アイスホッケーのための筋トレメニューを、上半身・下半身・体幹それぞれから厳選して解説するとともに、自宅(自重・チューブ・ダンベル)とジム(マシン・バーベル)の別に具体的な1週間のプログラムの組み方を例示してご紹介します。
目次
アイスホッケーとは
アイスホッケー(英: ice hockey)は、天然または人工氷のスケートリンク上で、スケート靴を履いて行う団体スポーツ競技である。陸上で行われるホッケーの形式を氷上に持ち込んだものである。2チームが長方形(楕円形)をしたリンクの中で、スティック (Ice hockey stick) (長い柄の先端部分に角度をつけ湾曲させた杖状の用具)を用いて硬質ゴムでできた扁平な円柱状の パックを打ち合い、相手方のゴール (Goal (ice hockey)) に入れることでその得点を競うゲームである。『氷上の格闘技』とも呼ばれている。漢字を当てて氷球(ひょうきゅう)と表記される。引用:wikipedia「アイスホッケー」
アイスホッケーの主要な国内団体
アイスホッケー筋トレの対象となる筋肉
アイスホッケーのためには、基本的には全身の筋肉をまんべんなく鍛えていくことが理想です。そして、その対象となるアウターマッスルと体幹インナーマッスルおよびそれらの主な作用は以下のようになります。
上半身の押す筋肉グループ
大胸筋:胸の筋肉(腕を前に押す作用)
三角筋:肩の筋肉(腕を上げる作用)
上腕三頭筋:腕の後ろの筋肉(肘を伸ばす作用)
前腕伸筋群:前腕の外側(手首を伸ばす作用)
上半身の引く筋肉グループ
広背筋:背中の筋肉(腕を前と上から引く作用)
僧帽筋:背中の筋肉(腕を下から引く作用)
上腕二頭筋:腕の前の筋肉(肘を曲げる作用)
前腕屈筋群:前腕の内側の筋肉(手首を曲げる作用)
下半身の筋肉
大腿四頭筋:太もも前の筋肉(膝を伸ばす作用)
ハムストリングス:太もも後ろの筋肉(膝を曲げる作用)
臀筋群:尻の筋肉(脚を後ろに上げる作用)
下腿三頭筋:ふくらはぎの筋肉(足首を伸ばす作用)
体幹の筋肉
回旋筋腱板:肩関節の筋肉(上腕を上げる・引く・捻る作用)
腹筋群:腹の筋肉(体幹を曲げる・捻る作用)
脊柱起立筋:背骨沿いの筋肉(体幹を伸ばす作用)
腸腰筋群:股関節の筋肉(脚を前に上げる作用)
内転筋群:股関節の筋肉(足を閉じる作用)
なお、さらに詳しい全身の筋肉部位名称と作用については、下記の筋肉デジタル図鑑をご参照ください。
【筋肉の名前図鑑】胸・背中・腕・腹・下半身・インナーマッスルの名前と鍛え方
筋トレの呼吸法|筋トレの頻度|筋トレの順番|筋トレの回数設定|筋肉の名前と作用|筋肉の超回復期間|筋トレの食事例|筋トレの栄養学|男性の筋トレメニュー|女性の筋トレメニュー
筋トレの重さと回数の決め方
筋トレで鍛える骨格筋を構成している筋繊維には以下の三種類があり、それぞれの特徴は次の通りです。
①速筋繊維TYPE2b(FG筋)
およそ10秒以内の短時間に瞬発的な収縮をし、10回前後の反復回数で限界がくる重さの設定で鍛えます。
②速筋繊維TYPE2a(FO筋)
30~60秒ほどの持続的かつ瞬発的な収縮をし、15回前後の反復回数で限界がくる重さの設定で鍛えます。
③遅筋繊維TYPE1(SO筋)
60秒以上の持久的な収縮をし、20回以上の反復回数で限界がくる重さの設定で鍛えます。
つまり、そのスポーツやポジションの特性を考慮して、持久系なのか瞬発系なのか、またはその中間的なのかで負荷回数設定を決めます。
筋繊維の種類に関する公的情報
”骨格筋を構成している筋繊維には大きく分けて速筋と遅筋の2種類があります。速筋は白っぽいため白筋とも呼ばれます。収縮スピードが速く、瞬間的に大きな力を出すことができますが、長時間収縮を維持することができず張力が低下してしまいます。遅筋は赤みがかった色から赤筋とも呼ばれます。収縮のスピードは比較的遅く、大きな力を出すことはできませんが、疲れにくく長時間にわたって一定の張力を維持することができます。”
▼参照サイト(厚生労働省|e-ヘルスネット)
▼参照文献
ピラミッドセット法|ドロップセット法|アセンディングセット法|ディセンディングセット法|フォースドレップ法|レストポーズ法|パーシャルレップ法|チーティング法|スーパーセット法|コンパウンドセット法|トライセット法|ジャイアントセット法|予備疲労法|部位分割法
アイスホッケーのための筋トレプログラムの組み方
スポーツの補強目的での筋トレでは、競技の技術練習と並行して実施していきますので週二回のトレーニングに設定します。
具体的には、前述した四つの筋肉グループを一日目に鍛える筋肉グループ群と二日目に鍛える筋肉グループ群に組み合わせます。
筋肉はトレーニングでダメージを受けると、トレーニング前よりも強くなって回復する特性があり、これを超回復と言います。超回復前に再びトレーニングをすると筋肉は発達するどころか萎縮してしまうこともあるので、一つの筋肉に対しては週一回のトレーニング頻度が最適です。ですので、全身の四つの筋肉グループを週一日目と二日目に鍛えるグループに分けていきます。
具体的には下記のように組み合わせます。
週1回目の筋トレ
上半身のアウターマッスル+上半身のインナーマッスル
週2回目の筋トレ
下半身のアウターマッスル+下半身のインナーマッスル
▼筋トレによる超回復と筋力向上について
次に、やや特殊なトレーニングとなる回旋筋腱板(ローテーターカフ)、前腕筋群のトレーニング方法と器具について解説します。
アイスホッケーのための回旋筋腱板(ローテーターカフ)の筋トレ
回旋筋腱板(ローテーターカフ)が弱いと、下半身で生まれ体幹で加速されたパワーが肩関節でロスしてしまうだけでなく上腕がブレてしまい、グリップにうまく力が加えられないため、非常に重要なトレーニング対象です。
回旋筋腱板(ローテーターカフ)はローテーション系種目で鍛えますが、漸増負荷特性(伸びるほど負荷が高まる特性)を持ち、常にテンションがかかり続けるトレーニングチューブでの実施が最適です。
インターナルローテーション
インターナルローテーションはローテーターカフのなかでも、唯一肩甲骨前面に位置する肩甲下筋に高い効果のあるトレーニング種目です。
反動を使うと、大胸筋や三角筋といった表層の筋肉に負荷が逃げてしまいますので、しっかりと肘の位置を固定し、肩関節の回旋だけで動作を行ってください。
また、ダンベルを使ってインターナルローテーションを行うこともできますが、やはりチューブで行うほうが動作している感覚を得やすくおすすめです。
エクスターナルローテーション
エクスターナルローテーションはローテーターカフ(回旋筋腱板)のなかでも肩甲骨背面に位置する棘上筋・棘下筋・小円筋に効果のあるチューブトレーニングです。
反動を使うと、僧帽筋や広背筋などの背面の表層筋に刺激が逃げてしまいますので、しっかりと肘を固定するのがポイントです。
エクスターナルローテーションもダンベルで行うことが可能ですが、こちらもトレーニングチューブで行うことを推奨します。
回旋筋腱板のトレーニングに便利なのが、このような強度の違うものがセットになったトレーニングチューブです。
写真のタイプは、筆者の運営するジムで実際に使っており、筆者運営ショップが品質確認輸入をしているMYDAYSトレーニングチューブです。
たいへん頑丈な作りをしているだけではなく、後述の各種前腕トレーニングアタッチメントが取り付けられる大型カラビナフックを標準装備しています。
▼このトレーニングチューブを見てみる
【品質確認済み輸入】トレーニングチューブセット(マズレンコ製作所日本正規輸入代理店)
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肩関節・肩甲骨周辺のインナーマッスルである回旋筋腱板(ローテーターカフ)および大円筋のトレーニング方法については、下記の記事もあわせてご参照ください。
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【肩関節・肩甲骨周辺の体幹トレーニング】腕の振りを飛躍的に強くするメニュー
アイスホッケーのための前腕筋群の筋トレ
前腕筋群には多くの動作作用がありますが、それぞれに鍛え方が異なります。また、特殊な動作であるため、前腕専用に開発された器具類の使用が有効的です。
リストカール系種目|屈曲(掌屈)
前腕屈筋群を鍛えるもっとも一般的なトレーニング種目が、手首を掌屈させる方向に負荷を加えるリストカール系種目で、チューブリストカール・ダンベルリストカール・ケーブルマシンリストカール・バーベルリストカールなどの方法があります。
リストハンマー系種目|外転(橈屈)・内転(尺屈)
手首の橈屈・尺屈方向の筋力を鍛えるための種目がリストハンマー系種目です。チューブリストハンマー・ダンベルリストハンマー・ケーブルマシンリストハンマーなどの方法があります。
ウエイトを持ち上げている時に橈屈の筋力が、重さに耐えながらゆっくりとウエイトを下ろす時に尺屈の筋力が鍛えられます。
こちらのようなバーチカルバーは、リストハンマー専用のシャフトで、効果的に負荷を加えられるようにシャフトが曲げられた構造をしています。
リストローテーション系種目|回内・回外
手首を回旋させる筋力を鍛えるための種目がリストローテーション系種目です。
細かくは、回内運動をプローネーション種目、回外運動をスピネーション種目と言います。
チューブリストローテーション・ダンベルリストローテーション・ケーブルマシンリストローテーションなどの方法があります。
リストスピネーションやリストプロネーションを効果的にするための専用器具には以下のようなものがあり、トレーニングチューブやケーブルマシンに取り付けて使用します。
プロネーションハンドル(回内運動)
ローテーションハンドル(回外運動)
これらは、もともと「前腕のスポーツ」と呼ばれるアームレスリング用に開発されたトレーニング器具ですが、前腕トレーニングの専門競技で開発されただけあり、他のスポーツの前腕トレーニングにもとても有効です。
なお、トレーニングチューブやケーブルマシン以外にも、このようなウエイトローディングツリーを使用すれば、ダンベルプレートを取り付けて使用することも可能です。
続いて、体幹インナーマッスルを鍛えるための基礎的な種目のやり方を解説します。
アイスホッケーのための体幹トレーニングの基本種目のやり方
フロントプランク
自重トレーニング以前の基本=基礎体力向上として行いたいのが体幹トレーニングですが、フロントプランクは体幹前面全体に効果の高い方法です。背すじを真っ直ぐ伸ばし、まずは30秒停止から始め、最終的には2分停止ができることを目指して行ってください。
サイドプランク
体幹側面に効果の高いトレーニング方法がサイドプランクです。こちらも、まずは30秒停止から始め、最終的には2分停止ができることを目指して行ってください。
アームレッグクロスレイズ
体幹背面全体に効果の高い体幹トレーニングがアームレッグクロスレイズです。必要以上に手足を上げず、水平位置で10秒停止を行い、左右あわせて20回の反復を目標に行ってください。
それでは、最後にアイスホッケーのための具体的な筋トレプログラム例をご紹介します。
アイスホッケーのため自宅筋トレメニュープログラム
週1日目(下半身)のトレーニングメニュー
準備運動
まずはアップとして前述した3種類の体幹トレーニングを各1~2セット行います。
①下半身全体のトレーニング
を15回×2~3セット
②大腿四頭筋のトレーニング
シシースクワットまたはチューブレッグエクステンションまたはダンベルレッグエクステンション
を15回×2~3セット
③臀筋群・ハムストリングスのトレーニング
ブルガリアンスクワットまたはチューブレッグカールまたはダンベルランジ
を15回×2~3セット
④内転筋群のトレーニング
を15回×2~3セット
⑤回旋筋腱板と前腕筋群のトレーニング
前述のローテーターカフと前腕筋群のトレーニングを行います。
週2日目(上半身)のトレーニングメニュー
準備運動
まずはアップとして前述した3種類の体幹トレーニングを各1~2セット行います。
①広背筋のトレーニング
を15回×2~3セット
②大胸筋のトレーニング
腕立て伏せまたはチューブチェストプレスまたはダンベルプレス
を15回×2~3セット
③上腕三頭筋のトレーニング
ダイヤモンド腕立て伏せまたはチューブプレスダウンまたはダンベルフレンチプレス
を15回×2~3セット
④腸腰筋・腹斜筋・回旋筋のトレーニング
四の字クランチまたはチューブアブツイストまたはダンベルツイスト
を15回×2~3セット
⑤回旋筋腱板と前腕筋群のトレーニング
前述のローテーターカフと前腕筋群のトレーニングを行います。
アイスホッケーのためのジム筋トレメニュープログラム
週1日目(下半身)のトレーニングメニュー
準備運動
まずはアップとして前述した3種類の体幹トレーニングを各1~2セット行います。
①下半身全体のトレーニング
を15回×2~3セット
②大腿四頭筋のトレーニング
バーベルフロントスクワットまたはマシンレッグエクステンション
を15回×2~3セット
③臀筋群・ハムストリングスのトレーニング
を15回×2~3セット
④内転筋群のトレーニング
を15回×2~3セット
⑤回旋筋腱板と前腕筋群のトレーニング
前述のローテーターカフと前腕筋群のトレーニングを行います。
週2日目(上半身)のトレーニングメニュー
準備運動
まずはアップとして前述した3種類の体幹トレーニングを各1~2セット行います。
①広背筋のトレーニング
を15回×2~3セット
②大胸筋のトレーニング
を15回×2~3セット
③上腕三頭筋のトレーニング
を15回×2~3セット
④腸腰筋・腹斜筋・回旋筋のトレーニング
を15回×2~3セット
⑤回旋筋腱板と前腕筋群のトレーニング
前述のローテーターカフと前腕筋群のトレーニングを行います。
アイスホッケーの筋トレを自宅で実施するための器具類
筋トレで成果を出すための最大の要素は「継続すること」です。
特に本格的な筋トレはジムに通うのが一般的ですが、仕事の兼ね合いで時間がとれず、一回休み、二回休み、結局続かなくなってしまう、というのが忙しい社会人の「筋トレが続くない」最大の理由です。
これを克服するためには、なんと言っても自宅にトレーニング器具を揃えるのが一番の方法です。
自宅にトレーニング器具を揃える場合、まず必要になるのがダンベル。トレーニングチューブとトレーニングベンチです。
トレーニングチューブに関してはすでに適切なタイプをご紹介しましたので、ここからはダンベルとベンチについて解説します。
固定式ダンベルが最適
ダンベルに関しては、プレート差し替え式のものが普及品としてよく使われますが、実際の使い勝手としては「自分が使う重量の固定式のダンベルを複数揃える」のが、差し替えの手間もなくトレーニング時間も短縮できて最適です。
また、固定式ダンベルはガチャガチャと音が出ることもないので、特にマンションなどの自宅で使用するのに向いています。
インクランベンチが最適
トレーニングベンチにはフラットベンチと背もたれの角度が変えられるインクラインベントとがありますが、実施できるトレーニング種目の種類を考慮すると、やはりインクラインベンチがおすすめです。
また、普及品は強度不足のものが少なくありませんが、強度を見分ける簡単な方法が「器具重量」で、これは使用している鋼材の厚み(頑丈さ)が表れるからです。
しっかりとトレーニングをしていくのならば、器具重量が20~30kg前後はあるグラつかない剛健なトレーニングベンチをチョイスしましょう。
コンボラックまたはパワーラック
さらに本格的な自宅トレーニングを行うのであれば、バーベルセットとラック類が必要になってきます。
コンボラックはベンチを取り外すことでベンチプレス・デッドリフト・スクワットなど基本的なバーベルトレーニングが全て実施でき、なおかつパワーラックよりもコンパクトであるという利点を持っています。
パワーラックは、それなりの空間を必要としますが、ほぼ全てのバーベルトレーニングを実施できるのが最大の魅力です。また、高重量トレーニングでの安定性もコンボラックよりも高いのがメリットです。
このほかにも、やや占有空間が節約できるハーフラックと呼ばれるタイプもあります。詳しくは、下記のリンク先の一覧をご参照ください。
また、これらのラック類に備えつけるバーベルは、単品で買い揃えるよりも、下記のようなセットになったものがはるかにリーズナブルです。
本格的にトレーニングするなら
本格的にトレーニングをするのなら、ダンベル・マシンからバーベルまで国内トップレベルで設備が充実し、初心者から上級者まで対応の、ONIプロデュースの本格24時間ジム「ONI GYM 24」がおすすめです。
筋トレをしたら食事もしっかりと
最後に、筋トレと切っても切れない関係にある食事と栄養を補う食品に関する詳細な記事群をご紹介します。どれだけ筋トレを頑張っても、栄養補給がおろそかになれば、ほとんど筋トレの成果はえられません。
具体的には、筋トレでダメージを受けた筋肉を超回復させる原料となるタンパク質(肉・魚・乳製品・大豆製品など)を多く摂る必要があります。
また、まずは食事管理をしっかりと行うことが、トレーニングと同じくらい大切です。
詳しくは、下記の記事をご参照ください。
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執筆者情報
上岡岳
アームレスリング元日本代表
ジムトレーナー・生物学学芸員
JAWA日本アームレスリング連盟常任理事|レフリー委員長・広報広報部長
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