【筋トレの筋肉痛と超回復】部位ごとの回復期間|原因と対処法と鍛える頻度

筋トレをすると筋肉痛になりますが、その原因と対処法を解説するとともに、筋肉痛からの超回復に必要な筋肉部位ごとの期間を例示し、適切なトレーニング頻度と具体的な週二回・週三回・週四回の部位分割トレーニングプログラムをご紹介します。

 

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■筋肉痛の原因

●メカニズムは解明されていないが伸長性収縮で引き起こされる

科学のこれだけ発達した現在に、まだ筋肉痛のメカニズムが完全に解明されていないことに驚かれる方も少なくないでしょう。

 

筋肉痛が発生するメカニズムについて、有力な説には次のような二つがあります。

 

①筋繊維の微細な裂傷により筋肉痛になる

②疲労物質・乳酸の蓄積により筋肉痛になる

 

しかしながら、この二つの説には以下のような矛盾点があると指摘されています。

 

①筋繊維自体には痛みを感じる神経がない

②乳酸は何日も筋細胞内にとどまらない

 

筋肉痛のメカニズムを知るためには、さらなる科学の発達を待つしかありません。

 

●筋肉痛の原因は伸長性収縮

発生メカニズムが完全には解明されていない筋肉痛ですが、引き起こす原因は経験則的に判明しています。

 

筋肉痛の原因は、伸長性収縮=エキセントリック収縮と呼ばれる筋肉の動きで引き起こされます。

 

伸長性収縮とは具体的には上の写真のように、負荷に耐えながら=筋繊維が引き伸ばされる状態、つまり、重力に耐えながらウエイトをゆっくり下ろすような動作のことを言います。

 

ボディビルダーの方などが、上げるときに効かせるより、下ろすときに効かせるのが重要と言うのは、このことが理由です。

 

また、逆にスポーツ選手の筋力補強トレーニングなどでは、筋肉痛が起こり競技技術練習の妨げにならないよう、ウエイトを上げるときだけ力を入れる、短縮性収縮=コンセントリック収縮のみの筋トレを行います。

 

なお、筋肉痛があってもなくても、きちんと鍛えれば効果はありますが、筋肥大に関しては筋肉痛をともなうような伸長性収縮重視の筋トレのほうが高い効果があります。

 

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■筋トレ(無酸素運動)と超回復理論に関する公的情報

”筋肉はレジスタンス運動を行うと筋線維の一部が破断されます。それが修復される際にもとの筋線維よりも少し太い状態になります。これを「超回復」と呼び、これを繰り返すと筋の断面積が全体として太くなり筋力が上がります。筋力のトレーニングはこの仕組みを利用して最大筋力に近い負荷でレジスタンス運動し、筋が修復されるまで2~3日の休息ののち、またレジスタンス運動でトレーニングということの繰り返しによって行われます。(厚生労働省|e-ヘルスネット)”

 

▼厚生労働省公式ページ

 

筋肉の超回復に関する記載

 

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■筋肉痛の時に筋トレをしてよいか

●筋肉の超回復を妨げるのでしてはいけない

筋肉痛が残っているときに、その痛む筋肉部位を筋トレで鍛えてもよいのでしょうか?

 

答えはノーです。

 

なぜならば、筋肉の発達にもっとも重要な「超回復」と呼ばれる生体反応を妨げてしまうからです。

 

超回復が完了しないままトレーニングを続けると、筋肉は目的とは裏腹に細く弱くなってしまいます。

 

■超回復とは何か

●破壊された筋繊維が強く太くなる生理機能

筋トレの効果を出すために不可欠な要素が、筋肉の超回復とその理論です。

 

筋トレで負荷のかかった筋肉は、筋繊維に微細な裂傷が発生します。そして、ダメージを受けた筋繊維は、一定の回復期間をおいて、鍛える前よりも強く太くなって回復します。

 

この一連の生体反応を超回復と呼び、筋トレ(筋力トレーニング・筋肉トレーニング)とは、適切で意図的な超回復を繰り返すことによって、筋力向上や筋肥大を達成する行為なのです。

 

●超回復の目安となる筋肉痛

超回復が終わる前に、次の筋トレをしてはいけないことは前述しましたが、実際に超回復しているかを確実に調べる方法はありません。

 

ですので、あくまでも目安ですが、筋肉痛がなおる≒超回復が完了したと考えてよいでしょう。

 

■筋肉痛がひどい時の対処法

●急性期は冷やし回復期は温める

では、筋トレをして実際に筋肉痛になった場合、どのように対処すればよいのでしょう。

 

筋肉痛に対する対処方法は、そもそも筋肉痛のメカニズム自体が解明されていないため、確実にこれ、という正解はありませんが、こちらも経験則としての一般的な対処法というものはあります。

 

まず、筋肉痛に対する対処には次のような二つの相反する方法・要素があることを事前に知る必用があります。

 

①冷やす:筋肉痛の炎症を抑えて痛みを緩和する(回復は遅くなる)

 

②温める:筋肉痛の経過を早め回復を促す(痛みは強くなる)

 

そして、筋肉痛の対処法は①と②の兼ね合いで、ケースごとに異なります。

 

筋トレはしっかり筋肉痛がなおってからじっくり行えばよいというスタンスの場合、筋肉痛に対しては冷湿布などを用いて痛みを抑えながら回復させます。

 

スポーツ競技目的などで、できるだけ早く回復させ次の筋トレを行いたい場合は、お風呂につかるなどして代謝と回復速度を高めます。

 

これは、両極端のケースですが、筋肉痛がひどい初日は冷やして炎症と痛みをやわらげ、二日目以降は温めて回復を早めるのが一般的です。

 

●タンパク質摂取が非常に重要

筋肉痛の対処法として、冷やしたり温めたりするのも重要ですが、そもそも大切なのが、筋肉を超回復させるための材料となるタンパク質の摂取です。

 

筋トレをして超回復をきっちりするためには、1日に体重1kgあたり2g(乾燥重量)のタンパク質が必要で、肉類に換算すると1日に体重1kgあたり10gのタンパク質食品を食べる必用があります。

 

なお、筋トレ向きの食品と食事メニューは下記の記事に詳しくまとめましたので、そちらをご参照ください。

 

▼関連記事

 

【筋トレ食事メニュー例】増量期・減量期の食品とレシピ例を紹介

 

●休養・睡眠も非常に大切

また、筋肉は寝ている間に作られます。ですので、いくら適切に筋肉痛の対処を行い、最適な食事・栄養摂取をしたとしても、しっかりと寝ないことには超回復は遅くなります。

 

筋肉痛の時は、8時間程度の十分な睡眠をとることも非常に重要なことです。

 

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■筋肉部位ごとの超回復期間

●筋肉の大きさと使用頻度で決まる

超回復の期間は、年齢や体質などにより個人差がありますが、基本的には以下のような相関関係があります。

 

◯大きな筋肉:超回復が遅い

◯小さな筋肉:超回復が早い

◯使用頻度の低い筋肉:超回復が遅い

◯使用頻度の高い筋肉:超回復が早い

 

●具体的な筋肉部位別の超回復期間

標準的な20~30代の男性の場合、筋肉部位別の超回復期間は以下の通りです。

 

・72時間で超回復する筋肉

大腿四頭筋・ハムストリングスなど太ももの筋肉

僧帽筋・広背筋・長背筋などの背中の筋肉

 

・48時間で超回復する筋肉

三角筋・上腕二頭筋・上腕三頭筋など肩から腕にかけての筋肉

胸の筋肉・大胸筋やお尻の筋肉・臀筋群

 

・24時間で超回復する筋肉

前腕筋群・腹筋群・ふくらはぎ(下腿三頭筋)など日常での使用頻度の高い筋肉

 

なお、10代の場合はこれより短く、女性や40代男性はこれより遅くなります。

 

※部位ごとの超回復期間には個人差があります。

 

さらに詳しい筋肉の名称・場所・作用については下記のデジタル図鑑をご参照ください。

 

▼筋肉名称デジタル図鑑

 

【筋肉の名前図鑑】各部位(胸筋・背筋・肩・腕・腹筋・脚)の名前・作用・筋トレ方法

 

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■効率的に筋トレをする部位分割法

●全身の筋肉をグループ分けしてローテーションで筋トレをする

1日に全身の筋肉全てを筋トレした場合、超回復完了までには72時間が必要になります。ただし、これはタンパク質摂取と休養・睡眠を行った場合であり、現実的には二週間に三回の筋トレを行うのが限界でしょう。

 

それでは、成果を出すのに時間がかかり能率がよくないですよね。

 

ですので、効率的に筋肉を鍛えていくためには、全身の筋肉をグループ分けし、ローテーションで一週間に2~3回の頻度でトレーニングをしていくのが最適です。

 

この筋トレ方法を部位分割法=スプリットトレーニングと言います。

 

■全身の筋肉を部位分けする

●上半身の押す筋肉・上半身の引く筋肉・下半身の筋肉・超回復の早い筋肉

全身の筋肉は、一緒に動く=共働する筋肉グループで部位分けをするのがスタンダードで、それは以下のようになります。

 

◯上半身の押す筋肉グループ:大胸筋+三角筋+上腕三頭筋

 

◯上半身の引く筋肉グループ:僧帽筋+広背筋+上腕二頭筋

 

◯下半身の筋肉グループ:大腿四頭筋+ハムストリングス+臀筋群

 

◯これに、24時間で超回復する前腕筋群+腹筋群+下腿三頭筋を組み合わせていきます。便宜上、超回復の早い筋肉グループとします。

 

なお、筋肉部位を組み合わせる場合、共働関係にある筋肉グループは同日にトレーニングするのはもちろん、1日あたりに筋トレをする筋肉量もできるだけ等しくなるように組み合わせます。

 

全身の筋肉の筋肉量の目安は以下の通りです。

 

◯筋肉量が多い:大腿四頭筋>僧帽筋・広背筋>ハムストリングス

 

◯筋肉量が中程度:大胸筋>臀筋群群>腹筋群

 

◯筋肉量が少ない:上腕三頭筋>下腿三頭筋>三角筋>上腕二頭筋>前腕筋群

 

※筋肉量の比率には個人差があります。

 

■具体的な部位分割法の組み合わせ

それでは、ここからは具体的な部位分割法の組み合わせを例示していきます。

 

●週二回のスプリットトレーニング

①上半身の押す筋肉グループ+大腿四頭筋+超回復の早い筋肉グループ

 

②上半身の引く筋肉グループ+ハムストリングス・臀筋群+超回復の早い筋肉グループ

 

▼関連記事

 

週2回の部位分割トレーニング(自宅・ジム別の具体的プログラム)

 

●週三回のスプリットトレーニング

①上半身の押す筋肉グループ+超回復の早い筋肉グループ

 

②下半身の筋肉グループ

 

③上半身の引く筋肉グループ+超回復の早い筋肉グループ

 

▼関連記事

 

週3回の部位分割トレーニング(自宅・ジム別の具体的プログラム)

 

●週四回のスプリットトレーニング

①大胸筋+腹筋群+前腕筋群

 

②下半身の筋肉グループ+下腿三頭筋

 

③三角筋+上腕三頭筋+腹筋群

 

④上半身の引く筋肉グループ+前腕筋群

 

▼参照記事

 

週4回の部位分割トレーニング(自宅・ジム別の具体的プログラム)

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記事制作©FutamiTC/MazurenkoJapan


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執筆者情報
上岡岳
アームレスリング元日本代表
ジムトレーナー・生物学学芸員
JAWA日本アームレスリング連盟常任理事|レフリー委員長・広報広報部長

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