ナイアシン(ビタミンB3)の1日あたりの摂取基準量とその作用・働き、および筋力トレーニングやダイエットにおける関わりについて解説します。
目次
ナイアシンとはどんな物質?
ナイアシン (Niacin) は、ニコチン酸とニコチン酸アミド(ナイアシンアミド)の総称で、ビタミンB3 ともいう。水溶性ビタミンのビタミンB複合体のひとつ。物質としては安定している。糖質・脂質・タンパク質の代謝に不可欠である。エネルギー代謝中の酸化還元酵素の補酵素として重要である。循環系、消化系、神経系の働きを促進するなどの働きがある。通常の食生活では欠乏しにくいが、トウモロコシが主食の生活圏では欠乏することがあり、ペラグラ、皮膚炎、口内炎、神経炎や下痢などの症状を生じる。過剰症では紅潮などナイアシンフラッシュを生じる。
ビタミンとは?
ビタミンとは、生命を維持するのに必要な物質のうち、タンパク質・炭水化物・脂質以外の有機化合物のことです。
ビタミンには、ビタミンA・ビタミンB群(1・2・3・5・6・7・9・12)・ビタミンC・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンKがあり、日本では厚生労働省がその摂取基準を定めています。
ナイアシンの作用と働き
ナイアシンはビタミンB3とも呼ばれる水溶性ビタミンで、ニコチン酸およびニコチンアミドの総称です。
ビタミンB3は体内でピリジンヌクレオチドに生合成された後、補酵素としてタンパク質・脂質・炭水化物(いわゆるPFC)の代謝に関与します。
また、ステロイドホルモンの生合成・アデノシン三リン酸(ATP)の生産、デオキシリボ核酸(DNA)の修復および合成といった各種反応に深く関与しています。
ナイアシンは、以下のような作用・働きを持ちます。
①タンパク質・脂質・炭水化物の代謝の補酵素
②脂肪酸の生合成に関与
③ステロイドホルモンの生合成に関与
④ATP生産に関与
⑤DNA修復・合成に関与
ナイアシンの不足と過剰摂取
ナイアシンが不足すると?
ナイアシンが不足するとペラグラという症状を引き起こすことが知られており、具体的には皮膚炎・口内炎・神経炎や下痢などです。
ナイアシンを過剰摂取すると?
ナイアシンを過剰に摂取すると、紅潮や脱力感などの症状がある「ナイアシンフラッシュ」という状態になることが知られていますが、ナイアシンは水溶性で排出が速いため、重篤な状況にはならないとされています。
ナイアシンとトレーニング
ナイアシンはPFC(タンパク質・脂質・炭水化物)の代謝の補酵素として働くだけでなく、タンパク同化に関わるホルモンの生合成にも深く関与しているので、筋力トレーニングにとって重要なビタミンであると言えるでしょう。
ナイアシンフラッシュを避け、適正量を摂取することが推奨されます。
ナイアシンが多く含まれる食品
①カツオ
カツオ100gあたりのビタミン・ミネラル
ビタミンA 20μg
ビタミンD 9μg
ビタミンE 0.1mg
ビタミンB1 0.1mg
ビタミンB2 0.17mg
ナイアシン 18mg
ビタミンB6 0.77mg
ビタミンB12 8.6μg
葉酸 4μg
パントテン酸 0.62mg
ビオチン 5.7μg
ナトリウム 38mg
カリウム 380mg
カルシウム 8mg
マグネシウム 38mg
リン 260mg
鉄 1.9mg
亜鉛 0.9mg
銅 0.1mg
マンガン 0.02mg
ヨウ素 25μg
セレン 100μg
②タラ
タラ100gあたりのビタミン・ミネラル
ビタミンA 9μg
ビタミンD 1μg
ビタミンE 0.8mg
ビタミンB1 0.1mg
ビタミンB2 0.1mg
ナイアシン 1.4mg
ビタミンB6 0.07mg
ビタミンB12 1.3μg
葉酸 5μg
パントテン酸 0.44mg
ビオチン 2.5μg
ナトリウム 110mg
カリウム 350mg
カルシウム 32mg
マグネシウム 24mg
リン 230mg
鉄 0.2mg
亜鉛 0.5mg
銅 0.04mg
マンガン 0.01mg
ヨウ素 350μg
セレン 31μg
③煮干し
煮干し100gあたりのビタミン・ミネラル
ビタミンD 18μg
ビタミンE 0.9mg
ビタミンB1 0.1mg
ビタミンB2 0.1mg
ナイアシン 16.5mg
ビタミンB6 0.28mg
ビタミンB12 41.3μg
葉酸 74μg
パントテン酸 1.81mg
ナトリウム 1700mg
カリウム 1200mg
カルシウム 2200mg
マグネシウム 230mg
リン 1500mg
鉄 18mg
亜鉛 7.2mg
銅 0.39mg
※数値は「食品成分データベース(文部科学省)」を参照しています。
ナイアシンの1日の摂取基準量
ナイアシンはアミノ酸であるトリプトファンからも体内生合成されるため、ニコチン酸とニコチンアミドだけでなくトリプトファン含有量も考慮した「ナイアシン当量(mgNE)」という数値であらわされます。
なお、ナイアシン当量の計算式は以下のとおりです。
ナイアシン当量(mgNE)=ナイアシン(mg)+1/60 トリプトファン(mg)
「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によれば、ナイアシンの1日あたりの摂取基準量(推奨量)は成人男性で約14~15mgNE、成人女性で約11~12mgNEとされています。
必須ミネラル・ビタミンの個別解説記事の一覧
必須ミネラル
カリウム|カルシウム|ナトリウム|マグネシウム|リン|鉄|亜鉛|銅|ヨウ素|マンガン|セレン|クロム|モリブデン
必須ビタミン
ビタミンA|ビタミンB1|ビタミンB2|ビタミンB3(ナイアシン)|ビタミンB5(パントテン酸)|ビタミンB6|ビタミンB7(ビオチン)|ビタミンB9(葉酸)|ビタミンB12|ビタミンC|ビタミンD|ビタミンE|ビタミンK
トレーニングに有効なタンパク質食材
筋力トレーニング後の食材として欠かせないのが高タンパク質・低カロリーな肉類・魚介類です。
そして、常にトレーニングに有効な食事を摂取するためには、日によって品質にばらつきのないよう、あらかじめ品質を確認した食材を冷凍ストックしておくといった工夫が有効的です。
▼具体的なタンパク質食材例
食事・栄養に関する記事
筋力トレーニングと食事・栄養に関する情報については、下記の記事をご参照ください。