大胸筋・背筋・腕などの基本的な自重トレーニングメニューを解説するとともに、限界を突破して筋肥大するための負荷のかけ方や適切な回数設定の方法もご紹介します。あわせて、一週間の効果的なプログラムの組み方も例示します。
本記事では下記の公的サイトの情報に基づき記載をしております。
▼運動プログラム作成の原理原則
運動プログラム作成のための原理原則-安全で効果的な運動を行うために
目次
■自重トレーニングで筋肥大するか?
●答はイエス・ただし工夫が必要
筆者(アームレスラー)がハンマーカールの持ち方を解説するために撮影した自分自身の写真です。ボディービルダーの方々に比べると、決して筋肉が太いとは言えないかもしれませんが、「筋肉を太くしたい」と考える一般的な男性からすると筋肥大した身体と言えるとは思います。
実際、トレーニングジムを運営している筆者ですが、基本的にバーベルやダンベルを使ったトレーニングはほとんど行いません。
アームレスリングは対人コンタクト競技なので、フレキシブルに使える筋肉の鍛え方をしたいと考え、ほとんどのトレーニングは腕立て伏せ・ディップス・懸垂など「原始的な」自重トレーニングで行っています。
よく、「自重トレーニングでは筋肥大しない」という声もありますが、そんなことはないと考えています。実際、100kgですので懸垂をすれば100kgのラットプルダウンに等しいですし、ディップスをすれば上腕三頭筋にかかる負荷は100kgのベンチプレスとあまりかわりません。
もちろん、体重が軽い方は、その体重負荷だけでは負荷不足になるかもしれませんが、ウエイトをぶら下げたり担いだりして懸垂や腕立て伏せをすれば、十分に筋肥大に必要な負荷を筋肉に与えることができます。
こちらは、筆者のジムで練習とトレーニングをしていたアームレスリングU21全日本チャンピオンですが、このように鎖を巻きつけ、二段懸垂を行うことで、筋肥大に十分な負荷を得られています。
また、筋肥大を促すために、あえてスロースピードで動作を行うなど、自重トレーニングも工夫次第で十分に筋肥大は可能です。
■筋肥大のための負荷・回数設定
●10回前後で限界がくるように調整する
筋トレで鍛える骨格筋を構成している筋繊維には以下の三種類があり、それぞれの特徴は次の通りです。
①速筋繊維TYPE2b
約10秒前後の短い時間に爆発的・瞬発的な収縮をする特徴があり、トレーニングにより強く筋肥大します。10回前後の反復回数で限界がくる重量設定で鍛えます。
②速筋繊維TYPE2a
10~60秒ほどのやや長時間で瞬発的な収縮をする特徴があり、トレーニングによりやや筋肥大します。15回前後の反復回数で限界がくる重量設定で鍛えます。
③遅筋繊維TYPE1
60秒以上数分・数時間の持続的・持久的な収縮をする特徴があり、トレーニングにより筋肥大せずに引き締まります。20回以上の反復回数で限界がくる重量設定で鍛えます。
つまり、バルクアップ・筋肥大目的なら①の10回前後の反復回数で限界がくるように、重りを身につけるか動作自体をゆっくり行うことで、負荷を調整することが可能です。
なお、腹筋に関しては、その筋繊維の構成として遅筋繊維がとても多いので、20回の反復回数で鍛えていくのが一般的です。
●自重トレーニングは毎日していいか?
よくある誤解に「自重トレーニングはウエイトトレーニングではないから毎日していい」というものがありますが、これは誤りです。
●超回復理論により適切な休息期間をあけるべき
筋肉は筋トレによって負荷を受けると、筋繊維が破壊されます。そして、回復する時に、負荷を受ける前よりも強くなって回復する能力が備わっており、これを「超回復」と呼びます。
この超回復という筋肉の特性を利用し、定期的に筋トレによって意図的に筋繊維を破壊し、筋肉を強くしていくのが「筋トレと超回復」の基本理論です。
よく「超回復理論は証明されていない」と言う記載もありますが、公的機関のホームページにもしっかりと記載されていますので、自重トレーニングもやはり超回復理論にのっとって行うことが大切です。
■筋トレ(無酸素運動)と超回復理論に関する公的情報
”筋肉はレジスタンス運動を行うと筋線維の一部が破断されます。それが修復される際にもとの筋線維よりも少し太い状態になります。これを「超回復」と呼び、これを繰り返すと筋の断面積が全体として太くなり筋力が上がります。筋力のトレーニングはこの仕組みを利用して最大筋力に近い負荷でレジスタンス運動し、筋が修復されるまで2~3日の休息ののち、またレジスタンス運動でトレーニングということの繰り返しによって行われます。(厚生労働省|e-ヘルスネット)”
▼厚生労働省公式ページ
筋トレの呼吸法|筋トレの頻度|筋トレの順番|筋トレの回数設定|筋肉の名前と作用|筋肉の超回復期間|筋トレの食事例|筋トレの栄養学|男性の筋トレメニュー|女性の筋トレメニュー
■全身の筋肉部位名称と作用
筋トレで鍛える全身の筋肉部位は、その連動性・共働関係から以下のようにグループ分けでき、それぞれの筋肉の主な作用は以下の通りです。
●上半身プレス系の筋肉
・大胸筋:腕を前に押し出し閉じる
・三角筋:腕を上・前・横・後ろに上げる
・上腕三頭筋:肘を伸ばす
・前腕伸筋群:手首を伸ばす
●上半身プル系の筋肉
・僧帽筋:腕を下から引き上げる
・広背筋:腕を上・前から引き寄せる
・上腕二頭筋:肘を曲げる
・前腕屈筋群:手首を曲げる
●体幹周辺の筋肉
・腹筋群:体幹を屈曲・回旋させる
・長背筋群:体幹を伸展:回旋させる
・腸腰筋群:脚を前に上げる
・臀筋群:脚を後ろに上げる
●下半身の筋肉
・大腿四頭筋:膝を伸ばす
・大腿二頭筋:膝を曲げる
・下腿三頭筋:足首を伸ばす
・前脛骨筋:足首を曲げる
なお、さらに詳しい筋肉の名称と作用は以下の筋肉名称図鑑をご参照ください。
▼筋肉名称図鑑
【筋肉の名前と作用の完全図鑑】筋トレ部位の名称と共働筋・拮抗筋|その鍛え方
それでは、次の項目からは筋肉部位別の自重トレーニング種目とそのやり方・ポイントを解説していきます。
ピラミッドセット法|ドロップセット法|アセンディングセット法|ディセンディングセット法|フォースドレップ法|レストポーズ法|パーシャルレップ法|チーティング法|スーパーセット法|コンパウンドセット法|トライセット法|ジャイアントセット法|予備疲労法|部位分割法
■大胸筋の自重トレーニング
●大胸筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止
読みかた:だいきょうきん
英語名称:pectoralis major muscle
部位詳細:上部|中部(内側)|下部
起始:鎖骨の内側|胸骨前面第2~第6肋軟骨|腹直筋鞘前葉
停止:上腕骨大結節稜
●膝つき腕立て伏せ
筋力的に通常の腕立て伏せができない方におすすめなのが、こちらの動画のような膝つき腕立て伏せです。背すじを真っ直ぐに維持したまま動作を行うのがポイントです。また、腕を押し切った位置で、顎をやや引くと大胸筋が完全に収縮し効果が高まります。
▼動画つき解説
●腕立て伏せ
腕立て伏せは、背すじを真っ直ぐに維持したまま動作を行うのがポイントです。また、腕を押し切った位置で、顎をやや引くと大胸筋が完全に収縮し効果が高まります。
手幅は肩幅よりもやや広くするのが基本ですが、手幅を広げると三角筋に、手幅を狭めると上腕三頭筋への負荷が高まります。
▼動画つき解説
●足上げ腕立て伏せ
足上げ膝つき腕立て伏せは、大胸筋を中心として三角筋と上腕三頭筋にも効果があります。腕を押し出す角度が体幹に対して斜め上方向になるので、なかでも、大胸筋上部に高い効果があります。
腹を突き出すフォームになると、せっかくの軌道が一般的な腕立て伏せと同じになってしまうので、やや腰を曲げ気味で行うくらいが適切なフォームです。
▼動画つき解説
●斜め腕立て伏せ
こちらがインクラインプッシュアップ(斜め腕立て伏せ)の模範的な画像で、ポイントは腰を突きだしたり背中を丸めないことです。
腰を突きだしたり背中を丸めたりすると、せっかくの斜め下に腕を押し出す軌道が通常の腕立て伏せとかわらなくなりますので、どちらかと言えば、少しお腹を突きだすくらいのイメージで行うとよいでしょう。
▼動画つき解説
●片手腕立て伏せ
片手腕立て伏せは、プッシュアップ系種目のなかでも最高強度のトレーニング方法の一つです。
片手腕立て伏せが上手くできるかどうかは、筋力以外にバランスが上手くとれるか否かということがポイントになります。バランスをとりやすくするために、大きく足を開くとともに、手は全身の重心となるみぞおち付近の直下に置きます。
また、上体を手をついた方へ軽く斜めに傾けることで、さらにバランスがとりやすくなります。
▼動画つき解説
●ディップ
ディップは、大胸筋を中心として上腕三頭筋にも効果があります。腕を押し出す角度が体幹に対して斜め下方向になるので、なかでも、大胸筋下部に高い効果があります。
身体を下ろす時に、やや前傾姿勢で行うのがポイントです。また、肘をあまり開くと、大胸筋ではなく上腕三頭筋に大きく負荷が逃げてしまうので注意してください。
なお、ディップスタンドで行うのが理想ですが、この動画のように、椅子を二つ利用して代用することも可能です。
▼動画つき解説
■三角筋の自重トレーニング
●三角筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止
読みかた:さんかくきん
英語名称:deltoid muscle
部位詳細:前部|中部(側部)|後部
起始:鎖骨外側前縁|肩甲骨肩峰|肩甲骨肩甲棘
停止:上腕骨三角筋粗面
●パイクプッシュアップ
パイクプッシュアップは大きく腰を曲げた状態で腕立て伏せの動作を行いますが、三角筋に効果がある軌道、すなわち上方へ腕を押し出す軌道で行うことがポイントです。
また、肘が体幹よりも後ろ(背面側)になるフォームだと、肩関節を痛めるリスクがありますので、かならず肘は体幹よりも前側にするようにしてください。
▼動画つき解説
●足上げパイクプッシュアップ
こちらのパイクプッシュアップは、足上げパイクプッシュアップと呼ばれるのもので、通常のパイクプッシュアップよりも強い負荷を三角筋にかけることができます。
次にご紹介する、より高負荷種目の逆立ち腕立て伏せの準備・練習種目としても最適です。
●逆立ち腕立て伏せ
逆立ち腕立て伏せは倒立した状態で腕立て伏せの動作を行いますが、自立する必要はなく、動画のように壁を利用するのが効率的なやり方です。
また、肘が体幹よりも後ろ(背面側)になるフォームだと、肩関節を痛めるリスクがありますので、かならず肘は体幹よりも前側にするようにしてください。
▼動画つき解説
●ワイドスタンスでの腕立て伏せ
通常の腕立て伏せよりも手幅を広く、ワイドスタンスに手を構えると、大胸筋外側と三角筋に強い刺激を与えることができます。動作のポイントは反動を使わないことで、反動を使うと三角筋に過剰な負荷がかかり、肩関節損傷の原因となりますので注意してください。
●ネガティブ懸垂
三角筋後部を直接的に鍛える(コンセントリック収縮=短縮性収縮)自重トレーニング種目はありませんが、懸垂で身体を下ろす時に耐える動作(エキセントリック収縮=伸張性収縮)で三角筋後部をトレーニングすることが可能です。
■上腕三頭筋の自重トレーニング
●上腕三頭筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止
読みかた:じょうわんさんとうきん
英語名称:triceps
部位詳細:長頭|外側頭|内側頭
起始:肩甲骨関節下結節|上腕骨後面|上腕骨後面
停止:尺骨肘頭
●ダイヤモンド腕立て伏せ
ダイヤモンド腕立て伏せは、親指と人差し指でダイヤモンド型を作って腕立て伏せを行うことにより、上腕三頭筋に効果的な狭いグリップでの腕立て伏せが、手首への負担を抑えて行うことができます。
肘を開き気味に行うと上腕三頭筋短頭(外側)に、閉じ気味で行うと上腕三頭筋長頭(内側)に対する負荷が強まります。
▼動画つき解説
●ベンチディップス
ベンチディップスは、やや後傾して上腕三頭筋に負荷をかけながら行うのがポイントです。
肘を開き気味に行うと上腕三頭筋短頭(外側)に、閉じ気味で行うと上腕三頭筋長頭(内側)に対する負荷が強まります。
●膝つきダイヤモンド腕立て伏せ
こちらが手幅を狭くし親指と人差し指で菱形を作って行う、ダイヤモンド膝つき腕立て伏せの動画です。筋力的に通常のダイヤモンド腕立て伏せができない方におすすめです。
■背筋群の自重トレーニング
●広背筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止
読みかた:こうはいきん
英語名称:latissimus dorsi muscle
部位詳細:上部|下部
起始:下位第6胸椎~第5腰椎の棘突起・肩甲骨下角第9~12肋骨|正中仙骨稜・腸骨稜後方
停止:上腕骨小結節稜
こちらが広背筋で、上側部と中央下部に分けられます。
●僧帽筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止
読みかた:そうぼうきん
英語名称:trapezius muscle
部位詳細:上部|中部|下部
起始:後頭骨上項線・外後頭隆起・頚椎棘突起|第7頚椎・第1~3胸椎棘突起|第4~12胸椎棘突起
停止:肩甲棘・肩峰
こちらが僧帽筋で、上部・中部・下部に分けられます。
●斜め懸垂
斜め懸垂(インバーテッドロー)は、懸垂ができない方や、背筋トレーニングのアップとして最適な種目です。胸を張り、肩甲骨を寄せるイメージで、腕の力ではなく背筋で動作をするようにしてください。
また、器具類がなくても、この画像のように机を流用して行うことも可能です。
▼動画つき解説
●シーツを使った斜め懸垂
こちらの動画は、シーツをドアに挟んで行う斜め懸垂(インバーテッドロウ)です。この方法だと角度が自在に調整できるので、筋力に自信のない方でも簡単に背筋を鍛えることが可能です。
●懸垂
懸垂は僧帽筋・広背筋といった背筋を中心に上腕二頭筋にも効果があります。特に広背筋側部に効果が高く、逆三角形の上半身作りには重要です。
懸垂は、胸を張り肩甲骨を寄せるイメージで、腕の力ではなく背筋で身体を引き上げることが大切です。
また、どうしてもバーより上に顎を出そうとしがちですが、背筋トレーニングとしての懸垂ではその必要はありません。
背中を反らし、胸をバーにつけにいく動作のほうが背筋には効果があります。
▼動画つき解説
●パラレル懸垂
パラレル懸垂は、僧帽筋・広背筋といった背筋を中心に上腕二頭筋・上腕筋にも効果があります。特に僧帽筋と広背筋中央部に効果が高いため、分厚い上半身作りには重要です。
胸を張り肩甲骨を寄せるイメージで動作をすることが大切です。顎を上げ、背中を反らし胸から先行して動作をするようにしてください。
●バックエクステンション
バックエクステンションは脊柱沿いに位置しているインナーマッスルの長背筋群に効果があります。長背筋群は体幹を伸展させる作用と姿勢を維持する作用があり、筋トレの基本となる重要な部位です。
こちらの画像が、長背筋群を鍛える種目=バックエクステンションのもっともスタンダードな自重でのやり方です。
本種目は、長背筋群の筋収縮と首の連動性を考慮して「下を見ない」ことが大切です。下を見ながら動作を行っても長背筋群は最大収縮せず、適切の効果を得ることができません。前を見て動作を行ってください。また、反動を使って反復を行うと、腰椎に強い負荷がかかり腰痛の原因になります。反動は使わず、ゆっくりとして動作を心がけてください。
▼動画つき解説
■上腕二頭筋の自重トレーニング
●上腕二頭筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止
読みかた:じょうわんにとうきん
英語名称:biceps
部位詳細:長頭|短頭
起始:肩甲骨関節上結節|肩甲骨烏口突起先端
停止:橈骨粗面
●逆手懸垂
逆手懸垂は、胸を張り肩甲骨を寄せて行うと僧帽筋を中心とした背筋のトレーニングになりますが,上腕二頭筋をターゲットにして行う場合は、やや背中を丸め、背筋の力を使わずに腕の力だけで身体を引き上げるのがポイントです。
▼動画つき解説
■腹筋群の自重トレーニング
●腹筋群の英語名称・構造・部位詳細・起始停止
読みかた:ふっきんぐん
英語名称:abdominal muscles
部位詳細:腹直筋|外腹斜筋|内腹斜筋|腹横筋
起始:恥骨稜・恥骨結合・恥骨結節|第5~12肋骨外面|胸腰筋膜深葉・上前腸骨棘・鼡径靭帯・腸骨稜|第7~12肋軟骨内面・鼡頚靭帯・上前腸骨棘
停止:剣状突起・第5~7肋軟骨外面|鼡径靭帯・腹直筋鞘前葉・腸骨稜外唇|第10~12肋骨下縁・腹直筋鞘・精巣挙筋|剣状突起・白線・恥骨
こちらが腹筋群で、表層から順に腹直筋・外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋の四層構造をしています。
●フロントプランク
腹筋トレーニングのアップとしてもおすすめな体幹トレーニングがフロントプランクで、こちらの動画が、もっともスタンダードなフロントプランクのやり方になり、肘をついて背すじを伸ばした状態で静止します。
動作で大切なポイントは四つあり、それは次の通りです。
①腰を曲げない
腰を曲げて突き出したスタイルでフロントプランクを行うと、負荷の大半は肝心の体幹部分に加わらず、腕や脚に負荷が逃げてしまいます。あくまでも体幹トレーニングですので、しっかりと背すじを真っ直ぐに伸ばし、腹筋群や脊柱起立筋に効かせるようにしてください。
②お腹を突き出さない
逆に、お腹を突き出したスタイルでのフロントプランクも、負荷の多くが腕や脚に逃げてしまう上、腰が反った状態になるため腰椎に対して負担となり、腰痛の原因となってしまうことも少なくありません。お腹を突き出さないと姿勢を維持できなくなった場合は、セットを中止し、少し休憩してから再びセットを行なうことをおすすめします。
③肩の真下に肘を置く
フロントプランクは腕を鍛えるトレーニングではありませんので、できるだけ腕の筋力に頼らないように、肩の真下に肘を置き、上半身の体重は筋力ではなく上腕骨で垂直に支えるようにしてください。
④前を見て姿勢を維持する
フロントプランクのセット終盤になってくると、どうしても苦しくなって下を向いて顎を引きがちですが、フロントプランクで姿勢を支える背筋群=脊柱起立筋と顎の連動性は「顎を上げると背筋が収縮する」です。
下を向いて顎を引いてしまうと、脊柱起立筋は弛緩しがちで余計に姿勢を維持しにくくなりますので、前を見ることで顎を上げて姿勢を維持することが大切なポイントです。
●クランチ
クランチは、腹筋群のなかでも腹直筋に効果があります。特に腹直筋上部に効果的な種目です。
反動を使い腰が反るようなフォームで行うと腰痛の原因になりますので注意が必要です。
息を吐きながら上半身を起こしていき、起こしきった位置で顎を引いて息を吐ききることで腹直筋が完全収縮させるのがポイントです。
▼動画つき解説
●レッグレイズ
レッグレイズは、腹筋群のなかでも腹直筋下部に高い効果があります。
反動を使い腰が反るようなフォームで行うと腰痛の原因になりますので注意してください。また、セット中は床に足をつけないことも大切なポイントです。
▼動画つき解説
●リバースクランチ
リバースクランチは腹筋群のなかでも腹直筋に、特に腹直筋下部に効果があります。
レッグレッグが足を上げて腹直筋を収縮させるのに対し、腰を浮かせる動作で腹直筋を収縮させるのが特徴です。
このため、足をあまり動かす必要がないことが特徴で、腹筋運動が苦手な方でも取り組みやすい種目です。
▼動画つき解説
●クランチツイスト
クランチツイストは腹筋群のなかでも腹斜筋に効果があります。また、二次的に腹直筋にも効果的です。
できるだけ大きな捻り運動を行い、腹斜筋を最大伸展・最大収縮させるのがポイントです。
また、腹筋運動が苦手な方は、一回の起き上がりに対して片側一回の捻りにとどめ、強度を下げて行ってください。
●腰痛になりにくい腹筋運動
・カールアップがおすすめ
今回ご紹介している腹筋運動では腰痛が不安な方には、腰への負担が少ないカールアップと呼ばれる種目がおすすめです。
詳しくは下記の記事で解説していますので、ぜひ、ご一読ください。
▼関連記事
【カールアップの効果的なやり方】腰痛になりにくい腹筋の筋トレ方法
■下半身の自重トレーニング
●大腿四頭筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止
読みかた:だいたいしとうきん
英語名称:quadriceps
部位詳細:大腿直筋|外側広筋|内側広筋|中間広筋
起始:腸骨下前腸骨棘・寛骨臼上縁|大腿骨大転子外側面・転子間線・殿筋粗面|大腿骨粗線内側唇|大腿骨前外側面
停止:膝蓋骨上縁・脛骨粗面|膝蓋骨上外側縁・頸骨粗面|膝蓋骨上内側縁・脛骨結節|膝蓋骨・頸骨粗面
●ハムストリングスの英語名称・構造・部位詳細・起始停止
読みかた:はむすとりんぐす
英語名称:hamstrings
部位詳細:大腿二頭筋長頭|大腿二頭筋短頭|半膜様筋|半腱様筋
起始:坐骨結節|大腿骨粗線外側唇・外側筋間中隔|坐骨結節|坐骨結節内側面
停止:腓骨頭|腓骨頭|脛骨内側顆・斜膝窩靭帯|脛骨粗面内側
●スクワット
自重スクワットは、大腿四頭筋を中心にハムストリングス(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)・臀筋群・下腿筋群など下半身全体に効果があります。
自重スクワットの正しいフォームを一言で表現すれば、椅子に座って立ち上がる動作と言えます。そのポイントは以下の通りです。
・胸を張る
・背中を反らせる
・顎を上げる
・膝をつま先より前に出さない
なお、動作がやりにくい方は、手を前に出してバランスをとったり、かかとに薄い板をしいてみるとやりやすくなります。
▼動画つき解説
●シシースクワット
シシースクワットは、下半身の筋肉のなかでも大腿四頭筋に集中的な効果があり、上半身を大きく後ろに傾けることにより、レッグエクステンションのような状態を作り出し、大腿四頭筋に負荷を集中させるトレーニングです。
画像のように、柱などを保持してバランスをとれば、下半身の動作に集中できて効率的です。
▼動画つき解説
●ブルガリアンスクワット
ブルガリアンスクワットは、下半身全体に効果がありますが、なかでも下半身後面、つまりハムストリングス(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)および臀筋群に高い効果があります。
ブルガリアンスクワットは、片足を前に、片足を後ろに置いて行うスクワットのバリエーションです。基本的なフォームのポイントは通常のスクワット同様で、以下の通りです。
・胸を張る
・背中を反らせる
・顎を上げる
・膝をつま先より前に出さない
なお、前足を主体にして動作を行うと、シングルスクワットのように大腿四頭筋に高い負荷をかけられます。
逆に、後ろ足を主体にして動作を行うと、ハムストリングスから臀筋群に負荷を集中させることが可能です。
▼動画つき解説
●ワイドスクワット
ワイドスクワットは、太もも内側の内転筋群をターゲットにしたトレーニングですが、内転筋群はインナーマッスルなので、意識を集中しておかないとアウターマッスルの大腿四頭筋などで動作をしがちになります。
しっかりと太もも内側に意識を集中して動作を行ってください。
なお、画像のようにつま先立ちになるバリエーションで行うと、同時に下腿三頭筋にも効かせることが可能です。
●フロントランジ
フロントランジは、下半身全体に効果的な種目ですが、なかでもハムストリングスや臀筋群といった下半身後面に効果的です。
大切なことは、膝への負担を避けながら動作を行うことで、このためには、膝をつま先より前に出さないように気をつけるとともに、前傾姿勢にならないようにすることが大切です。
また、常にお尻を後ろに引いたイメージで動作を行ってください。
なお、太もも後面をターゲットにする場合は、後ろにした足を主体にして動作してください。
●サイドランジ
サイドランジは、太もも内側の内転筋群に効果的です。また、二次的に大腿四頭筋外側にも効果があります。
サイドランジは、太もも内側の内転筋群に効果があるトレーニングですが、内転筋群はインナーマッスルなので、意識を集中しておかないとアウターマッスルの大腿四頭筋を使った動作になりがちです。
太もも内側に意識を集中するとともに、伸ばした方の足で身体を引き上げるイメージで行ってください。
▼動画つき解説
■一週間の部位分割プログラム例
一日に全身全ての筋肉を鍛えると、筋肉の超回復には72時間以上が必要なので、週に多くて2回、一般的には1回しかトレーニングをすることはできません。また、全身の筋肉を同時に回復させるのは、栄養摂取の面からも難易度が高くなります。
このような筋トレのやり方は、かなり非効率なトレーニングプログラムであり、通常は全身を連動性の高い筋肉グループに分け、ローテーションで一週間をかけて全身を鍛えていきます。
これを部位分割筋トレ=スプリットトレーニングと言いますが、バルクアップ筋トレにおいては、筋肉を回復させる期間と栄養摂取の観点から、週2~3回に分割するのがもっとも効率的です。
●筋トレの正しい順番
筋トレを実施する場合に気をつけたいのが、筋トレの種目を行っていく順番です。その基本的な正しい順番は以下の通りです。
①複数の筋肉を使う種目(コンパウンド種目)
②高重量で行う種目
③単一の筋肉を使う種目(アイソレーション種目)
④低重量で行う種目
●週3回の部位分割筋トレメニュー
もっとも筋肥大に効率的とされているのが週3回の部位分割筋トレプログラムです。これは、連動性の高い筋肉群を効率的に鍛えられるだけでなく、超回復の観点からも言えることです。その分割例を以下に例示します。
①上半身プレス系筋トレ+腹筋筋トレ
②下半身筋トレ
③上半身プル系筋トレ+長背筋筋トレ
●週2回の部位分割筋トレメニュー
やや効率は落ちますが、二分割のスプリットトレーニングも効果的です。その分割の仕方は以下の通りです。
①上半身プレス系筋トレ+下半身筋トレ
②上半身プル系筋トレ+体幹系筋トレ
■具体的な一週間の自重筋トレプログラム例
最後に、自重トレーニングでの具体的な一週間の3分割筋トレプラグラムを例示します。あくまでも一例ですので、体力にあわせてセット数を増減させてください。
○週一回目:上半身プレス系筋トレ+腹筋筋トレ
①上半身プレス系複合関節種目
腕立て伏せ・足上げ腕立て伏せ・ディップなどを3セット前後
②三角筋コンパウンド種目
パイクプッシュアップ・逆立ち腕立て伏せなどを3セット前後
③上腕三頭筋種目
ダイヤモンド腕立て伏せ・ベンチディップスなどを3セット前後
④腹筋トレーニング
クランチ・レッグレイズ・四の字クランチなどを3セット前後
○週二回目:下半身筋トレ
①下半身の総合種目
スクワットを3セット前後
②下半身前面の種目
シシースクワット・サイドランジなどを3セット前後
③下半身後面の種目
ブルガリアンスクワットを3セット前後
○週三回目:上半身プル系筋トレ+腹筋筋トレ
①上半身プル系総合種目
斜め懸垂・懸垂などを3セット前後
②僧坊筋の種目
パラレル懸垂を3セット前後
③上腕二頭筋の種目
逆手懸垂を3セット前後
④腹筋トレーニング
クランチ・レッグレイズ・四の字クランチなどを3セット前後
■筋トレ効果を高める食事と栄養
●栄養面の管理はトレーニングと同様に重要な要素
初心者の方にありがちなのが、トレーニング自体をするだけで満足してしまい、トレーニングと同等に重要な栄養面の管理を怠ってしまうことです。いくら筋トレを頑張っても、食事や栄養管理をしないとほとんど効果がありません。
まず、筋トレをして筋肥大するためには体重あたり2gの純タンパク質が必要とされています(引き締めやダイエットの場合は1~1.5g)。つまり、70kgの人の場合、一日に140gの純タンパク質(肉類に換算して700g)とかなり多く、筆者のジムでは、この量を摂りきれていないために筋肥大が停滞していると思われる初心者会員も少なくありません。
また、タンパク質を一度に吸収できる量は純タンパク質で約30g(肉類換算で150g)と一般的に言われており、一日三度の食事では筋肥大に必要なタンパク質量をまかないきれないと考え、筆者のジムでは、選手や会員は一日五食ほどにするか、プロテインを利用しています。
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筋トレの基本グッズはトレーニングベルト
腰を保護するだけでなく、腹圧を高め最大筋力を向上させてくれるトレーニングギアがトレーニングベルトです。筋トレにおいては、ほぼ必須のギアとも言えますので、ぜひ入手することをおすすめします。なお、トレーニングベルトはトレーニーにとって「筋トレの友」とも言える存在になってきます。はじめから安易なものを選ばずに、考えているよりもワンランク・ツーランク上のものを入手することがベルト選びの秘訣です。
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執筆者情報
上岡岳
アームレスリング元日本代表
ジムトレーナー・生物学学芸員
JAWA日本アームレスリング連盟常任理事|レフリー委員長・広報広報部長
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