
女性が自宅で簡単にでき、ダイエット効果の高い体幹トレーニングのなかから、プランクに代表される簡単にできる基本メニューを厳選して解説するとともに、具体的な一週間のプログラム例をご紹介します。
※筋トレと食事に関するネット情報はさまざまですが、当サイトでは下記の公的機関の情報に基づいて記載しています。
▼筋トレと食事についての情報
■体幹トレーニングとは?
●体幹インナーマッスルを鍛える筋トレ

体幹トレーニングは、文字通り体幹=胴体部分を鍛えるトレーニングですが、一般的な筋トレが積極的に筋肉を収縮させて(関節を動かして)行う動的トレーニングであるのに対し、体幹トレーニングの多くは決められたポーズ・姿勢を維持して筋肉に負荷を与える静的トレーニングです。
●ムキムキにならないか心配

トレーニングと聞くと、どうしても女性が心配になってしまうのが「ムキムキになるのでは?」ということですが、体幹トレーニングでターゲットにする筋肉は、基本的に筋肥大しない種類の筋肉で、鍛えても筋密度が上昇するだけです。
ですので、体幹トレーニングでムキムキになってしまうことはありません。
■体幹インナーマッスルとは?
●胴体にある深層筋

体幹インナーマッスルとは、大胸筋・広背筋などに代表される外見的にもよくわかる胴体部分の表層筋(アウターマッスル)に対し、それらのさらに深層に位置する深層筋のことです。
体幹インナーマッスルの代表的なもののなかでも、女性が鍛えるべき筋肉は次の通りになります。
●代表的な体幹インナーマッスル
・胸部インナーマッスル
○小胸筋(Pectoralis minor muscle)

小胸筋は大胸筋の深層に位置するインナーマッスルで、大胸筋が伸展した位置で腕を押し出す働きがあります。
鍛えることで大胸筋の初動での収縮効率が向上し、各種スポーツ競技の能力向上になるだけでなく、大胸筋自体をリフトする作用もあるためバストアップの効果も高いことが知られています。
・肩部インナーマッスル
○回旋筋腱板(Rotator cuff)

読みかた:かいせんきんけんばん
英語名称:rotator cuff
部位詳細:肩甲下筋|棘下筋|棘上筋|小円筋
三角筋の深層・上腕骨上部と肩甲骨を接合しているのが回旋筋腱板=ローテーターカフと呼ばれるインナーマッスルです。
回旋筋腱板は、肩甲骨前面に接合する肩甲下筋と肩甲骨背面に接合する棘上筋・棘下筋・小円筋から構成されています。
肩こりの予防などにも関連性の高い体幹インナーマッスルです。
・脊柱沿いのインナーマッスル
○長背筋群(Long spine)

読みかた:せきちゅうきりつきん
英語名称:erector spinae muscle
部位詳細:腸肋筋|最長筋|棘筋
長背筋群=脊柱起立筋+多裂筋+回旋筋など
脊柱起立筋は長背筋群のなかでも大きな三つの筋肉、腸肋筋・最長筋・棘筋から構成されており、背骨を支え姿勢を維持する作用があります。

回旋筋は長回旋筋と短回旋筋が一対となり脊柱に付着するように位置する筋肉で、脊柱を回旋させる作用があります。
・腹部のインナーマッスル
○腹筋群(Abs)

読みかた:ふっきんぐん
英語名称:abdominal muscles
部位詳細:腹直筋|外腹斜筋|内腹斜筋|腹横筋
起始:恥骨稜・恥骨結合・恥骨結節|第5~12肋骨外面|胸腰筋膜深葉・上前腸骨棘・鼡径靭帯・腸骨稜|第7〜12肋軟骨内面・鼡頚靭帯・上前腸骨棘
停止:剣状突起・第5~7肋軟骨外面|鼡径靭帯・腹直筋鞘前葉・腸骨稜外唇|第10~12肋骨下縁・腹直筋鞘・精巣挙筋|剣状突起・白線・恥骨
腹筋群は体幹前面に位置する筋肉群で、表層から腹直筋・外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋の順に四層構造をしています。
なお、腹直筋・外腹斜筋は表層筋に分類され、体幹インナーマッスルに区分されるのは内腹斜筋・腹横筋です。
・股関節のインナーマッスル
○腸腰筋群(Iliopsoas)

読みかた:ちょうようきんぐん
英語名称:iliopsoas
部位詳細:腸骨筋|大腰筋|小腰筋
腸腰筋群は股関節に位置する、骨盤と大腿骨をつなぐインナーマッスルで、大腰筋・小腰筋・腸骨筋から構成されています。
脚を上げる動作に直接的に関与するため、走力が必要とされる競技では、鍛えることが最重要な筋肉部位の一つです。
また、鍛えることで骨盤の位置を正常に戻す効果もあります。
○内転筋群(Adductor)

読みかた:ないてんきんぐん
英語名称:adductors muscles
部位詳細:大内転筋|長内転筋|短内転筋|薄筋|恥骨筋
内転筋群は太もも内側に位置し、骨盤と大腿骨に接合しています。大内転筋・薄筋・恥骨筋・長内転筋・短内転筋から構成されており、大腿部を内転させる(横に閉じる)作用があります。
○臀筋群(gluteus muscles)

読みかた:でんきんぐん
英語名称:gluteus muscles
部位詳細:大臀筋|中臀筋|小臀筋
起始:腸骨稜・腸骨翼|腸骨翼殿筋面・腸骨稜|腸骨翼
停止:大腿筋膜外側部・大腿骨粗面|大腿骨大転子尖端|大腿骨大転子前面
臀筋群は大臀筋・中臀筋・小臀筋の三層構造をしており、このなかでも体幹インナーマッスルに分類されるのは、中臀筋・小臀筋です。
長背筋群の共働筋(一緒に作用する筋肉)であり、腸腰筋群の拮抗筋(反対の作用がある筋肉)として働きます。
■体幹トレーニングのダイエット効果
●筋密度が上昇し基礎代謝が向上する

体幹インナーマッスルを鍛えると、これらの深層筋は筋密度が向上します。全身における筋肉の比率が向上すると、相対的に体脂肪率が減少することになり、新陳代謝が盛んになり一日あたりの基礎代謝が増加します。
食事を摂る分量が変わらない場合、基礎代謝が向上した分だけ毎日体脂肪が減少していきます。
そして、筋肉の密度が上昇することにより、「痩せやすく太りにくい」ダイエット体質になっていきます。
ダイエットで最も避けるべき「食べないだけのダイエット」が、筋肉量までロストして基礎代謝が下がり、ダイエットを繰り返すうちにどんどんブヨブヨの「太りやすく痩せにくい」リバウンド体質になるのは有名ですが、これとは対照的ですね。
●脊椎や骨盤が正常位置に戻る

体幹インナーマッスルをトレーニングすると、脊柱まわりや骨盤まわりの筋力が強くなり、これによって背骨や骨盤が本来あるべき正しい位置で固定されるようになります。これにより、得られる効果は以下の通りです。
・背骨が伸びて美姿勢になる
脊柱周辺の体幹トレーニングによって、長背筋群が強くなると背ずじが真っ直ぐに伸びるようになります。これにより、背中が反り、胸が張った美しい女性らしい美姿勢になることが可能です。
・骨盤が正常になり内臓代謝が上がる
股関節周辺の体幹トレーニングを行うと、腸腰筋群が強くなり、結果として骨盤が正常位置に戻ることにより内臓が持ち上げられ、内臓代謝が向上し高いダイエット効果があります。
・お尻から太ももにかけてのラインが整う
臀筋群や内転筋群の体幹トレーニングを行うと、それらの部位が引き締まりお尻から太ももにかけてのラインが美しく整います。
■体幹トレーニングの部位分け
●三つの部位に分けてローテーションで鍛える
・腹筋の日・背筋の日・股関節の日

筋肉はトレーングで鍛えると、回復までにおよそ72時間の回復期間をおく必要があります。全ての体幹部位を一度にトレーニングしてしまうと、回復期間を考えると週に二回程度のトレーニング頻度となってしまい、あまり効率的ではありません。
そこで、体幹インナーマッスルを三つのグループにわけ、ローテーションしながら週に三回の頻度でトレーニングを行っていくのが効率的で、これをスプリットトレーニングと言います。
よくある誤解として、「体幹トレーニングは普通の筋トレとは違うから毎日やっても大丈夫」というものがありますが、鍛えたら回復期間をおく必要があるのは、アウターマッスル・インナーマッスルを問いません。
これは、回復能力の高いアスリートクラスの人が「毎日体幹トレーニングをやっている」という情報が元ですが、一般的な女性が毎日トレーニングを行うと回復が追いつきません。
特に、長背筋群のなかでも脊柱起立筋は回復時間が長いので、毎日鍛えていると筋肉が縮小したり腰痛を引き起こしたりします。
■一週間の体幹トレーニングメニュー

それでは、ここからは具体的な週3回の体幹トレーニングメニュプログラムを例示していきます。なお、静止秒数・回数・セット数は体力に応じて増減していただいてかまいませんが、トレーニングの順番はアップ種目→個別種目→仕上げ種目の順にしていますので、そのまま実施してください。
●月曜日の体幹トレーニング(腹筋系)
①フロントプランク(腹横筋):30秒×2セット

まずは、体幹トレーニングの代名詞ともいえるほど有名なフロントプランクから行っていきましょう。フロントプランクが有名なのは、簡単にできてとても効果が高いことが理由ですので、きっちりと正しいフォームを覚えましょう。
フロントプランクの基本姿勢は、肘をついて両肘とつま先の三点で身体を支え、背すじを真っ直ぐに伸ばした上体を維持することです。
お腹を突き出したり、腰を突き出したりしないように意識をして行ってください。
1セット30秒を目安にはじめ、2分の姿勢維持を目指すようにしましょう。
・Vクランチ(腹横筋):10回×1セット

Vクランチは、腹横筋だけでなく表層の腹直筋にもアプローチできる体幹トレーニングです。
仰向けになった状態から両手と両足を上げていきますが、手で膝をタッチするイメージで行うとやりやすいでしょう。
動的なVクランチでは止まることなく動作を繰り返しますが、体幹トレーニングとして行う場合は、膝をタッチした状態で数秒間静止するようにします。
③サイドプランク(内腹斜筋):片側30秒ずつ×1セット

サイドプランクは横腹に位置する腹斜筋に効果の高い体幹トレーニングで、背すじを真っ直ぐに保った状態をいかに維持するかが大切なポイントです。
まずは30秒静止を目安にスタートし、最終的には2分の静止を目指してください。

また、体力的にサイドプランクの姿勢をとるのが難しい方は「肘をついて」行う「肘つきサイドプランク」を行いましょう。

逆に負荷が足らない方は「片方の手を上に上げて」または「片方の足を上に上げて」行ってください。
・ニートゥエルボー(腹横筋・内腹斜筋):片側10回ずつ×2セット

腹筋系体幹トレーニングの仕上げに最適なのが、四の字クランチやニートゥーエルボーと呼ばれる捻りを加えた腹筋運動です。
対角線の肘と膝を合わせるのが基本動作で、その状態で数秒間静止してから反対側の肘と膝を合わせ、この動作を繰り返していきます。
負荷を上げたい場合は、立って行うスタンディングニートゥーエルボーがおすすめです。
●水曜日の体幹トレーニング(背筋系)
・バックエクステンション(脊柱起立筋):10回×2セット

バックエクステンションは長背筋群のなかでも脊柱起立筋に効果の高い「背筋系の基本トレーニング」です。
状態を反らした位置で数秒間静止する動作を、ゆっくりと繰り返していきましょう。また、身体を下ろしてから上げる時に反動を使うと腰を痛めるリスクがありますので、十分に注意してください。
・スーパーマンバックエクステンション(脊柱起立筋):30秒×2セット

バックエクステンションでアップが終わったら、もう少し強く脊柱起立筋を鍛えていきます。バックエクステンションに足上げ動作を加えたスーパーマンバックエクステンションを行ってください。
まずは30秒静止を目標に、徐々に2分静止まで目指していきましょう。
・アームレッグクロスレイズ(回旋筋):片側10回ずつ×2セット

アームレッグクロスレイズは、背中の捻り動作も加わった回旋筋にも効果の高い体幹トレーニングです。このように対角線の手足を上げて静止させるタイプの体幹トレーニングを総称して「ダイアゴナルバランス」と総称します。
ポイントは真っ直ぐに手足を上げることですが、必要以上に高く上げる必要はなく(水平位置で十分です)、それよりも手足を遠くへ伸ばすようなイメージで行うことです。

また、膝をついたバリエーションでは負荷が足らないと感じる場合は、こちらのようなつま先と手で身体を保持するアームレッグクロスレイズがおすすめです。
●金曜日の体幹トレーニング(股関節)
・レッグレイズ(腸腰筋):30秒×2セット

体幹トレーニングでのレッグレイズは、通常と違い足を上下させる運動は行いません。足を真っ直ぐに伸ばし、45度の状態で維持していきます。
30秒の静止を目標にはじめ、最終的には2分を目指していきましょう。
また、腰を反らせると痛めるリスクがありますので、背中と腰はきっちりと床につけて行ってください。
・バックレッグリフト(臀筋群):片側10回ずつ×2セット

バックレッグリフトは臀筋群に非常に効果の高い体幹トレーニングです。足を高く上げるよりも、遠くへ真っ直ぐに伸ばすイメージで行うとよいでしょう。
足を真っ直ぐに後方に伸ばし、その位置で数秒間静止してから上げる足を変えていきますが、その時に反動を使うと効果が半減するだけでなく、腰を痛めるリスクもありますので、終始コントロールした動作で行ってください。
・サイドレッグリフト(内転筋群):片側30秒×2セット

サイドレッグリフトは内転筋群に効果の高い体幹トレーニングです。横になり、足を伸ばして上げた状態で静止していきます。まずは30秒静止を目安にはじめ、最終的には2分静止を目指していきましょう。
■ダイエットの食事

運動をしながら筋密度を上げていくダイエットの食事メニューの基本は「高タンパク質低カロリー」です。ダイエット体幹トレーニングでは、筋トレで筋肉を刺激し、筋肉が新陳代謝して回復する過程での代謝カロリーを痩せるために利用します。
ですので、筋肉の新陳代謝の材料となるタンパク質は必ずしっかり摂取しなくては効果が得られません。
具体的には、一日に体重1kgあたり0.5g~1g(純タンパク質:肉類換算2.5g~5g)の摂取が理想値になります。ですので、体重60kgの場合は一日に150~300gのタンパク質食品を食べる必要があります。
もちろん、この食品は鶏ささみ・ノンオイルツナ・イカタコ類・豆腐類など脂質の少ない食品です。
タンパク質をしっかり摂った上で、炭水化物や脂肪分などを控えてカロリーカットしていくのが正しい食事方法になります。
■女性の自重筋トレメニュー

体幹トレーニングでインナーマッスルを鍛えていくことに慣れてきたら、ぜひチャレンジしていただきたいのが動的なトレーニングです。
なかでも、自重トレーニングは器具を必要としないため、すぐ自宅で始めることが可能です。
体幹トレーニングに表層筋の動的トレーニングを加えることで、さらにダイエット効果が向上します。
その具体的なやり方とプログラムは下記の記事をご参照ください。
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