広く男らしい逆三角形の体型になるためには、広背筋を鍛えなくてはいけません。その鍛え方を、自宅で行う自重・ダンベル・チューブトレーニングからご紹介するとともに、ジムで行うバーベルやマシンを使った広背筋の鍛え方まで完全解説します。
目次
■当サイト筋トレ情報のエビデンス(根拠)
筋トレに関するネット情報はさまざまですが、当サイトでは下記の公的サイトの情報に基づき記載をしております。
▼身体活動・運動の重要性について
■広背筋の構造と作用
●広背筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止
読みかた:こうはいきん
英語名称:latissimus dorsi muscle
部位詳細:上部|下部
起始:下位第6胸椎~第5腰椎の棘突起・肩甲骨下角第9~12肋骨|正中仙骨稜・腸骨稜後方
停止:上腕骨小結節稜
●上半身最大の筋肉で前や上から腕を引く作用がある
広背筋は上半身でも最大の筋肉で、上腕の付け根から腰にかけて逆三角形に広く分布しています。
その主な作用は、前や上から上腕を引くことです。上から腕を引く動作では広背筋の側部が強く関わり、前から腕を引く動作では広背筋の中央部が強く関わります。
■筋繊維の種類と筋トレの反復回数
筋力トレーニングの対象となる骨格筋は筋繊維が束となって構成されていますが、その筋繊維には主に速筋と遅筋の二種類があり、さらに速筋は2つのタイプに分けられます。そして、それぞれに特性が異なり、トレーニングでの適正反復回数も異なります。
①遅筋(筋繊維タイプⅠ)
1分以上の持久的な運動において、持続的に収縮する筋繊維です。トレーニングをしても筋肥大は起こらず、筋スタミナが向上します。筋トレにおいては20回の反復で限界がくるような軽負荷でトレーニングを行います。
②速筋(筋繊維タイプⅡa)
30~60秒程度のやや持久要素もある瞬発運動において、持続的かつ瞬発的に収縮する筋繊維です。トレーニングによってやや筋肥大するとともに筋スタミナも向上します。筋トレにおいては12~15回程度の反復で限界がくるような中負荷でトレーニングを行います。
③速筋(筋繊維タイプⅡb)
30秒未満の瞬発運動において、爆発的に収縮する筋繊維です。トレーニングによって強く筋肥大します。筋トレにおいては6~12回程度の反復で限界がくるような高負荷でトレーニングを行います。
骨格筋を構成している筋繊維には大きく分けて速筋と遅筋の2種類があります。速筋は白っぽいため白筋とも呼ばれます。収縮スピードが速く、瞬間的に大きな力を出すことができますが、長時間収縮を維持することができず張力が低下してしまいます。遅筋は赤みがかった色から赤筋とも呼ばれます。収縮のスピードは比較的遅く、大きな力を出すことはできませんが、疲れにくく長時間にわたって一定の張力を維持することができます。
▼厚生労働省公式ページ
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■広背筋を鍛える自重トレーニング
●広背筋側部に効果的な懸垂
広背筋側部を鍛える筋トレの王道とも言えるのが懸垂です。ノーマル懸垂はとくに側部に効果が高いので「逆三角形ボディー」を目指すならば、ぜひともトレーニングに組み込みたい種目です。
動作のポイントは、胸を張り上を見ながら身体を引き上げること、身体を引き上げたときに肩甲骨を寄せて広背筋を完全収縮させることです。
●広背筋中央部に効果的なパラレル懸垂
広背筋でも中央部に効果の高い懸垂が、グリップを平行にして行うパラレル懸垂です。動作のポイントは通常の懸垂とほぼ同様です。
また、どうしても自宅に懸垂する環境が作れないという方は、机を利用した斜め懸垂でもある程度は広背筋を鍛えることが可能です。
斜め懸垂(インバーテッドロー)は、懸垂ができない方や、背筋トレーニングのアップとして最適な種目です。胸を張り、肩甲骨を寄せるイメージで、腕の力ではなく背筋で動作をするようにしてください。
また、器具類がなくても、この画像のように机を流用して行うことも可能です。
ピラミッドセット法|ドロップセット法|アセンディングセット法|ディセンディングセット法|フォースドレップ法|レストポーズ法|パーシャルレップ法|チーティング法|スーパーセット法|コンパウンドセット法|トライセット法|ジャイアントセット法|予備疲労法|部位分割法
■広背筋を鍛えるチューブトレーニング
●広背筋側部に効果的なチューブラットプル①
上から腕を引くことで鍛えられるのが広背筋側部ですが、トレーニングチューブを利用して擬似的にその動作を再現し、広背筋側部を効果的に鍛えられるのが動画のようなチューブラットプルです。腕を引いた時にできるだけチューブを引き広げるのがポイントです。
●広背筋側部に効果的なチューブラットプル②
トレーニングチューブを使って広背筋側部を鍛えるやり方は他にもあります。壁にトレーニングチューブの一端を取り付けてラットプルを行うことでも可能です。
●広背筋中央部に効果的なチューブローイング
広背筋中央部に効果的なチューブトレーニングがチューブローイングです。胸を張りやや上を見ること、肘を開かずに行うのこと、引ききった時に肩甲骨をしっかり寄せることがポイントです。
上半身を傾けすぎると負荷が背筋群からそれてしまいますので、上半身は90度程度に維持し、胸を張って肩甲骨を寄せながら腕を引いてください。
●広背筋中央部に効果的なチューブベントオーバーロー
広背筋のなかでも中央部に効果的なチューブトレーニングがチューブベンチオーバーローです。筋トレの基本スタイルであるニーベントスタイルで行います。
なお、ニーベントスタイルは①胸を張る②背中を反らせる③お尻を突く出す④上を見る⑤膝をつま先より前に出さない、というのがポイントで、多くの筋トレで必要な基本フォームですので、この機会に習得しておくとよいでしょう。
●広い可動域で広背筋側部に効果的なチューブワンハンドローイング
こちらがチューブワンハンドローイングの模範的な動画です。
本種目の最大のメリットをいかし、できるだけ大きな動きで広背筋を最大伸展・最大収縮させてください。
また、腕を引きながら肩甲骨を寄せていき、最後に肩甲骨を寄せきって広背筋を完全収縮させることがポイントです。
■広背筋を鍛えるダンベルトレーニング
●広背筋側部に効果的なデクラインダンベルローイング
やや特殊なトレーニング方法ですが、デクラインベンチを利用して上から腕を引く動作を再現したのがデクラインダンベルローイングです。広背筋を強く意識して動作を行うことで、より負荷が広背筋に集中します。
●広背筋中央部に効果的なワンハンドダンベルローイング
広背筋中央部を鍛えるのにおすすめなダンベルトレーニングがワンハンドダンベルローイングです。片腕ずつ鍛えるので可動範囲が広くとれ、しっかりと広背筋を追い込むことができます。
●広背筋中央部に効果的なダンベルベントオーバーローイング
ダンベルベントオーバーローイングは、広背筋と同時に僧帽筋や長背筋群も鍛えられるダンベル背筋トレーニングの基本種目です。膝をつま先より前に出さず、胸を張り背中を反らせたニーベントスタイルを維持してダンベルを引き上げてください。
ニーベントスタイルの基本をあらわしているのがこちらの画像です。ご参照ください。
●広背筋側部に効果的なダンベルプルオーバー
ダンベルプルオーバーは腕の構え方で大胸筋にも広背筋にも効く特殊なトレーニングです。肘を伸ばして閉じ気味に行うと広背筋側部に負荷がかかります。また、肘を曲げ気味に開いて動作をすると大胸筋に刺激が逃げますので注意が必要です。
■広背筋を鍛えるバーベルトレーニング
●デッドリフト
筋トレBIG3の一つであるデッドリフトは爆発的な負荷刺激により広背筋中央~下部を鍛えることができるバーベル筋トレ種目です。最大の注意点は、終始背中を反らせて動作を行うことです。背中が丸まったフォームだと腰椎を痛める危険性があります。
・世界ランカーによる解説
下記の記事は、当サイトGLINTに客員執筆いただいている、パワーリフティング世界ランカーの奥谷元哉選手による専門記事です。
【デッドリフトのやり方とフォーム】種類別に効果的なセットメニューを元全日本王者が解説
【主な戦歴】
全日本パワーリフティング選手権大会75kg級大会優勝
世界パワーリフティング選手権大会ベンチプレス種目別74kg級2位
アジアパワーリフティング選手権大会ベンチプレス種目別74kg級1位
●広背筋側部に効果的なバーベルストレートアームプルオーバー
ダンベルプルオーバー同様にバーベルプルオーバーも肘を伸ばして閉じ気味に行うことで、広背筋側部を鍛えることができます。
●広背筋中央部に効果的なバーベルベントオーバーロー
バーベルベントオーバーローは広背筋中央部に効果的なトレーニング方法です。そのやり方のポイントはダンベルベントオーバーローとほぼ同様です。なお、バーは太ももの上を沿わせるように引くと効果が高まります。
■広背筋を鍛えるマシントレーニング
●広背筋側部に効果的なケーブルラットプルダウン
ケーブルラットプルダウンは広背筋側部に非常に効果の高いケーブルトレーニングです。その動作ポイントはノーマル懸垂に似ており、胸を張り背中を反らせ、やや上を見ながら手を引いてきます。そして、バーを胸につけるように引くとともに、引ききった時に肩甲骨を完全に寄せて広背筋を完全収縮させてください。
●広背筋中央部に効果的なケーブルローイング
広背筋中央部に効果的なケーブルマシントレーニングがケーブルローイングです。動作のポイントは、胸を張り背中を反らせ上を見ること、肘を開かずに手を引くこと、引ききったときに肩甲骨を完全によせることです。
■筋トレの効果を高める食事
●タンパク質主体の食事を心がける
筋トレの効果を高めるためには、まずはしっかりとタンパク質を摂ることが大切です。一日に体重1kgあたり10gのタンパク質食品(純タンパク質で約2g)を摂るようにしましょう。筋トレと食事に関する詳しい情報は下記の記事をご参照ください。
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執筆者情報
上岡岳
アームレスリング元日本代表
ジムトレーナー・生物学学芸員
JAWA日本アームレスリング連盟常任理事|レフリー委員長・広報広報部長
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