル
ビタミンA 22μg
ビタミンE 1.2mg
ビタミンB1 0.04mg
ビタミンB2 0.14mg
ナイアシン 1.4mg
ビタミンB6 0.08mg
ビタミンB12 28.1μg
葉酸 40μg
パントテン酸 0.59mg
ビオチン 4.5μg
ビタミンC 3mg
ナトリウム 520mg
カリウム 190mg
カルシウム 88mg
マグネシウム 74mg
リン 100mg
鉄 1.9mg
亜鉛 13.2mg
銅 0.89mg
マンガン 0.38mg
ヨウ素 73μg
セレン 48μg
クロム 4μg
モリブデン 4μg
パルメザンチーズ
パルメザンチーズ100gには亜鉛が約7.3mg含まれます。
パルメザンチーズ100gあたりのビタミン・ミネラル
ビタミンA 240μg
ビタミンD 0.2μg
ビタミンE 0.8mg
ビタミンK 15μg
ビタミンB1 0.05mg
ビタミンB2 0.68mg
ナイアシン 0.1mg
ビタミンB6 0.05mg
ビタミンB12 2.5μg
葉酸 10μg
パントテン酸 0.5mg
ナトリウム 1500mg
カリウム 120mg
カルシウム 1300mg
マグネシウム 55mg
リン 850mg
鉄 0.4mg
亜鉛 7.3mg
銅 0.15mg
抹茶
抹茶100gには亜鉛が約6.3mg含まれます。
抹茶100gあたりのビタミン・ミネラル
ビタミンA 2400μg
ビタミンE 28.1mg
ビタミンK 2900μg
ビタミンB1 0.6mg
ビタミンB2 1.35mg
ナイアシン 4mg
ビタミンB6 0.96mg
葉酸 1200μg
パントテン酸 3.7mg
ビタミンC 60mg
ナトリウム 6mg
カリウム 2700mg
カルシウム 420mg
マグネシウム 230mg
リン 350mg
鉄 17mg
亜鉛 6.3mg
銅 0.6mg
炒り胡麻
炒り胡麻100gには亜鉛が約5.5mg含まれます。
炒り胡麻100gあたりのビタミン・ミネラル
ビタミンA 1μg
ビタミンE 0.1mg
ビタミンK 7μg
ビタミンB1 0.95mg
ビタミンB2 0.25mg
ナイアシン 5.1mg
ビタミンB6 0.6mg
葉酸 93μg
パントテン酸 0.56mg
ビオチン 11.7μg
ナトリウム 2mg
カリウム 400mg
カルシウム 1200mg
マグネシウム 370mg
リン 540mg
鉄 9.6mg
亜鉛 5.5mg
銅 1.66mg
マンガン 2.24mg
セレン 10μg
クロム 4μg
モリブデン 92μg
※数値は「食品成分データベース(文部科学省)」を参照しています。
亜鉛の1日の摂取基準量
国立健康・栄養研究所によれば、亜鉛の1日あたりの摂取基準量は成人男性で約10mg、成人女性で約8mgとされています。
必須ミネラル・ビタミンの個別解説記事の一覧
必須ミネラル
カリウム|カルシウム|ナトリウム|マグネシウム|リン|鉄|亜鉛|銅|ヨウ素|マンガン|セレン|クロム|モリブデン
必須ビタミン
ビタミンA|ビタミンB1|ビタミンB2|ビタミンB3(ナイアシン)|ビタミンB5(パントテン酸)|ビタミンB6|ビタミンB7(ビオチン)|ビタミンB9(葉酸)|ビタミンB12|ビタミンC|ビタミンD|ビタミンE|ビタミンK
トレーニングに有効なタンパク質食材
筋力トレーニング後の食材として欠かせないのが高タンパク質・低カロリーな肉類・魚介類です。
そして、常にトレーニングに有効な食事を摂取するためには、日によって品質にばらつきのないよう、あらかじめ品質を確認した食材を冷凍ストックしておくといった工夫が有効的です。
▼具体的なタンパク質食材例
食事・栄養に関する記事
筋力トレーニングと食事・栄養に関する情報については、下記の記事をご参照ください。