筋トレの栄養学|筋肥大やダイエットに重要な栄養素

筋力トレーニングを実施して成果を出していくためには、トレーニング自体の知識以外に栄養についての知識が必要で、それに基づき適切な栄養摂取をしていくことが重要です。

 

筋肥大やダイエットに必要な栄養学の知識をご紹介するとともに、筋力トレーニングに不可欠な栄養素について解説します。

 

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三大栄養素について

タンパク質・炭水化物・脂質

まず、はじめに知っていただきたいのが、食事の三大栄養素(エネルギー産生栄養素)で、それはタンパク質(protein)・糖質(carbohydrate)・脂質(fat)の三種類です。そして、その三種類の栄養素の頭文字をとって、栄養素バランスのことをPFCバランスと呼びます。

 

この三種類の栄養素の特徴とグラムあたりのカロリーは以下の通りです。

 

 
○タンパク質(4kcal/g)

タンパク質は筋肉を構成する物質で、筋トレで鍛えた筋肉を大きくするための材料となります。

 

 
○糖質(4kcal/g)

糖質は活動のためのエネルギー源になるだけでなく、タンパク質を筋肉として合成する時の筋肉合成カロリーとして働きます。

 

 
○脂質(9kcal/g)

脂質も糖質と同様のエネルギー源としての働きを持ちますが、グラムあたりの熱量が高く、貯蔵エネルギーとして効率的なので、余剰カロリーは体脂肪として貯えられます。

 

▼詳細記事

https://sfphes.org/2019/08/musclefood.html

 
 

厚生労働省による三大栄養素に関する記載

エネルギー産生栄養素(えねるぎーさんせいえいようそ)

食物中に含まれる身体に必須の成分のうち、たんぱく質・脂質・炭水化物の総称。

人間の身体になくてはならない栄養素のうち、エネルギー(カロリー)源となる「たんぱく質・脂質・炭水化物」を『エネルギー産生栄養素』と呼んでいます。以前は、三大栄養素とも言われていました。

引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-013.html

 
 

筋トレ目的別に適切なPFCバランス

筋トレの食事メニューは、まずは摂取タンパク質量の算出を基準にします。

 

バルクアップなら3:1:6のPFCバランス

バルクアップ筋トレの場合、体重1kgあたり2gの純タンパク質(肉類換算10g)が一日に必要で、体重60kgの場合120g(肉類換算600g)の純タンパク質が必要になります。

 

そして、バルクアップのためにはタンパク質の2~3倍の筋肉合成カロリーが必要となるため、そのPFCバランスはおよそ3:1:6とされていますので、約240gの糖質と約40gの脂質が必要となります。

 

ダイエットなら4:1:5のPFCバランス

ダイエットに最適なPFCバランスは、タンパク質の比率が高めの4:1:5とされています。同様に計算すると、体重60kgの場合120g(肉類換算600g)の純タンパク質に対して、およそ150gの糖質と15gの脂質が必要となります。

 

▼詳細記事

 

PFCバランスの計算方法

 

三つの栄養素はバランスが重要視されている。これはPFCバランスと呼ばれ、タンパク質のProtein、脂質のFat、炭水化物のCarbohydrateの頭文字をとっている。PFCバランスはカロリーにおける比率をあらわしている。一般的に炭水化物の比率は60%前後とされ、脂質の比率が25~30%を超えると生活習慣病が増えるといわれ、食生活指針での指導の一項目となる。

引用:Wikipedia「栄養学」

 
 

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ビタミンとミネラル

微量ながら不可欠な栄養素

ビタミンとミネラルは微量ながら生命維持に不可欠な栄養素で、不足すると筋力トレーニングによる身体つくりにも悪影響が生じます。また、筋力トレーニングを実施することで通常よりも多くのビタミン・ミネラルが消費されますので、推奨されている一日の摂取量よりもやや多めに摂取していくことも意識してください。

 

ビタミンとは

ビタミンとは、タンパク質・炭水化物・脂質以外の有機物のなかでも生体内での化合が不可能で、かつ生命維持に必要不可欠な物質の総称です。

 

ビタミンには、ビタミンA・ビタミンB(1.2.3.5.6.7.9.12)・ビタミンC・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンKの13種類があります。

 

ビタミン(ヴィタミン、英語: vitamin [ˈvaɪtəmɪn, ˈvɪtəmɪn])は、生物の生存・生育に微量に必要な栄養素のうち、その生物の体内で十分な量を合成できない炭水化物・タンパク質・脂質以外の有機化合物の総称である(なお栄養素のうち無機物はミネラルである)。ヒトのビタミンは13種が認められている。

引用:Wikipedia「ビタミン」

 
 

エネルギー産生栄養素に比べ微量ではあるものの、人体の機能を正常に保つため必要な有機化合物。体内ではほとんど合成することができないため、食物から摂取する必要がある。人体の機能を正常に保つために必要な有機化合物です。その性質から水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンに分けることができます。

引用:厚生労働省eヘルスネット「ビタミン」

 
 

ミネラルとは

ミネラルとは、食品有機物に含まれる4つの元素、すなわち炭素・酸素・水素・窒素(C・O・H・N)以外の必須元素で無機質とも呼ばれ、前述の三大栄養素にビタミンとミネラルを加えて「五大栄養素」とも呼称されています。

 

なお、人の生命維持に必要な必須ミネラルはナトリウム・マグネシウム・リン・硫黄・塩素・カリウム・カルシウム・クロム・マンガン・鉄・ヨウ素・銅・亜鉛・セレン・モリブデン・コバルトの16種類です。

 

日本国内においては厚生労働省により、13元素(前述の16元素より硫黄・塩素・コバルトを除いたもの)が健康増進法に基づく食事摂取基準の対象として定められています。

 

ミネラル(mineral)は、一般的な有機物に含まれる4元素(炭素・水素・窒素・酸素)以外の必須元素である。無機質、灰分(かいぶん)などともいう。蛋白質、脂質、炭水化物、ビタミンと並び五大栄養素の1つとして数えられる。欠乏症だけでなく過剰摂取も病気の原因ともなる。 ミネラルは人の体内で作ることはできないため、毎日の食事からとる必要がある。

引用:Wikipedia「ミネラル」

 
 

ミネラルは体内で合成できないため食物として摂る必要があります。不足した場合は欠乏症やさまざまな不調が発生しますが、摂りすぎた場合にも過剰症や中毒を起こすものがあります。

「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンを多量ミネラル、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデンを微量ミネラルとして、基準を設定しています。

ミネラルは、互いに吸収や働きに影響をあたえ合うことがあるため、バランスよく摂ることが求められます。

引用:厚生労働省eヘルスネット「ミネラル」

 
 

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ビタミン・ミネラル一覧

必須ミネラル

カリウムカルシウムナトリウムマグネシウムリン亜鉛ヨウ素マンガンセレンクロムモリブデン

 

必須ビタミン

ビタミンAビタミンB1ビタミンB2ビタミンB3(ナイアシン)ビタミンB5(パントテン酸)ビタミンB6ビタミンB7(ビオチン)ビタミンB9(葉酸)ビタミンB12ビタミンCビタミンDビタミンEビタミンK

 

タンパク質の栄養学

アミノ酸スコアとは

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アミノ酸スコアとは、人間にとっての必須アミノ酸(体内合成できないアミノ酸)全9種類の含有率を点数化したものです。

 

人間の必須アミノ酸にはバリン、ロイシン、イソロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、ヒスチジンがあり、その比率は決まっています。ですので、摂取したタンパク質食品全てがアミノ酸として分解・吸収されるわけではなく、比率として最も少ない必須アミノ酸に合わせた分しか吸収利用できません。

 

そして、タンパク質食品のうちどのくらいが利用可能かを点数化したものがアミノ酸スコアと呼ばれるもので、アミノ酸スコアが100に近い食品ほどタンパク質食品として優秀で、多くの肉類・魚介類はアミノ酸スコア100点です。

 

アミノ酸スコアは、食品中の必須アミノ酸の含有比率を評価するための数値である。特定の食品に対し、窒素1gあたりに占める必須アミノ酸が基準値と比較してどれだけ含有されているかを評価するものである。

引用:Wikipedia「アミノ酸スコア」

 
 

▼詳細記事

主な食品のアミノ酸スコア

 

 

主たるタンパク質食品

魚類

アイナメアコウダイアジアナゴアマゴアマダイアユイカナゴイサキイシダイイトヨリダイイワシイワナウシノシタウナギウマヅラハギエイオヒョウカジキマグロカツオカマスカレイカワハギカンパチキスキダイキビナゴキンメダイコチサーモンサバサヨリサワラサンマシイラシシャモシマアジシラウオシラススズキタラトビウオトラフグニギスニシンニジマスヒラメブリ・ハマチホッケマグロマダイ

 

貝類

アカガイアサリアワビ貝柱牡蠣サザエシジミタイラギツブガイトリガイハマグリ

 

甲殻類

甘エビ伊勢海老海老(ブラックタイガー・バナメイエビ)クルマエビケガニシャコタラバガニ

 

その他魚介類食品

イカイクラウニ数の子カニカマ蒲鉾キャビアこのわた笹かまぼこすじこタコナマコ煮干し明太子

 

肉類

牛肉豚肉鶏肉ソーセージ

 

乳製品

牛乳チーズヨーグルト

 

大豆製品

豆腐豆乳枝豆納豆きな粉

 

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炭水化物の栄養学

グリセミック指数にも気を配る

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ダイエット系の筋トレでは、特に食品の血糖値の上がりやすさの指標となるグリセミック指数について知っておく必要があります。

 

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グリセミック指数とは食品における血糖値の上がり方を客観的に数値化したものです。GI値とも呼ばれ、その基準は50gのブドウ糖を100として算出します。

 

代表的な炭水化物食品のグリセミック指数は以下の記事で解説しています。

 

グリセミック指数 (glycemic index) とは、食品ごとの血糖値の上昇度合いを間接的に表現する数値である。1981年にデヴィッドJ.ジェンキンズ博士らが、食品による血糖値の上がり方の違いを発見し提唱した。グリセミック・インデックスまたはGI値とも表現される。

引用:Wikipedia「グリセミック指数」

 
 

▼詳細記事

 

主な食品のグリセミック指数

 

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主たる炭水化物食品

食パンじゃがいもうどんそばパスタラーメン焼きそば

 

具体的な食事メニュー例

ここまで解説してきた栄養学の知識に基づいた、具体的な食事メニュー例(筋肥大・ダイエットそれぞれ)および食材・食品については、下記の記事で詳しく解説しています。

 

▼トレーニング効果を高める食事

【目的別筋トレ食事メニュー例】

 

▼ダイエットに有効な食材・食品

【ダイエット食材・食品40選】

 

コンビニエンスストアーの活用

近年では健康ブームの高まりにより、コンビニエンスストアーでも健康的な栄養バランスが考慮された食品が提供されています。それらをトレーニング前後に活用するのも有効です。

 

厚生労働省によるコンビニの活用法

弁当・惣菜の中には、「低エネルギー」、「1日分の1/2の野菜がとれる」、「小さいサイズ」などといった健康に配慮した商品もみられます。さらに、一部のコンビニエンスストアでは、「健康な食事・食環境」認証制度において「スマートミール」の認証を受けた弁当を購入することができます。「スマートミール」とは、健康に資する要素を含む栄養バランスの取れた食事のことです。

引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-003.html

 

具体的な筋トレ前後それぞれに最適なコンビニ食については下記の記事をご参照ください。

 

▼詳細記事

https://sfphes.org/2019/09/conveniencefood.html

 

外食店の活用

また、トレーニング後30~60分は「タンパク質吸収のゴールデンタイム」と呼ばれています。トレーニング施設から帰宅・食事まであまりに時間がかかるようであれば、外食店を活用するのも有効です。

 

厚生労働省による外食の情報

外食とは、食堂やレストランなどの飲食店やファストフード店・喫茶店・居酒屋・事業所給食等での食事を指します。外食の利用は、特に単身者や20~30代の男性で多い傾向にあります。外食店を日常的に利用する場合、健康管理のためにも、料理を上手に選ぶことが大切です。▼詳細記事

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-005.html

 

筋力トレーニング後に適切で具体的な外食メニューの選び方は、下記の記事をご参照ください。

 

▼詳細記事

https://sfphes.org/2019/09/outfood.html

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記事制作©FutamiTC/MazurenkoJapan


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執筆者情報
上岡岳
アームレスリング元日本代表
ジムトレーナー・生物学学芸員
JAWA日本アームレスリング連盟常任理事|レフリー委員長・広報広報部長

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