チューブプルオーバーは、大胸筋に縦方向の刺激を加えられ、発達停滞期の起爆剤的なトレーニング方法として知られるプルオーバー系のチューブトレーニングです。また、肘の角度によっては広背筋も鍛えることができる種目となりますが、大胸筋・広背筋に効かせるためのそれぞれのポイントを動画をまじえて解説します。
目次
■チューブプルオーバーが効果のある筋肉部位
●大胸筋と広背筋に効果がある
チューブプルオーバーは、大胸筋と広背筋の両方に効果のあるトレーニング方法です。大胸筋と広背筋の構造と作用は以下の通りになります。
●大胸筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止
読みかた:だいきょうきん
英語名称:pectoralis major muscle
部位詳細:上部|中部(内側)|下部
起始:鎖骨の内側|胸骨前面第2~第6肋軟骨|腹直筋鞘前葉
停止:上腕骨大結節稜
●広背筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止
読みかた:こうはいきん
英語名称:latissimus dorsi muscle
部位詳細:上部|下部
起始:下位第6胸椎~第5腰椎の棘突起・肩甲骨下角第9~12肋骨|正中仙骨稜・腸骨稜後方
停止:上腕骨小結節稜
■プルオーバー動作での大胸筋と広背筋の収縮
●デジタル筋肉動画で確認
こちらは、ダンベルでのプルオーバー時に大胸筋と広背筋がどのように収縮するかデジタル化した動画です。その収縮の様子が視覚的に理解いただけると思います。
■大胸筋に効かせるチューブプルオーバー
●肘を曲げるのがポイント
大胸筋にプルオーバーを効かせるためには、肘をやや曲げて動作を行うとともに、しっかりと大胸筋に意識を集中することが大切です。このように、大胸筋に効かせるためのプルオーバーをベントアームプルオーバーとも呼びます。
なお、チューブトレーニングの場合、高い場所にチューブを取り付け、座った状態で行う方法がやりやすくておすすめです。
【本種目のやり方とフォームのポイント】
①後ろからゴムの張力がかかる状態でトレーニングチューブをグリップし、肘を曲げて構える
②肘の角度を動かさずに、両手を前に下ろしていく
③両手を前に下ろしたら、肩甲骨を開放し、少し顎を引いて大胸筋を完全に収縮させる
④ゆっくりと筋肉に負荷をかけながら元に戻る
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■広背筋に効かせるチューブプルオーバー
●肘を伸ばすのがポイント
一方、広背筋にプルオーバーを効かせる場合は、肘をしっかりと伸ばし、やや胸を張って行うことがポイントになります。
【本種目のやり方とフォームのポイント】
①後ろからゴムの張力がかかる状態でトレーニングチューブをグリップし、肘を伸ばして構える
②肘の角度を動かさずに、両手を前に下ろしていく
③両手を前に下ろしたら、肩甲骨を寄せ、少し顎を上げて広背筋を完全に収縮させる
④ゆっくりと筋肉に負荷をかけながら元に戻る
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■刺激を変えたいときはダンベルプルオーバー
●肘の角度のポイントはチューブと同様
チューブプルオーバーの刺激に慣れてきたらダンベルを用いてダンベルプルオーバーを行うのもおすすめです。ダンベルで大胸筋狙いで行う場合はベンチなどに仰向きになり、やや肘を曲げて行います。
また、こちらは肘を伸ばしたダンベルプルオーバーで広背筋に効果的なやり方です。この場合、上背部だけをベンチにつけて胸を張ったフォームを強制的に作り出すと、正しいフォームで広背筋に負荷をかけることができます。
■チューブプルオーバーの目的別の重量負荷設定
筋トレで鍛える骨格筋を構成している筋繊維には以下の三種類があり、それぞれの特徴は次の通りです。
①速筋繊維TYPE2b
約10秒前後の短い時間に爆発的・瞬発的な収縮をする特徴があり、トレーニングにより強く筋肥大します。10回前後の反復回数で限界がくる重量設定で鍛えます。
②速筋繊維TYPE2a
10~60秒ほどのやや長時間で瞬発的な収縮をする特徴があり、トレーニングによりやや筋肥大します。15回前後の反復回数で限界がくる重量設定で鍛えます。
③遅筋繊維TYPE1
60秒以上数分・数時間の持続的・持久的な収縮をする特徴があり、トレーニングにより筋肥大せずに筋密度が上がります。20回以上の反復回数で限界がくる重量設定で鍛えます。
つまり、筋肥大バルクアップ目的なら①、細マッチョ筋トレや女性の部分ボリュームアップ目的なら②、減量引き締めダイエット目的なら③、の負荷回数設定で筋トレを行っていきます。ただし、腹筋郡・前腕筋郡・下腿三頭筋など日常での使用頻度が高い部位は、基本的に20回以上高反復回数で鍛えます。
■おすすめのトレーニングチューブ
トレーニングチューブは単品で買い揃えるよりも、強さの違う複数のものがセットされたものを購入するのがリーズナブルです。
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■チューブトレーニングの基礎知識
●チューブトレーニングの長所と短所
チューブトレーニングは種目が豊富で、複数の筋肉を同時に使う複合関節運動(コンパウンド種目)から単一の筋肉を集中的に鍛えられる単関節運動(アイソレーション種目)まで揃っていることがメリットです。
ただし、トレーニングチューブの特性上あまり高負荷はかけられませんので、ダイエットや細マッチョトレーニングには有効ですが、筋肥大にはあまり向いていません。
ですので、チューブトレーニングの前に予備疲労として自重トレーニングやダンベルトレーニングを行うのが理想と言えます。
なお、他のチューブトレーニングメニューについては、下記の種目別解説記事をご参照ください。
■チューブトレーニング全種目一覧
筋トレの食事メニュー例
筋肉の名称と作用の図鑑
男性向きの記事|女性向きの記事
自宅での筋トレ|自宅での筋トレ
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執筆者情報
上岡岳
アームレスリング元日本代表
ジムトレーナー・生物学学芸員
JAWA日本アームレスリング連盟常任理事|レフリー委員長・広報広報部長
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