上腕二頭筋の鍛え方・筋トレ方法について、自宅での自重・ダンベルトレーニングからジムでのバーベル・マシントレーニングまで幅広く紹介します。上腕二頭筋は腕のなかでも最も目立つ部分でいわゆる「力こぶ」の筋肉です。逞しい腕を目指すのならば、ぜひとも鍛えたい部位です。
※ジムで実際に筆者が実践・指導している経験をもとに執筆しています。
目次
■当サイト筋トレ情報のエビデンス(根拠)
筋トレに関するネット情報はさまざまですが、当サイトでは下記の公的サイトの情報に基づき記載をしております。
▼身体活動・運動の重要性について
■上腕二頭筋の部位と働き
●長頭・短頭から構成される
上腕二頭筋は内側に位置する長頭と、外側に位置する短頭の2つの部位から構成されています。力こぶの高さを作るのが長頭で、上腕二頭筋全体のボリュームに関わるのが短頭です。この2つの部位をバランスよく鍛えていくことが上腕二頭筋トレーニングのポイントです。
●上腕二頭筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止
読みかた:じょうわんにとうきん
英語名称:biceps
部位詳細:長頭|短頭
起始:肩甲骨関節上結節|肩甲骨烏口突起先端
停止:橈骨粗面
●上腕二頭筋長頭は肘関節を屈曲させる作用を持つ
上腕二頭筋長頭は肘関節を屈曲させる作用を持ち、上腕筋と強い共働関係にあります。なお、腕力は上腕二頭筋よりも上腕筋のほうが強く関与しています。
●上腕二頭筋短頭は肘関節屈曲と前腕回外作用を持つ
上腕二頭筋短頭は肘関節屈曲のみならず、前腕を回外させる作用を持っています。このため、トレーニングにおいても、この旋回運動を組み込むことで効果が倍増します。
●上腕二頭筋の共働筋
上腕二頭筋は肘関節の屈曲において上腕筋や烏口腕筋と共働します。特に上図の上腕筋との連動は強く、純粋に肘関節屈曲動作では、上腕筋のほうが筋力が強く主働筋とも言えます。これは、上腕筋が半羽状筋という収縮力の強い筋繊維構造をしていることに起因します。
また、前腕の回外動作においてはは回外筋や腕橈骨筋といった上腕筋群と共働します。なお、腕橈骨筋は前腕筋群最大の筋肉で、スポーツ競技の能力にも大きく関わっています。
なお、全身の筋肉名称と作用についてさらに詳しく調べたい方は、下記のリンク先をご参照ください。
▼参考記事
筋肉の名前図鑑|全身の骨格筋の名前と作用およびその鍛え方・筋トレ方法を完全解説
■筋繊維の種類と筋トレの反復回数
筋力トレーニングの対象となる骨格筋は筋繊維が束となって構成されていますが、その筋繊維には主に速筋と遅筋の二種類があり、さらに速筋は2つのタイプに分けられます。そして、それぞれに特性が異なり、トレーニングでの適正反復回数も異なります。
①遅筋(筋繊維タイプⅠ)
1分以上の持久的な運動において、持続的に収縮する筋繊維です。トレーニングをしても筋肥大は起こらず、筋スタミナが向上します。筋トレにおいては20回の反復で限界がくるような軽負荷でトレーニングを行います。
②速筋(筋繊維タイプⅡa)
30~60秒程度のやや持久要素もある瞬発運動において、持続的かつ瞬発的に収縮する筋繊維です。トレーニングによってやや筋肥大するとともに筋スタミナも向上します。筋トレにおいては12~15回程度の反復で限界がくるような中負荷でトレーニングを行います。
③速筋(筋繊維タイプⅡb)
30秒未満の瞬発運動において、爆発的に収縮する筋繊維です。トレーニングによって強く筋肥大します。筋トレにおいては6~12回程度の反復で限界がくるような高負荷でトレーニングを行います。
骨格筋を構成している筋繊維には大きく分けて速筋と遅筋の2種類があります。速筋は白っぽいため白筋とも呼ばれます。収縮スピードが速く、瞬間的に大きな力を出すことができますが、長時間収縮を維持することができず張力が低下してしまいます。遅筋は赤みがかった色から赤筋とも呼ばれます。収縮のスピードは比較的遅く、大きな力を出すことはできませんが、疲れにくく長時間にわたって一定の張力を維持することができます。
▼厚生労働省公式ページ
●上腕二頭筋トレーニングの順番
上腕二頭筋に限らず、トレーニングはより重く強い力で鍛えられる、複数の関節・筋肉を動員する複合関節トレーニング=コンパウンド種目からはじめ、上腕二頭筋だけで動作をする単関節トレーニング=アイソレーション種目で仕上げるのが効率的な鍛え方です。
筋トレの呼吸法|筋トレの頻度|筋トレの順番|筋トレの回数設定|筋肉の名前と作用|筋肉の超回復期間|筋トレの食事例|筋トレの栄養学|男性の筋トレメニュー|女性の筋トレメニュー
■上腕二頭筋の複合関節トレーニング
●自宅での自重を使った複合関節トレーニング
・リバースグリップ懸垂(逆手懸垂)
上腕二頭筋の自重・複合関節トレーニングの定番がリバースグリップ懸垂です。通常の懸垂は「腕で上がらない」ように意識しますが、この場合はやや背中を丸め「腕で上がる」ことを意識してください。
・机を使った逆手斜め懸垂
懸垂が苦手な方や、懸垂装置がない方は、この動画のように机を流用した逆手斜め懸垂を行うことで上腕二頭筋を鍛えることが可能です。
●自宅でのダンベルを使った複合関節トレーニング
・ダンベルローイング
背筋のダンベルトレーニングの定番であるダンベルローイングですが、上腕二頭筋を強く意識して動作を行うことで、かなり効果的に上腕二頭筋を鍛えることができます。重めの重量設定で、下ろすときにブレーキをかけて鍛えるネガティブトレーニングは非常に高い負荷が得られます。
●ジムでのバーベルを使った複合関節トレーニング
・バーベルベントオーバーロー
ダンベルトレーニングと同様に、バーベルでのベントオーバーローも意識を集中し、ネガティブトレーニングをすることで効果的に上腕二頭筋を追い込むことができます。
・ドラッグカール
通常の単関節運動・バーベルカールと違い、肘を後ろに引く動作を加えた複合関節運動・バーベルドラッグカールはより高重量で上腕二頭筋に負荷をかけることができます。特に上腕二頭筋短頭に効果的です。
●ジムでのマシンを使った複合関節トレーニング
・リバースグリップラットプルダウン
リバース懸垂と同様で、マシンを使ったリバースグリップでのラットプルダウンは上腕二頭筋に刺激を集中させることが可能です。この場合、背中で引かないように意識してください。
ピラミッドセット法|ドロップセット法|アセンディングセット法|ディセンディングセット法|フォースドレップ法|レストポーズ法|パーシャルレップ法|チーティング法|スーパーセット法|コンパウンドセット法|トライセット法|ジャイアントセット法|予備疲労法|部位分割法
■上腕二頭筋の単関節トレーニング
自重トレーニングでは上腕二頭筋のみを鍛える単関節トレーニングは基本的にありませんので、リバース懸垂で意識をより上腕二頭筋に集中し追い込み・仕上げを行ってください。
なお、器具なしでどうしても上腕二頭筋に刺激を与えたい場合は、こちらの動画のようなパームカールと呼ばれるアイソメトリックストレーニングが知られています。
●自宅でのダンベルを使った単関節トレーニング
・ダンベルカール
ダンベルを使った上腕二頭筋の単関節トレーニングの代表格がダンベルカールです。なお、ダンベルを上げるときに手を回外するように旋回さえると短頭を追い込むことができます。
・ダンベルハンマーカール
ダンベルを縦に保持したまま動作を行うダンベルハンマーカールは、上腕二頭筋長頭に効果が高いだけでなく、上腕筋にも効果があり、丸く太い腕を作るのに欠かせないトレーニングです。
・ダンベルコンセントレーションカール
回外方向への旋回運動をともなったダンベルコンセントレーションカールは、上腕二頭筋短頭に対して効果の高いトレーニング方法です。
・ダンベルサイドカール
ダンベルサイドカールはダンベルハンマーカールのバリエーションの一つで、上腕二頭筋長頭のマイナーな作用である肩関節の水平内転・屈曲を利用した、非常に収縮率の高いトレーニング方法です。
・インクラインダンベルカール
インクラインダンベルカールは、肘を体幹の後方に置くことで上腕二頭筋短頭を強く収縮させることのできる筋トレ方法です。
肘を動かさず、肩の直下に固定して動作をすることが最大のポイントです。
●自宅でのトレーニングチューブを使った単関節トレーニング
・チューブカール
トレーニングチューブを使って上腕二頭筋を鍛える単関節種目が、チューブカールです。トレーニングチューブには、伸びれば伸びるほど負荷が増加する漸増負荷特性があり、筋肉を最大収縮差焦られることが最大のメリットになります。自重トレーニングやダンベル筋トレの後の、仕上げトレーニングとして行うとベストです。上腕二頭筋をしっかりと完全収縮させるように意識して行ってください。
・チューブハンマーカール
チューブハンマーカールはチューブカールのバリエーションの一つですが、拳を縦にして動作をすることにより上腕二頭筋のなかでも長頭に集中的な負荷がかかります。
また、二次的に上腕筋にも効果的です。
●ジムでのバーベルを使った単関節トレーニング
・バーベルカール
バーベルを使った上腕二頭筋の単関節トレーニングの基本がバーベルカールです。ゆっくりとした動作で上げるときも下すときも効かせながら行うのが大切です。また、重めの重量を反動で上げておき、下ろすときにひたすら耐えるネガティブトレーニングは爆発的な負荷を上腕二頭筋に与えることができます。
・プリチャーカール
カール台を使ったプリチャーカールは反動を使えなくすることで、徹底的に上腕二頭筋を追い込むことのできる単関節トレーニングです。
・バーベルリバースカール
バーベルリバースカールは上腕二頭筋の長頭と上腕筋、さらには前腕筋群にも効果的なバーベルトレーニングです。
握力に自身のない方はリストストラップを併用することをおすすめします。
・バーベルドラッグカール
バーベルドラッグカールは通常にカールの動作に肘を後ろに引く動作を加えたもので、これによってより高重量で鍛えることができるだけでなく、上腕二頭筋短頭に強い負荷を加えることのできる種目です。
●ジムでのマシンを使った単関節トレーニング
・ケーブルカール
マシンを使ったケーブルカールは、上腕二頭筋が完全収縮した状態でも負荷がかかり続けるので、とても効率的に鍛えることのできる単関節トレーニングです。
・ケーブルハンマーカール
また、ケーブルアタッチメントを使用することで、上腕二頭筋に違った刺激を与えることも重要です。
■筋トレだけでなく食事も大切
●筋トレの三大要素は「筋トレ」「食事」「睡眠」
上腕二頭筋に限らず、筋トレの三大要素は「筋トレ」「食事」「睡眠」です。このどれが欠けても、効率的な筋肉の発達はありません。とくに食事には細心の心がけが必要で、ある意味、筋トレ自体以上に大切な要素と言えるでしょう。
筋肉を発達させていく場合、体重1kgにつき2gの純タンパク質が必要となります。かなりの量ですが、そのためには、食事に関する栄養学的な知識を身につけることが必須です。
●上腕二頭筋を発達させる食事メニュー
なにも上腕二頭筋の筋トレだけではありませんが、トレーニングをしたら筋肉の超回復と筋肥大に必要となるタンパク質を適切に摂取しましょう。タンパク質摂取が不十分だと、せっかくのトレーニングが結果になりませんので注意が必要です。
筋肥大に必要なタンパク質量の目安は、男性の場合で体重1kgあたり約2g前後(純タンパク質)です。なお、おおよその計算方法ですが、タンパク質食品の重さは純タンパク質1gの5倍の重量になります(例:肉類100gに純タンパク質は20g含まれる)。
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執筆者情報
上岡岳
アームレスリング元日本代表
ジムトレーナー・生物学学芸員
JAWA日本アームレスリング連盟常任理事|レフリー委員長・広報広報部長
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