上半身の筋力トレーニングの補助用品として多用されるのがエルボースリーブ=肘サポーターですが、その有効性と種類について解説します。
スポーツで生じやすい肘関節の痛み
スポーツによって生じやすい肘関節の痛みには、野球肘・テニス肘(上腕骨外側上顆炎)・変形性肘関節症などがあります。なお、野球肘は肘関節自体の痛み、テニス肘は肘関節周辺靭帯の痛みです。
野球肘
繰り返しボールを投げることによって肘への負荷が過剰となることが原因です。肘の外側で骨同士がぶつかって、骨・軟骨が剥がれたり痛んだりします。また、肘の内側では靱帯・腱・軟骨がいたみます。肘の後方でも骨・軟骨がいたみます。
テニス肘
中年以降のテニス愛好家に生じやすいのでテニス肘と呼ばれています。
一般的には、年齢とともに肘の腱がいたんで起こります。病態や原因については十分にはわかっていませんが、主に短橈側手根伸筋の起始部が肘外側で障害されて生じると考えられています。 この短橈側手根伸筋は手首(手関節)を伸ばす働きをしています。
①長橈側手根伸筋:手首(手関節)を伸ばす働きをします。
②短橈側手根伸筋:同様に手首を伸ばす働きをします。
③総指伸筋:指を伸ばす働きをします。
変形性肘関節症
肘関節の酷使(スポーツ、重労働)肘関節内骨折などの肘関節外傷、関節炎などが原因としてあげられます。
病態は、外傷では関節軟骨が摩耗して骨が関節面に露出し、主に内側では過剰な骨の突起(骨棘)ができます。骨棘は出っ張っているため関節の動きを制限します。さらに進行すると骨棘が折れてかけらとなり、関節内の遊離体となって引っかかり、ロッキングの原因となります。
肘の痛みの種類
肘関節の炎症
スポーツに起因する肘の痛みの原因の一つが、肘関節自体の炎症です。
※画像引用:amazon.co.jp
この場合、圧迫型のエルボースリーブ・肘サポーターを使用するのが一般的です。
肘周辺靭帯の炎症
もう一つの原因が、肘関節をまたいで接合する靭帯部分の炎症で、上腕側と前腕側の二種類があります。
※画像引用:amazon.co.jp
この場合、簡易的には、前腕部の靭帯付け根を圧迫するタイプの肘サポーターが使用されます。
靭帯の先には筋肉がありますので、さらに確実なサポートが必要な場合には、その筋繊維の方向にあわせてサポートをするタイプのエルボースリーブ・肘サポーターが必要です。
画像のようなXタイプエルボースリーブは、サポートラップの巻き方を変えることで筋繊維の方向に合わせた装着が可能です。
また、ラップを平行に巻くことで高強度の圧迫型サポーターとしての使用も可能となっています。
Xタイプをはじめとした、エルボースリーブ・肘サポーターに関するさらにくわしい情報は下記の記事に記載しています。
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執筆者情報
上岡岳
アームレスリング元日本代表
ジムトレーナー・生物学学芸員
JAWA日本アームレスリング連盟常任理事|レフリー委員長・広報広報部長
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