減量・ダイエット筋トレに効率的な、部位分割法を導入して筋トレを毎日やる方法を解説します。超回復の観点から、一般的には「筋トレを毎日してはいけない」とされていますが、これは厳密には「同じ部位の筋トレを毎日してはいけない」という意味です。
■筋トレと超回復の関係
●毎日同じ部位を鍛えると弱く細くなる

筋肉は筋トレなどにより強い負荷を受けると、その筋繊維が破壊されます。そして皮膚や骨格と違い、筋肉には「ダメージを受ける前より強化されて回復する」という能力があり、これを「超回復」と呼びます。
筋肉が超回復したか否かの大まかな目安は筋肉痛の有無になります。筋肉痛の残った状態、すなわち超回復が完了する前に再度強い負荷を与えると、筋肉は十分に超回復できないため、徐々に疲労が累積し、結果として弱く細くなってしまいます。
これが、「筋トレを毎日してはいけない」と言われる理由です。
なお、筋肉痛が起こるメカニズムや超回復については、これだけ科学が発達した現在でもまだ完全には解明されていません。しかしながら、スポーツ科学の長い歴史のなかで経験則として認められており、下記の公的機関にも明確に記載されています。
▼超回復理論について厚生労働省の見解
■筋肉の部位分けと超回復の時間
●部位分割法に絶対に必要な知識

鍛える部位を毎日変えてローテーションで筋トレをしていくメソッドが部位分割法で「スプリットトレーニング」とも呼ばれます。
全身の筋肉には、共働関係にある(筋トレの時に同時に動く・鍛える)グループがあります。
この筋肉のグループ分けをしっかり理解していないと、全身を分割して筋トレしているつもりが、特定の筋肉だけに連日負荷がかかる状況にもなりかねませんので、下記に筋肉グループを細かく分類するとともに、それぞれの筋肉が超回復に要するおおよその時間を示します。
なお、目安とした時間は一般的な20代~30代の男性の場合なので、女性や40代以上の男性はさらに24時間が超回復には必要です。
上半身の押す筋肉グループ
○大胸筋(48時間)
○三角筋(48時間)
○上腕三頭筋(48時間)
上半身の引く筋肉グループ
○広背筋(48時間)
○僧帽筋(48時間)
○脊柱起立背筋(72時間)
○上腕二頭筋(48時間)
下半身の筋肉グループ
○大臀筋(48時間)
○大腿四頭筋(72時間)
○大腿二頭筋(72時間)
手足の筋肉グループ
○前腕筋群(24時間)
○下腿三頭筋(24時間)
体幹の筋肉グループ
○腹筋群(24時間)
以上のようになり、これらの筋肉グループと超回復時間を考慮してスプリットトレーニングのメニュープログラムを組まなくてはいけません。
▼関連記事
【筋トレの筋肉痛と超回復】部位ごとの回復期間|原因と対処法と鍛える頻度
なお、各筋肉の名称・場所・働きについては下記の筋肉名称図鑑をご参照ください。

▼筋肉名称完全図鑑
【筋肉の名前図鑑】胸・背中・腕・腹・下半身・インナーマッスルの名前と鍛え方
■筋トレ(無酸素運動)と超回復理論に関する公的情報
”筋肉はレジスタンス運動を行うと筋線維の一部が破断されます。それが修復される際にもとの筋線維よりも少し太い状態になります。これを「超回復」と呼び、これを繰り返すと筋の断面積が全体として太くなり筋力が上がります。筋力のトレーニングはこの仕組みを利用して最大筋力に近い負荷でレジスタンス運動し、筋が修復されるまで2~3日の休息ののち、またレジスタンス運動でトレーニングということの繰り返しによって行われます。(厚生労働省|e-ヘルスネット)”
▼厚生労働省公式ページ
■具体的な部位分割法筋トレ
●筋トレを毎日やるプログラムの組み方

具体的に部位分割法・スプリットトレーニングを導入した筋トレプログラムの一例が下記のものです。各曜日の総セット数やレップ数は、実施する方の体力や筋トレ目的に合わせてください。
一週間の部位分割筋トレプログラム
○月曜日:上半身の押す筋肉グループ
○火曜日:手足の筋肉グループ
○水曜日:下半身の筋肉グループ
○木曜日:体幹の筋肉グループ
○金曜日:上半身の引く筋肉グループ
○土曜日:手足の筋肉グループ
○日曜日:体幹の筋肉グループ
このようにプログラムを組めば、どの筋肉グループもほぼ十分な超回復期間をとることが可能です。ただし、効率的な超回復に必要な栄養補給と睡眠・休息を確実に行なって、という前提ではあります。
■もっとも効率的なのは週何回?
●週3回の部位分割が最適とされている

ここまでは、全身の筋肉を細かく部位分けし、毎日筋トレをする方法を解説していきましたが、これは主にダイエット系トレーニングに関するもので、筋肥大にもっとも効率的とされているのは「週3回の部位分割トレーニング」です。
高重量を扱う筋肥大・バルクアップトレーニングでは、筋肉だけでなく関節や靭帯への負担も考慮しなくてはいけません。靭帯や関節は筋肉よりも回復が遅いので、長期間にわたる毎日の筋トレを続けていると、故障や怪我のリスクも高まります。
忙しい週は週2回、増量期は週3回、減量期は毎日(または年齢に応じて週4~5日)、というように使い分けていくとよいでしょう。
▼具体的な部位分割プログラムメニュー