筋トレBIG3と呼ばれるウエイトトレーニングの基本中の基本種目=ベンチプレス・デッドリフト・スクワットに関して解説します。あわせて、各派生種目および全身の筋肉部位別の代表的なバーベル筋トレについてもご紹介します。
※筆者が運営するトレーニングジムで実際に実践・指導している経験をもとに執筆しています。
※筋トレと食事に関するネット情報はさまざまですが、当サイトでは下記の公的機関の情報に基づいて記載しています。
▼運動プログラム作成の原理原則
運動プログラム作成のための原理原則-安全で効果的な運動を行うために
なお、本格的なバーベルトレーニングの実施に際しては、いわゆるフィットネスジムなどではなく、フリーウエイトトレーニング専門のジムで実施することが器材の充実度やトレーナーの専門性の観点などから推奨されます。
目次
■まずは全身の筋肉をグループ分け
●上半身の押す筋肉・引く筋肉・体幹の筋肉・下半身の筋肉
トレーニングを始める前に、ぜひ知っておきたいのが全身の筋肉の名称・作用と共働する(一緒に動く)筋肉のグループ分けです。鍛える対象をしっかりと把握しておくことは、筋トレの効果を出すためにとても大切なことです。
全身の筋肉は、一般的に上半身の押す筋肉・引く筋肉・体幹の筋肉・下半身の筋肉に分けられますが、そのグループを構成する主な筋肉の名称と作用を以下にまとめました。
●上半身の押す筋肉グループ
上半身の押す動作をする筋肉のグループには、胸の筋肉・大胸筋、肩の筋肉・三角筋、腕の筋肉・上腕三頭筋があり、それぞれの作用は以下の通りです。
○大胸筋:上部・下部・外側・内側に分けられ、腕を前方に押し出すしたり腕を前方で閉じる作用があります。
○三角筋:前部・中部・後部に分けられ、腕を前や横に上げる作用があります。
○上腕三頭筋:長頭・内側頭・外側頭から構成され、肘を伸ばす作用があります。
●上半身の引く筋肉グループ
上半身の引く動作をする筋肉のグループには、背中の筋肉・僧帽筋と広背筋、腕の筋肉・上腕二頭筋があり、それぞれの作用は以下の通りです。
○僧帽筋:下から腕を引いたり肩甲骨を引き寄せる作用があります。
○広背筋:中央部と側部に分けられ、それぞれ前や上から腕を引く作用があります。
○上腕二頭筋:長頭と短頭に分けられ、肘を曲げる作用があります。
●体幹の筋肉グループ
体幹の筋肉のグループには、体幹前面の筋肉・腹筋群と体幹背面の筋肉・長背筋群、股関節周辺の筋肉群・腸腰筋群や臀筋群があり、それぞれの作用は以下の通りです。
○腹筋群:腹直筋・内腹斜筋・外腹斜筋・腹横筋の四層構造をしており、体幹を屈曲・回旋させる作用があります。
○長背筋群:脊柱沿いの筋肉群で最長筋・多裂筋・脊柱起立筋などから構成され、体幹を伸展・姿勢維持の作用があります。
○腸腰筋群:大腰筋・腸骨筋などから構成される股関節と大腿部をつなぐ体幹前面の筋肉群で、脚を前に持ち上げる作用があります。
○臀筋群:大臀筋・中臀筋・小臀筋の三層構造をした股関節と大腿部をつなぐ体幹後面の筋肉群で、脚を後ろに持ち上げる作用があります。
●下半身の筋肉グループ
下半身の筋肉のグループには、太もも前面の筋肉・大腿四頭筋、太もも背面の筋肉群・ハムストリングス、ふくらはぎの筋肉・下腿三頭筋筋があり、それぞれの作用は以下の通りです。
○大腿四頭筋:大腿直筋・外側広筋・内側広筋・中間広筋に分けられ、膝関節を伸展させる作用があります。
○ハムストリングス:大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋から構成され、膝関節を屈曲させる作用があります。
○下腿三頭筋:ふくらはぎの筋肉で足首を伸ばす作用があります。
なお、さらに詳しい筋肉の名称と作用は以下の筋肉名称図鑑をご参照ください。
▼筋肉名称図鑑
【筋肉の名前と作用の完全図鑑】筋トレ部位の名称と共働筋・拮抗筋|その鍛え方
■筋トレBIG3とは
●ベンチプレス・デッドリフト・スクワットの3種目
筋トレBig3と呼ばれる種目がありますが、それは、ベンチプレス・デッドリフト・スクワットの3種目のことです。この3つの筋トレを行えば、ほぼ全身がくまなく鍛えられることから、このように呼ばれています。また、パワーリフティング競技の公式3種目です。
■ベンチプレスと派生種目
ベンチプレスは主に大胸筋・三角筋・上腕三頭筋に効果があるバーベル筋トレメニューで、上半身の押す筋肉を発達させる上で基本となる種目です。
●フラットベンチプレス
こちらがバーベルベンチプレスの模範的な画像です。まず、ベンチに仰向けになり、肩甲骨をしっかりと寄せて構えます。軽くブリッジを作り、肩甲骨2点とお尻のあわせて3点で上半身を支え、さらに足を踏ん張って計5点で全身を支えます。
ラックからバーベルを外したら、肩甲骨の寄せが緩まないように気をつけながらみぞおちの真上までバーベルを移動させ、そこから筋力でコントロールしながら下ろしていきます。
胸にバーベルシャフトがついたらバーベルを押し上げますが、この時に肩甲骨を寄せたまま押し始めることに意識を集中してください。
この意識ができていないと、肩から先行して動くフォームになってしまい、肩関節に大きな負荷がかかるので注意が必要です。
トレーニングとしてバーベルベンチを行う場合には、完全に肘が伸びるポジションまでバーベルを押し上げる必要はなく、やや肘が曲がり筋肉に対する負荷が抜けない位置(肘を伸ばしてロックしない位置)で折り返すようにします。
なお、一般的な筋トレでは「力を入れながら息を吐く」ことが基本ですが、バーベルベンチプレスにおいては息を吸い込んだまま呼吸を止めて、胸郭を広げて行う呼吸方法がやりやすいでしょう。
バーベルベンチプレスでは、肩関節保護のため動作の間は常に肩甲骨を寄せる意識で行ってください。また、尻を浮かせると重い重量が挙がりますが、その癖がつくと、重量を追求するあまり、際限なく腰を浮かせてしまうことになりかねませんので、「尻は浮かせない」ことをご自身のなかのルールとして決めておくことをおすすめします。
また、少しでも重い重量を挙げたいあまり、胸の上でバーベルをバウンドさせている光景をたま見かけますが、これも際限なく強くバウンドさせる癖がついてしまい危険ですので、バウンドプレスは行わないようにしましょう。
●インクラインベンチプレス
こちらがベンチプレスの派生種目の一つであるインクラインベンチプレスです。斜め上方向への挙上軌道となり、通常のベンチプレスにくらべ大胸筋上部と三角筋に強い負荷がかかります。
●デクラインベンチプレス
こちらがベンチプレスの派生種目の一つでデクラインプレスです。斜め下への挙上軌道となるので、通常のベンチプレスにくらべ大胸筋下部に負荷が強くかかります。
●クローズグリップベンチプレス
こちらも派生種目の一つであるナローグリップ(クローズグリップ)ベンチプレスです。通常のベンチプレスにくらべ、上腕三頭筋にかかる負荷が増大します。
●ワイドグリップベンチプレス
ワイドグリップバーベルベンチプレスは、通常のベンチプレスよりも拳一つ分ほど広くシャフトをグリップして行うバリエーションです。大胸筋の外側に強い負荷がかかり、ベンチプレスの初動での筋力を向上させるために有効です。
ワイドでグリップした場合、肩甲骨のロックが外れやすく、なおかつそのポジションでロックが外れると、非常に強い負担が肩関節に加わりますので、十分に注意してください。特にベンチプレスに慣れない初心者の方には、自重以上の重量でベンチプレスができるようになるまでは、あまりワイドグリップベンチプレスはおすすめしません。
●リバースグリップベンチプレス
リバースグリップベンチプレスは、インクラインベンチがない環境で大胸筋上部に負荷を集中させられる逆手で行うバリエーションです。動作が不安定になりがちな種目ですので、基本的には補助者をつけるようにしてください。
また、逆手でシャフトをグリップしたままラックアウトすると、非常に危険です。補助者をつけるか、ノーマルグリップでラックアウトし、胸の上に一度シャフトを置きグリップを持ちかえるようにしてください。
●フロアーベンチプレス
ベンチ類がなく、バーベルセットだけある環境では、床に直接仰向けになりベンチプレスを行うフロアーベンチプレスで通常のベンチプレスと同様の効果を得ることができます。
実は下半身の力が全く使えないため、通常のベンチプレスよりも強度が高く、国内の格闘技関係では「寝差し」と呼ばれ、上半身の高負荷トレーニングとして行われています。
なお、力尽きたときに危険ですので、直径の十分ある20kgプレートを使うようにしてください。
●トップアスリートのベンチプレス解説
下記の記事はパワーリフティング元全日本王者、種目別ベンチプレス世界二位&アジア一位のトップ選手の方に、初心者がベンチプレス100kgの壁を越えるノウハウを、実演画像つきで詳細に解説していただいた最新記事です。
▼アスリート執筆記事
【ベンチプレス100kgを挙げるやり方】フォームとメニューの組み方を元全日本王者が解説
筋トレの呼吸法|筋トレの頻度|筋トレの順番|筋トレの回数設定|筋肉の名前と作用|筋肉の超回復期間|筋トレの食事例|筋トレの栄養学|男性の筋トレメニュー|女性の筋トレメニュー
■デッドリフトの種類
デッドリフトは主に広背筋・僧帽筋・上腕二頭筋・前腕筋群に効果がる筋トレメニューです。デッドリフトには足と手の置き位置により「ヨーロピアンデッドリフト」と「スモウデッドリフト」の2種類があり、前者はより背筋群に、後者はより大腿部に負荷がかかります。
パワーリフティング競技では手足の長い欧米選手が「ヨーロピアンデッドリフト」、手足の短いアジア選手が「スモウデッドリフト」を好む傾向があります。
また、あまり一般に知られていませんが、デッドリフトを行う時のグリップは、片側を順手、もう片側を逆手に握るオルタネイトグリップがバーベルと体軸が安定します。
●ヨーロピアンデッドリフト
こちらがヨーロピアンデッドリフトの画像です。肩幅程度に開いた足の外側をグリップするのが特徴です。
ヨーロピアンデッドリフトの正しいフォームを示したのがこちらの画像ですが、そのポイントは、胸を張ること、尻を突き出すこと、背中は真っ直ぐかやや反らせること、膝がつま先より前に出ないこと、上を見ることです。
このようなフォームを維持し、床からバーベルを引き上げていきますが、その軌道はできるだけ体幹に近く、すらわち、脛と腿をこすりながら上げるのが正しいやり方です。
また、引き上げたバーベルを床に戻すときは、尻を斜め後方に(椅子に座るように)移動させることが大切です。
デッドリフトは高重量で爆発的に背筋を鍛える反面、間違ったフォームで行うと腰椎や膝関節に爆発的な負担がかかります。
「背中を丸めない」「膝を突き出さない」の二点だけは、常に忘れず意識してください。
●スモウデッドリフト
こちらがスモウデッドリフトの画像です。大きく開いた足と足の間をグリップするのが特徴です。
スモウスタイルのデッドリフトは、高重量を狙うパワーリフターに多用されるバリエーションで、大きく開いた両足の内側をグリップすることをが特徴です。
このスタイルは、背筋だけでなく半分近くは下半身の筋力で挙上を行います。このため、トレーニングの組み方として下半身のトレーニングとの兼ね合いが難しく、リフティング目的以外の一般的なトレーニーにはあまりおすすめしません。
やり方・フォームのポイント、胸・背中・尻の位置関係や挙上軌道は、先ほどのヨーロピアンスタイルに準じますが、膝とつま先の関係には特別に注意が必要です。
膝がつま先より前に出ないことは基本ですが、スモウスタイルではつま先の向きと膝の向きとを同じにすることが非常に重要です。
具体的には、スモウスタイルのデッドリフトでは、つま先を外に向けて開きますが、動作中は膝を常につま先と同じ向きにする意識を保ってください。
内股になったりガニ股になったりすると、非常に強い捻れ負荷が膝にかかりますので、かなり危険です。
スモウスタイルのデッドリフトに挑戦する方は、事前に軽い重量でフォーム練習を十分に行ってからチャレンジしましょう。
●デフィシットデッドリフト
デフィシットデッドリフトは、台の上に乗ることで、さらに深いレンジまでしゃがみこんで鍛えることのできるバリエーションで、パワーリフターの方が好んで行うやり方です。
ただし、深くしゃがみこんだポジションで主に負荷がかかるのは下半身の筋肉ですので、背筋のトレーニングとしてデッドリフトに取り組む一般的なトレーニーの方には、あまり必要のないバリエーションです。
●ハーフデッドリフト
ハーフデッドリフト(ブロックデッドリフト)は、パワーラックや台を利用してフルレンジのデッドリフトの上半分だけを反復するバリエーションで、トップサイドデッドリフトとも呼ばれます。
下半身に多くの負荷がかかるデッドリフトの下半分の動作をあえて省くことで、背筋群だけにトレーニングを集中させることができます。
特に、下半身のトレーニングは背筋のトレーニングと分けたい、一般的なトレーニーにおすすめの方法です。
●スティッフレッグドデッドリフト
スティッフレッグドデッドリフトは、膝をほとんど曲げずに行うのが特徴で、肩幅程度に開いた両足の外側をグリップして行います。
デッドリフトのバリエーションの一つですが、背筋群にはあまり負荷がかからず、太もも裏面のハムストリングス(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)および臀筋群を集中的に鍛えるのに適しています。
●トップアスリートのデッドリフト解説
下記の記事は、パワーリフティング元全日本王者のトップ選手に、デッドリフトに関して執筆していただいた、非常に論理的で重厚な最新記事です。デッドリフトの挙上重量向上を目指す方には、必読の内容となっております。
▼アスリート執筆記事
【デッドリフトのやり方とフォーム】種類別に効果的なセットメニューを元全日本王者が解説
ピラミッドセット法|ドロップセット法|アセンディングセット法|ディセンディングセット法|フォースドレップ法|レストポーズ法|パーシャルレップ法|チーティング法|スーパーセット法|コンパウンドセット法|トライセット法|ジャイアントセット法|予備疲労法|部位分割法
■スクワットと派生種目
スクワットは主に大腿四頭筋・大腿二頭筋・大臀筋・下腿筋群に効果がある筋トレメニューです。
●バーベルスクワット
こちらがスクワットの模範的な画像です。「胸を張り」「お尻を突きだし」「膝をつま先より前に出さない」ことが動作のポイントになります。膝が爪先より前に出てしまうと、バーベルの荷重を筋肉ではなく膝関節で支える状態になるので、特に注意してください。
●フロントスクワット
こちらがスクワットの派生種目であるフロントスクワットです。通常のスクワットと違いバーベルを身体の前面で保持するため、大腿四頭筋にかかる負荷が強くなります。
●ワイドスタンススクワット
ワイドスタンススクワットは、肩幅よりも足二つ分ほどの広い足幅で行うスクワットのバリエーションで、大腿四頭筋の外側や内ももの筋肉・内転筋群に効果的です。
つま先はやや外向きに開いて構え、膝は必ずつま先と同じ方向を向くように注意してください。
●ジェファーソンスクワット
バーベルスクワットは安全に、かつ効果的に行うためにはそれなりのフォーム練習と技術が必要です。これは、バーベルの重心(シャフトの中心)と自身の身体の重心(ヘソ)を垂直に揃える必要があるからです。
しかし、この画像のようなジェファーソンスクワットであれば、ベーベルが低い位置で保持できるだけでなく、比較的簡単にバーベルと身体の重心を揃えることができます。
リフティング競技などにこだわらず、ただ単に脚に効かせたいだけのトレーニーの方には、このバリエーションがリスクも少なくおすすめです。
●バーベルブルガリアンスクワット
片足を台の上などに乗せて行うバーベルブルガリアンスクワットは、数あるスクワットバリエーションのなかでも非常に強度の高い種類です。
基本的なフォームは通常のバーベルスクワットと同じですが、前にした足で重量を支えつつも、できるだけ後ろにした足を使って動作するというのがポイントです。
後ろにした足に意識を集中して動作を行うことで、太もも裏側のハムストリングスから臀筋群にかけて非常に強い負荷をかけて聞かせることができます。
●トップアスリートのスクワット解説記事
下記の記事はパワーリフティング全日本王者の方に執筆いただいた、バーベルスクワットに関する非常に詳細な解説記事です。是非、ご参照ください。
▼アスリート執筆記事
【バーベルスクワットのフォームとメニュー】元全日本王者が効果的な回数・セット数も解説
ここからは、筋トレBIG3以外のバーベル筋トレを効果のある筋肉部位別に画像とともにご紹介します。
■筋肉部位別のバーベル筋トレ
●大胸筋の筋トレ種目
・バーベルプルオーバー
バーベルプルオーバーは大胸筋に対して縦方向の収縮刺激を与えることのできる数少ない筋トレ種目です。やり方によっては大胸筋ではなく広背筋のトレーニングになってしまうので注意が必要です。最大のポイントは「肘を曲げて行う」ことで、このスタイルをベントアームプルオーバーと呼びます。
●背筋の筋トレ種目
・バーベルショルダーシュラッグ
僧帽筋を集中的に鍛えることのできるバーベル筋トレがバーベルショルダーシュラッグです。動作のポイントは肩甲骨を寄せきってから、さらに僧帽筋を収縮させてバーベルを引き上げることです。フィニッシュポジションでやや顎を上げると僧帽筋が完全収縮し、さらに効果が高まります。
・バーベルベントオーバーロー
僧帽筋と広背筋中央部に高い効果のあるバーベル筋トレ種目がバーベルベントオーバーローです。なお、バーベルシャフトを太ももに沿わせて挙上するのが挙げ方・効かせ方のコツです。
バーベルベントオーバーローイングは、「ニーベントスタイル」と呼ばれる筋トレの基本フォームで構えて行いますが、そのポイントは、胸を張りやや背中を反らせ、尻を突き出し膝がつま先より前に出ないように構えることです。
また、背筋の収縮と首の連動性を考慮して「顎を上げる」ことも大切です。
動作のポイントとして重要なのは、バーベルの重心ができるだけ体幹から離れないようにすることで、具体的には太ももの上を擦りながら引き上げる軌道で動作します。
・イェーツローイング
こちらの画像は、かのミスターオリンピア・ドリアンイェーツ氏が考案した、別名イェーツローイングとも呼ばれるバリエーションです。
一般的なバーベルベントオーバーローイングとの相違点は、あまり腰と膝を曲げない構え方で、シャフトがヘソより上で往復するように動作する点です。
このフォームによるメリットは二つあり、一つが「腰に負担が少ないこと」で、もう一つが「上背部を集中的に鍛えられる」ことです。
・ベンチローイング
こちらの画像は、ベンチローイングと呼ばれるバリエーションで、ベンチにうつ伏せになり完全に体重をあずけることで、腰への負担がほぼフリーとなるやり方です。また、腕を引く軌道が前方からとなりますので、広背筋に特に有効です。
●三角筋の筋トレ種目
・スタンディングバーベルショルダープレス
こちらが、基本となるスタンディングバーベルショルダープレスです。まず、足を肩幅程度にとって安定させ、バーベルシャフトが鎖骨上に来るように構えます。
そこからバーベルを頭上に押し上げていきますが、三角筋は体幹の大きな筋肉である大胸筋や背筋群と隣接しているので、反動を使うと負荷が逃げてしまうという特性があります。
このため、反動は使わずに直立したまま押し上げられる重量設定で行います。また、バーベルを押し上げる動作のなかで三角筋前部・中部に負荷がかかり、ウエイトに耐えながら下ろす時に三角筋後部に負荷がかかります。
バーベルを押し上げる時だけでなく、下ろす時にもしっかりとコントロールしてエキセントリック収縮(伸張性収縮)による負荷を、しっかりと三角筋後部に加えてください。
また、セット終盤の追い込みの方法として、膝の屈伸を使って頭上にバーベルを差上げておき、下ろす時に耐えるネガティブ動作を数回追加するやり方があります。
・シーテッドバーベルショルダープレス
三角筋の前部と中部に効果のあるバーベル筋トレがバーベルショルダープレスです。首の後ろにバーベルを下ろすビハインドネックと呼ばれるやり方もありますが、肩関節の柔軟性が必要ですので、まずはこの画像のようなフロントスタイルから始めることをおすすめします。
・ミリタリープレス(バックショルダープレス)
首の後ろにバーベルシャフトを下ろすバリエーションのショルダープレスは、米軍で好んで行われることからミリタリープレスの別名があります。
メリットとして、ウエイトに耐えながらネガティブ動作でバーベルを下ろす時に、鍛えるのが難しい三角筋後部に負荷がかかる特性があります。
ただし、本種目を安全に行うためには肩関節の柔軟性が必要で、身体の固い方が無理に行うと、肘が体幹ラインよりも後ろになってしまい、肩関節に対して強度の開き負荷がかかってしまうというリスクがあります。
本種目をやってみて肩関節に痛みを感じる場合はすぐに中止し、まずはストレッチなどで上半身の柔軟性を養っていくことをおすすめします。
・バーベルアップライトロー
三角筋は体幹の大きな筋肉(大胸筋や背筋群)に隣接しており、負荷が体幹に逃げやすいため、やや効かせるのが難しいのですが、このバーベルアップライトローは初心者でも簡単に三角筋を追い込むことができる種目です。最大の注意点は背中を後ろに傾ける反動を使わないことです。反動を使うと三角筋ではなく僧帽筋に刺激と負荷が逃げてしまいます。
・バーベルリアデルタローイング
バーベルで三角筋後部を鍛えるのなら、バーベルリアデルタローイングがおすすめです。一見、ベントオーバーローイングのように見えますが、ベントオーバーローイングよりも引く位置が高く、また、完全に肘を開いて動作する点で異なります。また、肩甲骨を寄せずに(背筋群を使わずに)行うことも大きな特徴です。
このような動作ができるように、かなり軽い重量設定で行わないと、背筋群のトレーニングになってしまいますので注意してください。
●上腕三頭筋の筋トレ種目
・バーベルフレンチプレス①
上腕三頭筋に有効なバーベル筋トレ種目がバーベルフレンチプレスです。こちらはベンチに寝た状態で行うライイングスタイルで、肘を固定し、なおかつ開かないように動作するのがポイントです。
・バーベルフレンチプレス②
バーベルフレンチプレスはこちらの画像のようにシーテッドスタイルで行うことも可能です。なお、いずれの場合もストレートシャフトだと手首に負担がかかるのでEZバーの使用をおすすめします。
なお、上腕三頭筋長頭は肩甲骨に接合しており、このバリエーションのように肩よりも高い位置に肘を構えることで、効果的に伸展します。
●上腕二頭筋の筋トレ種目
・バーベルカール
上腕二頭筋の基本的なバーベルトレーニングがバーベルカールです。反動を使わないように上腕二頭筋に意識を集中して行ってください。
・バーベルドラッグカール
また、バーベルカールの途中に肘を引く動作を入れて、コンパウンド種目化したものがバーベルドラッグカールです。より高負荷で上腕二頭筋を鍛えることが可能です。
・バーベルリバースカール
上腕二頭筋の共働筋であり、肘関節の屈曲に対して大きなウエイトを占める上腕筋を鍛えるのに最適なバーベル種目がバーベルリバースカールです。副次的に前腕筋群にも効果があります。
・リバースインクラインバーベルカール
リバースインクラインバーベルカールは、インクラインベンチにうつ伏せになって行うことから「リーバース」の名称がついていますが、バーベルのグリップはリバースグリップではなくノーマルグリップです。
最大のメリットは前腕骨を床に対して垂直にすることができないので、肘を完全に曲げて上腕二頭筋を完全収縮させたポジションでも負荷がかかり続けることです。
なお、肘を伸ばした時に完全に伸ばしきることをせず、負荷を逃さないようにしてください。
・バーベルプリチャーカル
反動を使いにくくし、よりストリクトに上腕二頭筋を追い込めるバーベルカールのバリエーションが、カール台を使ったプリチャーカルです。
まず、カール台に肘を乗せ、バーベルを上の位置で構えます。そして、肘が動かないようにしっかりと固定してバーベルを下ろしていきますが、この時にゆっくりとコントロールした動作でエキセントリック収縮による負荷を与えてください。
次に、肘が完全に伸展する少し手前までバーベルを下ろしたら折り返し、バーベルを上げていきます。完全に上げきると前腕骨が床に対して垂直になり、負荷が筋肉から抜けてしまいますので、その直前でまたバーベルを下ろしていきます。
カール台を使えば、反動が完全になくなるかと言えばそんなことはなく、上半身を後ろに倒すことで反動が使えてしまいます。これを防ぐために大切なポイントが「足を肘より前に出さない」ことで、後ろに足を置くことで重心が前傾になり、身体を後ろに倒しにくくなります。
・アームブラスターカール
カール台のないジムや、自宅でバーベルカールを行う場合に、プリチャーカールに近い感覚で、反動を抑えてストリクトに上腕二頭筋を追い込める方法が「アームブラスター」や「アームプレート」と呼ばれるカール専用補助器具を使用したバリエーションです。
▼関連記事
【アームブラスター】反動筋トレさようなら|上腕二頭筋を鍛える優良グッズ
●体幹の筋トレ種目
・バーベルグッドモーニング
脊柱起立背筋・多裂筋・最長筋などの長背筋群と呼ばれる体幹インナーマッスルを鍛えるのに適した種目がバーベルグッドモーニングです。反動を使うと腰椎を痛めるリスクの高い種目ですので、体幹を屈曲させる時も伸展させる時も、しっかりとウエイトをコントロールして行ってください。
●下半身の筋トレ種目
・バーベルサイドランジ
大腿部の筋肉群のなかでも外転・内転させる(脚を横に開閉させる)筋肉である中臀筋・大腿筋膜張筋および内転筋に効果の高いバーベル筋トレ種目がバーベルサイドランジです。これらの筋肉はインナーマッスルなので高負荷で鍛えると怪我の原因になります。シャフトのみや軽めのプレートをつけたバーベルで鍛えることをおすすめします。
・バーベルフロントランジ
こちらは大腿二頭筋に効果の高いバーベルランジです。ダンベルの場合は前足を前に踏み出しますが、バーベルの場合は安全上、後ろ足を後ろに踏み出します。
■筋トレ効果を高める食事
●栄養面の管理はトレーニングと同様に重要な要素
初心者の方にありがちなのが、トレーニング自体をするだけで満足してしまい、トレーニングと同等に重要な栄養面の管理を怠ってしまうことです。いくら筋トレを頑張っても、食事や栄養管理をしないとほとんど効果がありません。
まず、筋トレをして筋肥大するためには体重あたり2gの純タンパク質が必要とされています(引き締めやダイエットの場合は1~1.5g)。つまり、70kgの人の場合、一日に140gの純タンパク質(肉類に換算して700g)とかなり多く、筆者のジムでは、この量を摂りきれていないために筋肥大が停滞していると思われる初心者会員も少なくありません。
また、タンパク質を一度に吸収できる量は純タンパク質で約30g(肉類換算で150g)と一般的に言われており、一日三度の食事では筋肥大に必要なタンパク質量をまかないきれないと考え、筆者のジムでは、選手や会員は一日五食ほどにするか、プロテインを利用しています。
なお、実際の筋トレ食事メニュー例・レシピに関しては下記の記事をご参照ください。
▼関連記事
【筋トレ食事メニュー例完全版】バルクアップ・ダイエットそれぞれの料理レシピ紹介
▼身体と栄養の基礎知識
■日本パワーリフティング協会について
これら筋トレBig3は高重量が扱える全身が連動した複合関節運動のため、筋肥大には特に優れた効果があります。ただし、適切なフォームで行わなければ怪我のリスクも高いので、できればJPA(日本パワーリフティング協会)加盟のトレーニングジムで専門のトレーナー・指導者の元で実施することをおすすめします。
■全バーベル筋トレ種目一覧
●大胸筋の筋トレメニュー
●背筋の筋トレメニュー
●三角筋の筋トレメニュー
●上腕三頭筋の筋トレメニュー
●上腕二頭筋の筋トレメニュー
●下半身の筋トレメニュー
筋トレの食事メニュー例
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執筆者情報
上岡岳
アームレスリング元日本代表
ジムトレーナー・生物学学芸員
JAWA日本アームレスリング連盟常任理事|レフリー委員長・広報広報部長
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