初心者の方におすすめのリストラップと適切な長さを解説するとともに、間違われやすい筋トレグッズであるリストストラップとの違いについてもご紹介します。
目次
■リストラップとリストストラップの違いとは?
●リストラップは押す筋トレ・リストストラップは引く筋トレ
向かって左側のグッズがリストラップ、右側のグッズがリストストラップです。名前は混同しそうなほど似ていますが、実際の形は全く違います。もちろん、用途も適合種目も異なります。
簡単に説明すると、リストラップはベンチプレスやショルダープレスなどのプレス系(押す動作)種目で手首に巻きつけ、手首の固定を補助サポートするための道具です。一方、リストストラップは、デッドリフト・懸垂・マシンローイングなどプル系(引く動作)種目でバーに巻きつけ、握力の補助をするための道具となります。
■リストラップの適合種目
リストラップの適合種目は、ベンチプレス系種目・ショルダープレス系種目・トライセプス系種目といったプレス系種目がメインになりますが、手首保護のためカール系種目や、握力補強のためデッドリフト系種目などプル系種目で使用する場合もあります。
■リストラップの構造
こちらは、先日のベンチプレス県大会で優勝した、筆者の運営するジムの所属選手が実際に使用しているリストラップを撮影させてもらったものですが、リストラップはラップ本体・マジックテープ・サムループから構成されており、サムループは装着時に引っ掛けますが、ラップ本体を手首に巻きつけマジックテープで固定した後は外します。
筋トレの呼吸法|筋トレの頻度|筋トレの順番|筋トレの回数設定|筋肉の名前と作用|筋肉の超回復期間|筋トレの食事例|筋トレの栄養学|男性の筋トレメニュー|女性の筋トレメニュー
■リストラップの使い方
●向きは内巻きがいいのか外巻きがいいのか
リストラップの巻き方は、内巻きがよいのか、外巻きがよいのかという議論は絶えませんが、一般的には、外側から内側に向かって巻く「内巻き」がスタンダードです。はじめてリストラップを使う初心者の方は、まずは内巻きで使ってみてください。
使っていくうちに、ご自身の体型や動作の癖によって、どちらの巻き方がしっくりくるかわかってきます。
なお、リストラップを装着するときのポイントは一つだけで、「一周目をきつく巻き二周目で調整する」ということです。
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■リストラップの正しい使い方
●手首関節を覆うように使用する
こちらが、リストラップの典型的な間違った使い方です。完全に手首関節がフリーになっており、手首をサポートする役割が果たせていません。初心者の方には、意外とこの間違いをしてしまう人も少なくありませんので、ご注意ください。
こちらが、リストラップの正しい使い方です。手首関節をまたぐように覆って巻くことで、しっかりと関節をサポートします。
なお、パワーリフティングやベンチプレスの公式競技では、リストラップが手の甲側にかぶさっていいのは「手首から2cmまで」と規定されていますので、競技を目指す方は初心者のうちからなれておくとよいでしょう。なお、競技に関係のない一般的なトレーニーの方は、2cmよりもやや深めに巻いたほうが手首へのサポート力は向上します。
●ベンチプレスでのリストラップの使い方
リストラップがもっとも威力を発揮するが、自己ベストギリギリでのベンチプレス挙上ですが、上手く使うことで記録を伸ばすことが可能です。パワーリフティング元全日本王者実演による画像つきで解説していきます。
こちらが、もっともスタンダードなベンチプレスでのリストラップの使い方で、手首を立て、その手首が曲がらないようにサポートする形でリストラップを使っています。
そして、こちらが競技ベンチプレスで上級者が行うリストラップの使い方で、手首をあえて寝かし、人体の造りに適合した、斜めに下ろして斜めに上げる軌道でベンチプレスを行うことで、より高重量を狙うことができます。
このやり方の場合、リストラップがないと非常に強い負担が手首にかかりますので、リストラップの装着は必須となります。もっと言えば、リストラップの保持力を利用して、リストラップに半ば重量を預ける感覚でのプレスとなり、普及品ではない頑強なタイプが必要です。
▼さらに詳しくベンチプレスの挙げ方を見る
【ベンチプレス100kgを挙げるやり方】フォームとメニューの組み方を元全日本王者が解説
■初心者におすすめの長さ
●はじめて入手するなら60cmタイプの一択
はじめてリストラップの入手をお考えの初心者の方は、長さがいろいろあるので、どれにしたらよいか迷うところではないでしょうか?
筆者は長年ジムトレーナーをしているので、その答えを知っています。「60cmタイプの一択」です。
あまり短いとプレス系種目の手首サポートには弱いですし、長すぎると巻くのが大変な上、締め付け強度が強すぎます。目安として、ベンチプレスで120kgを越えるあたりから90cmのロングタイプを使用するとよいでしょう。
また、デッドリフトなどプル系種目の握力補助に使う場合は、30cmタイプが手頃ですが、パワーリフティングなど競技をする予定がないのであれば、プル系種目の握力補助には後述のリストストラップのほうがはるかに適しています。
■おすすめのメーカーはどこ?
●鬼またはGLFITがおすすめ
こちらは、実際に筆者のジムの備品として置いている各メーカーのリストラップですが、向かって左から以下の通りです。
鬼
TITAN
INZER
GLFIT
schiek
------------------
GOLD’s GYM
BODY MAKER
IROTEC
「-----」でメーカーを仕切っていますが、点線より上が競技・本格派用、下が普及品です。
・各メーカーリストラップ比較表
メーカー名 |長さ |固さ |左右
BODYMAKER |約60cm |柔らかい |なし
IROTEC |約45cm |柔らかい |なし
Gold’s GYM |約50cm |柔らかい |なし
------------------
Schik |約60cm |やや固い |なし
GLFIT |約60cm |やや固い |あり
INZER |約60cm |やや固い |なし
TITAN |約60cm |超固い |あり
鬼 |約60cm |固い |あり
各メーカーの比較表がこちらになりますので、ご参照ください。
普及品と競技・本各用では、締め付け強度や耐久度は歴然とした違いがあります。実際のところ、初心者や女性の方が使うにしろ点線よりも上のものがおすすめです。ただし、TITANは初心者には硬すぎ、INZERはやや柔らかめですので、IPF公認品なら「鬼リストラップ」、リーズナブルで高性能なものなら「GLFIT」をおすすめします。
参照にしたページ「リストラップの巻き方とレベル別(初心者~上級者)におすすめの長さ・使い方」
■各メーカーのリストラップを試用・実験・検証
本記事でおすすめしているリストラップメーカーに関しては、もちろん、根拠なく書いているわけではなく、さらに、筆者の運営するジムで使ってきた感想だけでもなく、個人的に二ヶ月間の強度・耐久実験を行った結果からです。
↑実際に装着しての試用テスト
↑ウエイト下垂負荷による耐久実験
その実験と結果と考察については、下記の筆者の筋トレ専門サイト記事内で公開しておりますので、リストラップを入手する前に是非ご一読ください。
▼リストラップ強度・耐久実験
おすすめのリストラップをトレーナーが本音で解説|初心者にも使えないメーカー製もある
なお、強度実験の結果の一部を下記に公表しておきます。
・5kgウエイト下垂直後の長さと伸び率
※ウエイト下垂前の各メーカー品の長さは35cmに統一
・武器屋・鬼:36cm(+2%)
・ゴールドジム:46cm(+53%)
・アイロテック:46cm(+53%)
・ウエイト下垂2ヶ月放置後の長さと伸び率
・武器屋・鬼:35cm(0%)
・ゴールドジム:39cm(+10%)
・アイロテック:41cm(+17%)
これらの数値を見ただけで、普及品と競技用のリストラップが、いかに強度・サポート力が違うかわかります。
●各メーカー製リストラップの1cmあたりの重量
続いて、各メーカー製リストラップの重量測定結果と、そこから算出した1cmあたりの重量を公開します。
基本的に、重いリストラップほど「繊維が密」で「生地が厚い」ためサポート力は高くなります。
数値は以下のものをご参照ください。
鬼XX|60cm:117g(1.95g/1cm)
TITAN|60cm:95g(1.58g/1cm)
鬼|60cm:80g(1.33g/1cm)
GLFIT|60cm:70g(1.17g/1cm)
schiek|60cm:70g(1.17g/1cm)
INZER|60cm:65g(1.08g/1cm)
------------------
GLFITマルチ|65cm:80g(1.23/1cm)
GOLD’s GYM|50cm:50g(1.00g/1cm)
BODY MAKER|60cm:45g(0.75g/1cm)
IROTEC|45cm:45g(1.00g/1cm)
※GLFITマルチラップはマジックテープが他より長い
1cmあたりの重量はこのようになりましたが、この数値は、実際に使用してみて体感したサポート力にほぼ比例しています。次の項目では、各メーカー製リストラップの実際の使用感をご紹介します。
●各メーカー別リストラップの実際の使用感
実際に主要メーカー製の各リストラップを装着し、筆者自身がベンチプレスを行った感想は以下の通りです。
・BODY MAKER
こちらが、ボディーメーカー製のリストラップです。普及品ですので、高重量の競技ベンチプレスには向きませんが、手軽にリストラップの効果を感じられるタイプでしょう。他の普及品よりも若干長さがあるため、その分ややサポート力も強くなっています。
・IROTEC
こちらも普及品のIROTEC製リストラップです。使用感はボディーメーカー製とよく似たような感じですが、長さが普及品のなかでは短い部類に入るので、かなりサポート力は番弱く感じました。しかし、その分巻きやすく扱いやすいので初心者や女性におすすめです。
・GOLD’S GYM
GOLD’S GYM製のリストラップは、普及品のなかではまずまずの造りですが、やはり競技用のものに比べると弾性がかなり弱く、ベンチプレスに使うなら100kg未満程度が限度かと感じました。こちらも、初心者や女性のフィットネス向きです。
・schiek
schiekのリストラップは有名で、使用している人も少なくありませんが、まずIPF(世界パワーリフティング協会)に認定されていない点で、本格的にリフティングを目指すのであれば候補から外れてしまいます。また、生地素材が10年ほど前から更新されておらず、最新タイプに比べると強度不足の感があります。
・GLFIT
主要メーカー品としては最安値のGLFITですが、サポート力や弾性はIPF(世界パワーリフティング協会)公認クラスと同等に感じました。実際、強度的には公認品と遜色がないものの、縫い方の関係で公認品ではないとのことらしいです。上級者(ベンチプレス130kg以上)の使用においてもサポート力は問題ないと感じました。
※2019年からIPF公認品に認定されました。
また、価格帯に似合わず左右の区別があるのもおすすめです。価格と性能のバランスを考えると、ベンチプレスの公認試合に出場するのでなければ、初心者から上級者までイチオシのリストラップです。
・INZER
IPF(世界パワーリフティング協会)公認の規格を満たしており、なおかつ硬すぎず、使い勝手の良いリストラップです。ただし、普及品に比べるとかなり価格は高くなります。また、左右の区別はありません。
・TITAN
世界的に有名なメーカーがTITANで、そのリストラップも最高級レベルのサポート力です。その反面、かなり硬いので初心者には扱いづらく感じます。ベンチプレスで言えば、130kg以上を目指すラインの方におすすめです。
・鬼リストラップ
多くの日本人競技者が国際大会でも使用していることで知られています。非常に高いサポート力がありながら、極度に固いことはなく、初心者~中級者であれば60cmタイプ、上級者や競技者であれば90cmと長さを使い分けるとよいでしょう。
■最新型のリストラップを実際に使用した感想
●次期IPF公認 ONI 鬼リストラップXX
まずは、2018年秋に発売されたばかりで、2019年1月1日から4年間のIPF公認が申請済みの、ハイエンドクラスリストラップ・鬼リストラップXXを使用したレポートと感想を公開します。
上から順に、鬼リストラップXX99cm、鬼リストラップXX70cm、鬼リストラップ60cmです。なお、鬼リストラップXXはロゴの向きが異なっていますが、これは左右の区別があるためです。
左右の区別がないリストラップの場合、左右の手首で同じ方向に巻くことになるので、細かい圧力方向が気になる方も少なくありませんが、左右の区別があると左右対称に巻くことができ、非常にしっくりときます。
鬼リストラップXXの開発コンセプトは、トップアスリート向きとのことですので、さすがに硬い素材になっており、強度的にはTITANと同等かそれ以上に感じました。
従来の硬いリストラップのデメリットとして、硬いがゆえに完全に手首に密着せず隙間ができる部分があるのですが、鬼リストラップXXの場合は裏面(手首に触れる面)に滑り止めのゴムが3ラインにわらり施されており、非常にタイトな密着感があります。
実際に装着してみると、皮膚に喰いつくような感覚です。
せっかくですので、筆者の運営するジムのベンチプレス県チャンピオンに鬼リストラップXXを装着してもらい、ベンチプレスを行ってもらいました。
試用を行ってもらった本選手によると「硬い、手首が反らない、逃げない。しかし、タイタンのようにただ硬いだけでなく、隙間があかず密着する。滑り止めが凄い。」とのことでした。
鬼リストラップXXのさらに詳しい製品諸元に関しては、下記のリンク先をご確認ください。
▼さらに詳しく見る
●GLFIT マルチラップ
GLFITから新発売された「サムループのない新発想のリストラップ」=GLFITマルチラップを入手しましたので、こちらの使用感などをご紹介します。
一見、普通のリストラップのように見えますが、実は裏面の端に新発想の仕組みが隠されています。なお、ロゴが逆ですが、これは左右の区別があるためです。
こちらの写真のように、従来はサムループがある端にリストラップと同じ幅のゴムバンドがあります。
リストラップとして使用する場合は、この写真のように、バンドを親指に通して巻き始めます。
このように巻き上げます。従来のリストラップと全く同じ使用感で装着することが可能でした。
GLFITマルチラップの「マルチ」の所以は、サムループのかわりとなる平たいバンドで、リストラップとしてでなく、肘や足首に巻きつけた場合、ループが飛び出さずしっかりと綺麗に巻くことができ、「肘サポーター」や「足首サポーター」としても使用可能なことです。
女性や軽量級の男性ならば、膝サポーターとしても使用できます。
硬さに関しては、GLFITリストラップよりもやや柔らかい感じで、巻きやすく、扱いやすく、適度なサポート力ですので、初心者や女性のトレーニングに最適であると感じました。
▼さらに詳しく見る
●その他メーカーのリストラップ
画像引用:Amazon
schiekのリストラップも有名なメーカー品で、実際のところINZERのリストラップとロゴ違いの同一品です。ただし、IPF公認はとっておりませんので、国内大会の記録認定および国際大会には使用できません。
画像引用:Amazon
普及品としてよく使われているのがFERRYのリストラップですが、長さ50cmとやや短く厚みもないので、初心者や女性のフィットネス用です。
画像引用:Amazon
GronGのリストラップは、普及品のなかでも49cmとかなり短いため、高重量での本格的なハードトレーニングにでなく、初心者男性のマシントレーニングや女性のエクササイズトレーニングにおすすめです。
■初心者におすすめのリストラップ
リストラップは、「初心者だから薄い普及品でいい」ということはありません。はじめから、良い道具=サポート力の高いタイプを使用することで、ベンチプレスなどの各種目の伸びが違ってきます。
ただし、あまり硬い上級者むけのものは扱いすらいので、柔らかめでサポート力の高い、鬼・GLFIT・INZERあたりが筆者のおすすめで、実際に筆者の運営するジムの初心者の方もこれらのものを使用しています。
■リストラップの適合種目と使い方
●ベンチプレス
リストラップを使用することで、もっとも恩恵があるのがバーベルベンチプレスです。特に、高重量を狙う場合は、手首のサポートをリストラップに預け、斜めに下ろして斜めに上げるやり方が主流です。
まず、ベンチに仰向けになり、肩甲骨をしっかりと寄せて構えます。軽くブリッジを作り、肩甲骨2点とお尻のあわせて3点で上半身を支え、さらに足を踏ん張って計5点で全身を支えます。
ラックからバーベルを外したら、肩甲骨の寄せが緩まないように気をつけながらみぞおちの真上までバーベルを移動させ、そこから筋力でコントロールしながら下ろしていきます。
胸にバーベルシャフトがついたらバーベルを押し上げますが、この時に肩甲骨を寄せたまま押し始めることに意識を集中してください。
この意識ができていないと、肩から先行して動くフォームになってしまい、肩関節に大きな負荷がかかるので注意が必要です。
トレーニングとしてバーベルベンチを行う場合には、完全に肘が伸びるポジションまでバーベルを押し上げる必要はなく、やや肘が曲がり筋肉に対する負荷が抜けない位置(肘を伸ばしてロックしない位置)で折り返すようにします。
なお、一般的な筋トレでは「力を入れながら息を吐く」ことが基本ですが、バーベルベンチプレスにおいては息を吸い込んだまま呼吸を止めて、胸郭を広げて行う呼吸方法がやりやすいでしょう。
バーベルベンチプレスでは、肩関節保護のため動作の間は常に肩甲骨を寄せる意識で行ってください。また、尻を浮かせると重い重量が挙がりますが、その癖がつくと、重量を追求するあまり、際限なく腰を浮かせてしまうことになりかねませんので、「尻は浮かせない」ことをご自身のなかのルールとして決めておくことをおすすめします。
また、少しでも重い重量を挙げたいあまり、胸の上でバーベルをバウンドさせている光景をたま見かけますが、これも際限なく強くバウンドさせる癖がついてしまい危険ですので、バウンドプレスは行わないようにしましょう。
【本種目のやり方とフォームのポイント】
①ベンチに仰向けになり、肩甲骨を寄せ、シャフトをグリップして構えます
②バーベルをラックアウトしたら、そのまま水平に胸の真上まで移動させます
③筋力でコントロールしてシャフトを胸の上に下ろします
④肩甲骨をしっかりと寄せたままバーベルを押し上げます
⑤バーベルを押し上げたら、少し顎を引いて大胸筋を完全に収縮させます
※その他、類似のトレーニング種目として腕立て伏せ・ダンベルプレス・マシンチェストプレスなどがあります。
●ショルダープレス
バーベルショルダープレスもリストラップによる手首サポートが重要な種目です。
そのやり方ですが、まずは、バーベルシャフトが鎖骨上に来るように構えます。
そこからバーベルを頭上に押し上げていきますが、三角筋は体幹の大きな筋肉である大胸筋や背筋群と隣接しているので、反動を使うと負荷が逃げてしまうという特性があります。
このため、反動は使わずに直立したまま押し上げられる重量設定で行います。また、バーベルを押し上げる動作のなかで三角筋前部・中部に負荷がかかり、ウエイトに耐えながら下ろす時に三角筋後部に負荷がかかります。
バーベルを押し上げる時だけでなく、下ろす時にもしっかりとコントロールしてエキセントリック収縮(伸張性収縮)による負荷を、しっかりと三角筋後部に加えてください。
また、セット終盤の追い込みの方法として、膝の屈伸を使って頭上にバーベルを差上げておき、下ろす時に耐えるネガティブ動作を数回追加するやり方があります。
【本種目のやり方とフォームのポイント】
①背すじを真っ直ぐにし、肩幅よりやや広くシャフトをグリップして構えます
②上半身を反らせず、肘が身体の前を通る軌道で、バーベルを頭の上に押し上げます
③バーベルを頭の上に押し上げたら、ゆっくりと筋肉に負荷をかけながら元に戻ります
その他、類似のトレーニング種目として、パイクプッシュアップ・ダンベルショルダープレス・マシンショルダープレスなどがあります。
●ダンベルフライ
ダンベルフライで手首が反ってしまうと、大胸筋への負荷を大きくロストしますので、リストラップで手首を固定することで大きな効果が得られます。
ダンベルフライは、大胸筋のなかでも内側に効果があります。また、二次的に三角筋前部にも効果的です。
複数の関節と筋肉を使う複合関節種目(コンパウンド種目)のダンベルプレスとは異なり、肩関節と大胸筋のみを使う単関節種目(アイソレーション種目)ですので、かならずダンベルプレスを先に行い、仕上げとしてダンベルフライを行うようにしてください。
ダンベルプレスと同様に、肩関節よりも頭側にダンベルを下ろすと、肩関節に「開き負荷」がかかり、肩の故障の原因となりますので、ダンベルはややヘソよりに下ろすようにしてください。
また、肩甲骨は常に寄せるように意識し、肩から初動せず、大胸筋で初動を行う意識で動作を行います。
呼吸に関してはとても重要で、大きく胸に息をため、大胸筋にテンションがかかる状態でダンベルを挙げることが大切です。
なお、腕を閉じたポジションから、さらに数cm腕を押し出す動作をすることで効果が倍増します。
【本種目のやり方とフォームのポイント】
①ベンチに仰向けになり、肩甲骨をしっかりと寄せ、胸の上にダンベルを上げて構えます
②肩甲骨を寄せたまま、腕を開いてダンベルを下ろしていきますが、肩のラインよりも頭側には下ろさないように注意します
③ダンベルをできるだけ深く下ろしたら、肩甲骨を寄せたまま、腰を浮かせないように注意して、肘を伸ばしたまま腕を閉じていきます
④腕を胸の上で閉じたら、軽く顎を引いて大胸筋を完全に収縮させます
その他、類似のトレーニング種目として、ケーブルフライ・マシンフライなどがあります。
●トライセプスプレスダウン
上腕三頭筋に集中的な負荷を高重量でかけられるのがケーブルトライセプスプレスダウンですが、手首への負担が強いことでも知られています。特に高重量で行う場合は、リストラップでしっかりと手首をサポートすることをおすすめします。
ケーブルトライセプスプレスダウンは、前傾して体重をかけると負荷が大胸筋に逃げてしまうので、しっかりと直立して肘の屈伸だけで動作をするようにしてください。
なお、広いグリップ幅で行うと上腕三頭筋外側の短頭(内側頭・外側頭)に負荷がかかり、狭く縦持ちのグリップで行うと内側の長頭に効果があります。
【本種目のやり方とフォームのポイント】
①マシンに対して前向きになり、肘を直角に曲げて、バーをグリップし、肘を身体の真横に固定して構えます
②肩関節を動かしたり、前のめりにならないように注意し、肘から先だけを伸ばしてバーを押し下げていきます
③肘が伸びるまでしっかりとバーを押し下げたら、ゆっくりと筋肉に負荷をかけながら元に戻ります
その他、類似のトレーニング種目として、ダンベルフレンチプレス・バーベルフレンチプレスなどがあります。
●アームカール
バーベルカールに代表されるアームカール系種目は、疲労が蓄積してくると手首関節の痛みを発生させますので、日頃からリストラップを使用して手首をサポートすることをおすすめします。
特に、体重に近いような高重量カールでは、リストラップは必須アイテムです。
手幅は肩幅よりもやや広くグリップし、背すじを伸ばし直立して構えます。そこから、上半身を反らせたり、反動を使ったりせずに肘を屈曲させてバーベルを上げていきます。
この時に、肩甲骨を寄せる動きを加えると背筋群に負荷が逃げてしまいますので、肩甲骨は寄せないように注意し、上腕の筋力だけで動作を行ってください。また、肩関節も動かさないように注意し、肘をセット中はしっかりと固定する意識を忘れないようにしましょう。
肘を屈曲させる角度ですが、完全に曲げきってしまうと前腕骨が床に対して垂直になり、筋力ではなく骨でウエイトを支えることになります。こうなると、セット中に上腕二頭筋に対する負荷が抜けてしまうことになりますので、完全に曲げきるやや手前で動作を折り返すことがポイントです。
また、バーベルカールは下ろす時に筋肉にかかる負荷も非常に大切です。このように、ウエイト負荷に耐えながら筋肉が伸展される状態をエキセントリック収縮(伸張性収縮)といい、特に筋肥大にとってはなくてはならない刺激ですので、バーベルを下ろす時は、完全に筋力でコントロールして、ゆっくりと効かせながら下ろすようにしてください。
なお、肘を伸ばす角度ですが、完全に伸ばしきってしまうとセット中に筋肉に対する負荷が抜けることになり非効率です。完全に肘が伸展するやや手前で動作を折り返すようにしましょう。
【本種目のやり方とフォームのポイント】
①背すじを真っ直ぐにし、腕を伸ばした位置でシャフトをグリップして構えます
②肘を身体の横にしっかりと固定し、上半身を反らせずに膝から先だけを曲げてバーベルを引き上げます
③バーベルを上げたら、ゆっくりと筋肉に負荷をかけながら元に戻ります
その他、類似のトレーニング種目としてダンベルカール・ケーブルカールなどがあります。
●デッドリフト
テッドリフトは手首に対する負荷はほとんどかからない種目ですが、握力の補助としてリストラップを使用する場合があります。
特にパワーグリップやリストストラップの使用がルールで禁止されているパワーリフティング選手は、普段の練習や試合で30cmタイプのリストラップを着用することも少なくありません。
▼アスリート執筆記事
【デッドリフトのやり方とフォーム】種類別に効果的なセットメニューを元全日本王者が解説
■リストストラップの使い方
ここからは、リストストラップと混同されがちなリストラップについて、もう少し詳しく解説していきます。
●巻く向きは奥から手前へ
リストストラップを手首に通したら、手の平のなかにシャフトを置き、奥から手前へ巻きます。
その後、シャフトを軽く握り、から回しをしながらリストストラップを締めつけていきます。締めつけ具合はパンパンにしめつけたり、やや手指が伸びてからストラップが効くように遊びを持たせたり、個人の好みや種目に応じて調整してください。
●おすすめのリストストラップ
筆者は以前、デッドリフトを行ったときに、先ほどの「-----」より下の普及品メーカーのものを使用していて、挙上中にループ部分をとめている縫い付けがちぎれ、バーベル落下事故を起こしたことがあります。
幸い、周りに人がいなかったので大事には至りませんでしたが、何かあってからでは遅いので、やはり、リストストラップはしっかりとした作りのものを選ぶべきです。
●高重量でなければパワーグリップがおすすめ
また、プル系種目でも自重よりも軽いような負荷のトレーニングでは、リストストラップは巻くのに手間がかかるので、パワーグリップのほうがスピーディーでおすすめです。
●新発想のエイトストラップ
ハードトレーニーや競技者の間で話題なのが、新発想のリストストラップであるエイトストラップです。
実際に、筆者のジムでも入手しましたので、所属選手に試用してもらいました。
実際に、筆者のジムでも入手しましたので、所属選手に試用してもらいました。詳しくは、筆者の運営する筋トレ専門サイトにて、その実際の使用方法・使用感などをレポートしていますので、是非ご参照ください。
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執筆者情報
上岡岳
アームレスリング元日本代表
ジムトレーナー・生物学学芸員
JAWA日本アームレスリング連盟常任理事|レフリー委員長・広報広報部長
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