胸部インナーマッスルの一つである前鋸筋(Serratus anterior)の構造・作用と筋力トレーニングの実施方法について解説します。
前鋸筋の構造と作用
前鋸筋は上から1~9番目の肋骨側面の中ほどからはじまり、肩甲骨の裏側に接合しています。
前鋸筋は、肩甲骨を前外方向に引き出す作用および肋骨を斜め上方に引き上げる作用を持ちます。
具体的には、腕を伸ばして前側で閉じ、大胸筋が完全収縮した状態で腕をさらに前に押し出す時に前鋸筋が強く収縮します。
前鋸筋(ぜんきょきん)は、胸部の筋肉のうち、胸郭外側面にある胸腕筋のうちの一つ。肋骨(第1~第9)腱弓を起始とし、肩甲骨と胸郭との間を後上方に走りながら、肩甲骨に停止する。肩甲骨を前外方に引き、肩甲骨が固定されていると肋骨を引き上げる作用がある。
前述の通り、前鋸筋は大胸筋収縮状態(腕を前方に伸ばした状態)から、さらに腕を前に押し出す作用があるため、鍛えることでベンチプレスのフィニッシュ動作の強化にもつながります。また、ボクシングで重要な筋肉であるため、別名「ボクサー筋」とも呼ばれています。
前鋸筋の鍛え方
代表的なトレーニング方法はセレイタスプッシュアップやセレイタスダンベルプレスで、腕を伸ばした状態で小刻みに動作を行います。動画つき解説は下記の記事をご参照ください。
※セレイタス=前鋸筋の英語名称
▼前鋸筋のトレーニング
https://bukiya.net/blog/serratus/
前鋸筋が関与するトレーニング種目は以下の通りです。
腕立て伏せ
胸郭の構造と周辺の筋肉
胸郭を構成する骨格
胸郭は胸骨・肋骨(第1~12)・胸椎(第1~12)および肋軟骨から籠状に構成されています。
胸郭を構成する筋肉
胸郭は胸壁筋群(外肋間筋・内肋間筋・肋下筋・長肋骨挙筋・短肋骨挙筋・胸横筋)および横隔膜から構成されており、胸式呼吸においては胸壁筋群が、腹式呼吸においては横隔膜が強く関与します。
ヒトの胸郭(英:thorax、独:Brustkorb、羅:thorax, pectus)は頚部と腹部の間にあり、心肺など生体重要臓器を容する体部で、円錐台形の籠状の構造になっており、弾力性に富む。胸郭後方には支柱となる12の脊椎がある。この脊椎を起点として12対の肋骨が前下方へ向かい、側方から再び上へ向かい、肋軟骨を介して胸骨と繋がり、肋骨籠 rib cage を構成する。この骨組に肋間筋その他の胸部諸筋、筋膜、横隔膜が付着して胸郭となり、その内壁を肋膜が覆って胸腔 thoracic cavity を形成する。
胸郭の周辺の筋肉
胸郭の周辺の体幹前面には大胸筋・小胸筋・前鋸筋、体幹後面には広背筋・僧帽筋・脊柱起立筋・菱形筋などがあります。
胸郭を構成する筋肉および周辺の筋肉の鍛え方
体幹前面の筋肉
体幹後面の筋肉
▼詳細記事
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執筆者情報
上岡岳
アームレスリング元日本代表
ジムトレーナー・生物学学芸員
JAWA日本アームレスリング連盟常任理事|レフリー委員長・広報広報部長
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