空手など打撃格闘技に必要な筋肉|部位ごとの働き(役割)も解説

空手など打撃格闘技に必要な筋肉|部位ごとの働き(役割)も解説

空手・キックボクシング・テコンドーなど打撃格闘技に必要となる筋肉について、2021年・2022年・五輪種目テコンドー強化指定選手(全日本選手権メダリスト)とそのフィジカルトレーナーが共著で解説します。

この記事の執筆者

上岡颯

テコンドー主戦績

2020・2021年|全日本テコンドー選手権準優勝など

2021・2022年|強化指定選手

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上岡岳

上岡颯選手の父・フィジカルトレーナー

アームレスリング主戦績

2011アジア選手権マスターズ90kg級3位など

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突き(パンチ)と蹴り(キック)の実際の動画

※動画にはKOシーンが含まれます。

まずは、こちらの動画をご覧ください。執筆者(上岡颯)の全日本大学生テコンドー選手権(インカレ)の準決勝の様子です。

実際の試合で放たれる突き(パンチ)と蹴り(キック)の様子がお分かりいただけると思います。

突き(パンチ)も蹴り(キック)も下半身と体幹の力が重要

打撃格闘技の突き(パンチ)と蹴り(キック)はいずれも力の初動は軸足の踏み込みです。

そして、その力を下半身で増幅しながら体幹に伝え、さらに体幹を捻って加速させ、ロスなく打撃点である末端(拳や脛)に伝えます。

この力の連動ができていないと、いわゆる「手打ち」「足打ち」という手足だけでの打撃となり、ほとんど効果のない攻撃になってしまいます。

これらを考慮し、空手など打撃格闘技に必要な筋肉を下半身から上半身に向けて並べると以下のようになります。

下半身の筋肉

大腿四頭筋(太もも前側の筋肉)

ハムストリングス(太もも後側の筋肉)

下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)

体幹の筋肉

腹斜筋(腹の筋肉)

回旋筋(背骨の筋肉)

腸腰筋群(股関節の筋肉)

上半身の筋肉

大胸筋(胸の筋肉)

広背筋(背中の筋肉)

上腕三頭筋(腕の筋肉)

前腕筋群(腕の筋肉)

回旋筋腱板(肩の筋肉)

なお、さらに詳細な筋肉名称に関しては下記の筋肉図鑑完全版をご参照ください。

▼筋肉名称の詳細記事

【筋肉名称完全図鑑】各部位の名前・作用・筋トレ方法(鍛え方)

それでは、次の項目では空手など打撃格闘技に必要な個々の筋肉を、その働きも含めて解説していきます。

下腿三頭筋の構造と働き

読みかた:かたいさんとうきん

英語名称:triceps muscle of calf

下腿三頭筋はふくらはぎの筋肉で足首関節を伸ばす作用を持ちます。

空手など打撃格闘技においては、打撃の原動力になるだけでなく、下半身のフォームを安定させる基礎となります。

▼詳細記事

下腿三頭筋の構造と作用

ハムストリングスの構造と働き

読みかた:はむすとりんぐす

英語名称:hamstrings

ハムストリングは、大腿二頭筋・半膜様筋・半腱様筋から構成され、膝関節を曲げる・脚を後ろに上げる作用があります。

空手など打撃格闘技においては、片足になる蹴りの動作中に体軸を安定させるとともに、蹴り足をインパクトの直前までたたんでおく(腰の回転に負けず足先を伸ばさない)ために働きます。

▼詳細記事

ハムストリングスの構造と作用

大腿四頭筋の構造と働き

読みかた:だいたいしとうきん

英語名称:quadriceps

大腿四頭筋は、大腿直筋・外側広筋・内側広筋・中間広筋から構成され、膝関節を伸ばす作用を持ちます。

空手など打撃格闘技においては、片足になる蹴りの動作中に体軸を安定させるとともに、蹴りの最終的な打撃力の追加(膝先の解放)に働きます。

▼詳細記事

大腿四頭筋の構造と作用

腹斜筋(腹筋群)の構造と働き

読みかた:ふっきんぐん

英語名称:abdominal muscles

腹筋群は、深層から順に腹横筋・内腹斜筋・外腹斜筋・腹直筋の四層構造をしており、体幹を屈曲および回旋させる作用があります。

空手など打撃格闘技においては、腹斜筋(内腹斜筋・外腹斜筋)が回旋筋と連動して「身体を捻る力」を生み出します。

▼詳細記事

外腹斜筋の構造と作用

回旋筋(長背筋群)の構造と働き

読みかた:せきちゅうきりつきん

英語名称:erector spinae muscle

脊柱起立筋とともに長背筋群を構成する回旋筋は、体幹を捻る作用を持っています。

空手など打撃格闘技においては、内腹斜筋・外腹斜筋と連動して「身体を捻る力」を生み出します。

▼詳細記事

回旋筋の構造と作用

腸腰筋群の構造と働き

読みかた:ちょうようきんぐん

英語名称:iliopsoas

腸腰筋群は、主に大腰筋・小腰筋・腸骨筋から構成され、太ももを前方に上げる作用を持ちます。

空手など打撃格闘技においては、ハイキックなど打点の高い蹴りの威力とスピードに重要となります。

▼詳細記事

腸腰筋群の構造と作用

大胸筋の構造と働き

読みかた:だいきょうきん

英語名称:pectoralis major muscle

大胸筋は、上部・下部・内側に分けられ、腕を前面に押し出すとともに腕を前方で閉じる作用があります。

空手など打撃格闘技においては、突き(パンチ)の加速力を生む筋肉です。

▼詳細記事

大胸筋の構造と作用

広背筋の構造と働き

読みかた:こうはいきん

英語名称:latissimus dorsi muscle

広背筋は背中の筋肉・広背筋は上半身最大の筋肉部位であり、上腕を上や前から引き寄せる作用があります。

空手など打撃格闘技においては、突きの連撃(ワンツーパンチ)の2発目となる強撃の原動力(1発目の拳を引く動作)となるとともに、蹴りにおいても蹴り足の反対側の腕を引くことで体幹の回旋力を加速させる働きがあります。

▼詳細記事

広背筋の構造と作用

上腕三頭筋の構造と働き

読みかた:じょうわんさんとうきん

英語名称:triceps

上腕三頭筋は長頭と短頭(外側頭・内側頭)に分けられ、肘を伸展させるとともに上腕を閉じる作用(長頭)があります。

空手など打撃格闘技においては、突き(パンチ)の加速力を生む筋肉です。

▼詳細記事

上腕三頭筋の構造と作用

回旋筋腱板(ローテーターカフ)の構造と働き

読みかた:かいせんきんけんばん

英語名称:rotatorcuff

ローテーターカフは、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の四つの筋肉から構成され、肩関節の動き全てに関わる筋肉群です。

空手など打撃格闘技においては、インパクトの瞬間に自身の打撃の反動に負けず突き(パンチ)を打ち抜くために非常に重要です。

▼詳細記事

回旋筋腱板(ローテーターカフ)の構造と作用

前腕筋群の構造と働き

前腕屈筋群は手首を曲げる、手首を小指側に倒す、手首を回外させる(手の平が手前を向くように回す)といった作用があります。

前腕伸筋群は手首を伸ばす、手首を親指側に倒す、手首を回内させる(手の甲が手前を向くように回す)といった作用があります。

空手など打撃格闘技においては、インパクトの瞬間に自身の打撃の反動に負けず突き(パンチ)を加速して打ち抜くために非常に重要です。

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具体的には、下記の一覧のようにインパクトの瞬間に「手首を入れる」動作をすることで突き(パンチ)の威力が倍増します。

正拳突き(ストレート):外転(橈屈)

縦拳突き(ストレート):内転(尺屈)

上段鉤突き(フック):回内

中段鉤突き(ボディーブロー):回外

この筋肉が弱いと、せっかくの突き(パンチ)の打撃が半減するだけでなく、手首を痛める原因にもなるので最優先で鍛えたい筋肉です。

▼詳細記事

前腕筋群の構造と作用

空手など打撃格闘技のための筋トレメニュー

※強化指定選手時の実際の身体つき

空手など打撃格闘技のための具体的な筋トレメニュー・プログラムに関しては、下記の記事をご参照ください。

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ハイキックの種類と蹴り方

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強化指定選手による打撃格闘技の基本理論集

五輪種目テコンドーの強化指定選手である上岡颯による、打撃格闘技の基本理論は下記のページをご参照ください。

上岡颯監修による打撃格闘技の基本理論集はこちら

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