トレーニングジムを運営し、長年の選手・指導者経験のなかで、そして筋トレをして身体を作っていく(または試合前の減量)ために、筆者および運営ジムの所属選手が使用してきたプロテイン・BCAA・クレアチンについて解説します。
また、筆者自身日本代表として、さらに所属選手のなかにも日本代表や全日本大会出場レベルの選手も複数おり、実際にドーピングチェックを受ける立場ですので、サプリメントの効果だけでなく、アンチドーピングの観点からも慎重に選別してきました。
目次
■プロテインの種類と飲み方
●筋肥大にはホエイプロテインを使用
プロテインには大きく二種類あり、牛乳の乳精を原材料とするホエイプロテインと大豆を原材料とするソイプロテインがあります。
水に溶けやすく味も良いことから、現在はホエイプロテインがプロテインの主流になっていますが、お腹がゴロゴロするなど体質的な理由でソイプロテインを使用する人も少なくありません。また、ソイプロテインには大豆由来のレシチンが豊富なため、健康を気づかう人にも人気があります。
その摂取方法とタイミングですが、朝昼夕の食事を基準に考えます。
男性が筋トレをして筋肉質な身体を作っていく場合、一日に必要な純タンパク質は150g前後(肉に換算して800g程度)と一般的にはされています。また、一度に人間が消化吸収できる純タンパク質は30g前後とされていますので、三度の食事だけでは約60gの純タンパク質不足になると考えています。
これを補うのに大変便利なのがプロテインで、1食あたり30gの純タンパク質を含みますので、1日2回、食事と食事の間、つまり10時と15時頃に摂取するのがベストでしょう。
また、トレーニング後30分以内のタンパク質吸収ゴールデンタイムに摂取することを心がけ、男性の筋肥大バルクアップトレーニングにはリーズナブルで吸収の速いホエイプロテインを中心に使用しています。
●ダイエット時にはソイプロテインを使用
運営ジムの女性会員が、ダイエット目的の筋トレとあわせてプロテインを飲む場合、大豆タンパク質が原材料のソイプロテインがメインです。ダイエット成功のキーはいかに筋肉密度を落とさずに脂肪を落とすか、ですのでタンパク質はしっかりと摂りましょう、といつも指導しています。
ソイプロテインはカロリーが低いだけでなく、大豆由来のタンパク質や食物繊維が豊富で、ダイエットにつきものの筋肉密度の低下や便秘の予防効果が期待できるだけでなく、大豆レシチンによる代謝の向上も期待できます。
●アレルゲンに考慮したピープロテイン
ピープロテインは「イエローピー」と呼ばれるエンドウ豆の一種を原材料としています。大豆が原料のソイプロテインと同様に植物性タンパク質のプロテインなので、特に女性会員のダイエット筋トレ用としてよく飲まれています。大豆にはアレルゲンが含まれる場合がありますが、エンドウ豆には主要なアレルゲンが含まれていないのが人気の理由です。
●BCAA含有率の高いライスプロテイン
ライスプロテインは日本人にも馴染みの深い玄米の植物タンパク質を材料とするプロテインで、腸への負担が少ないと考える海外のトレーたちに人気が高まっているプロテインです。また、米食文化の日本人の筋肉サプリメントとして、なじみやすいプロテインと言えるでしょう。
●吸収率の高いエッグプロテイン
卵白から作られるエッグプロテインは、吸収効率のよさがメリットのプロテインです。卵だけで製造すると、他のプロテインと比べると高価になるのがデメリットのため、ミルクプロテインとミックスしたものが主流です。
なお、卵白100%のエッグプロテインもありますので、採算性度外視でとにかく筋肥大筋トレの結果を出したい選手は飲んでいます。
●就寝前にはカゼインプロテイン
プロテインの基本は消化吸収の速いホエイプロテインですが、逆にこれが睡眠中のタンパク質不足=筋肉の異化を引き起こしてしまいますので、就寝前には消化吸収スピードの穏やかなカゼインプロテインを飲んで使い分けをするのが、効率的なプロテインの摂取方法とされています。ですので、筆者も筋トレをした日の就寝前にはカゼインプロテインを飲んでいます。
●プロテインの摂取タイミング・方法
筆者やジム所属選手が実際に行っているプロテインの種類・筋トレ目的別の摂取方法は以下の通りです。
・筋肥大なら一日2~3回食間に(ホエイ)
・ダイエットなら一日一食を置き換え(ソイ)
・就寝前にはカゼインプロテイン
■BCAAとは?
●筋トレ前後と筋トレ中に飲むようにしている
タンパク質は分鎖岐アミノ酸と呼ばれる分子が複雑に多数結合した高分子です。食物として摂取されたタンパク質は胃腸で分鎖アミノ酸に分解されたのち吸収されます。アミノ酸には体内合成できるものと、できないものがあり、体内合成できないアミノ酸は食品・サプリメントから摂取するしかなく、これを必須アミノ酸と言います。
その必須アミノ酸の分鎖岐アミノ酸こそがBCAAなのです。BCAAとはBranched(分解された)Chain(鎖状の)Amino(アミノ)Acids(酸)の略です。
筆者の場合、BCAAの摂取方法とタイミングは、その吸収の速さを活用していきます。つまり、トレーニング直前、トレーニング中、トレーニング直後に摂取することにより、無駄なカタボリック=筋肉のタンパク質異化を防ぎ(トレーニング直前・トレーニング中)、速やかなアナボリック=筋肉のタンパク質同化を促す(トレーニング直後)しています。
プロテインとタンパク質あたりの価格を比較すると、かなり割高になりますが、筆者自身、全日本大会に臨むような厳しい練習期間には使用してきました。なお、必須アミノ酸ではないものの、生成量が少ない準必須アミノ酸であるL-グルタミンも配合されたものを使用しています。
●BCAAの摂取タイミング・方法
・筋トレ直前または直後に摂取
・ハード筋トレは筋トレ中にも摂取
■クレアチンとは?
●ローディングとサイクルが肝心
筋肉は筋肉細胞内のATP(アデノシン三リン酸)がADP(アデノシン二リン酸)に分解されるときのエネルギーで動いています。
そのATPの材料となるがクレアチン(メチルグリコシアミン)です。メチルグリコシアミンは体内でATPに変換され筋肉などに貯蔵されます。
クレアチンは肉類などに多く含まれますが、肉類5kgにわずか1gと少なく、大量に摂取するためにはサプリメントの使用が必須になります。
筆者の場合、長期のクレアチン大量摂取は筋肉が耐性を持つため、6週間使用→6週間使用休止→6週間使用というようにサイクルを組んで摂取しています。また、クレアチンの筋肉内への貯蔵には時間がかかるとされていますので、6週間のうち最初の2週間は規定の二倍量摂取するローディングと呼ばれる手法を用いています。
●クレアチンの摂取タイミング・方法
・一日一回時間はあまり選ばない
・六週間摂取して六週間休むサイクル摂取
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■筋トレに重要なビタミン・ミネラル
●ビタミンB
ビタミンBは、のうち、ビタミンB1・ビタミンB2・ナイアシン・パントテン酸・ビタミンB6・ビタミンB12・葉酸・ビオチンの8種があり、これらは新陳代謝に関わるビタミンです。
なかでも、筋トレに重要となるのがタンパク質代謝やアミノ酸合成に関わるビタミンB2(リボフラビン)とビタミンB6(ピリドキシン群)です。これらを多く含む食品は、肉類(特にレバー)、カツオ、マグロ、ウナギなどになります。
●ビタミンC
ビタミンC(L-アスコルビン酸)は体調を整える作用がよく知られていますが、細胞間のタンパク質であるコラーゲンの生成にも深く関わっており、靭帯や関節を酷使する筋トレには欠かせないビタミンと考えています。
ビタミンCを多く含む食品は、野菜類や果実類になります。
●ビタミンD
ビタミンD(コレカルシフェロール・エルゴカルシフェロール)は、骨のビタミンとも呼ばれ骨の合成に深く関わるビタミンです。ビタミンは基本的には体内合成ができない物質のことですが、ビタミンDはコレステロールを経由して体内合成できます。しかしながら、消化器官からのビタミンD吸収が不足するとビタミン欠乏症になるため、やはり食品から摂取が必須な物質です。
また、骨合成にはカルシウムとビタミンDだけでは生体反応がおきず、その合成には日光に当たることが必要となります。
●鉄分
鉄分は酸素を運搬する作用のある、赤血球内のヘモグロビン分子の中核をなす金属です。不足すると貧血などの症状を起こすため、筋トレにも大きな悪影響がでると言えるでしょう。レバー類や貝類に多く含まれています。
●亜鉛
亜鉛は微量金属のなかでもタンパク質合成に深く関わっており、筋トレを行う人はそうでない人のより多く必要と言われていますので、筆者や所属選手も常々、摂取を心がけている微量元素です。
新陳代謝に深く関わるビタミンとミネラルは、筋トレなどで身体を動かす人では、通常の人に比べて必要量や消費量も増加します。特に筋肥大の発達の伸び悩み(筋トレ停滞期=プラトー)の意外な理由がビタミン&ミネラル不足だったというのはよくある話です。
また、ダイエット中は食事の総摂取量が減少しますので、必然的にビタミン・ミネラルの摂取量も減少してしまいます。筆者やジム所属選手も試合のたびに減量をしますが、ビタミン・ミネラルが不足してくるとそれを補うための本能的な食欲亢進が出てきますので、必ずビタミン・ミネラルは摂取するようにしています。
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■全ロットアンチドーピング認証取得のハイエンドサプリ
「このサプリメントはドーピング大丈夫ですか?スポーツファーマシストとして、よく受ける質問です。恐らくアスリートの皆様もこの質問を行い、回答がもらえなかったのではないでしょうか。スポーツファーマシストは、原則として医薬品以外にはドーピングが大丈夫であるかどうかについて応えません。アスリートはどうしてもしこりを残したまま試合に出場し、検査を受けることになります。全ロットでアンチ・ドーピング認証を取得したTRUE STANDARDであれば、禁止物質が入っていないことが証明されていますので自身をもって競技に臨むことができます。ドーピング検査が行われる全てのアスリートのために安全なサプリメントを。」
全ロットでアンチドーピング認証を取得した、トップアスリートも使用するハイエンドサプリブランドが「TRUE STANDARD」です。
●BSCG Certified Drug Free®とは
BSCG Certified Drug Free プログラムでコンタミ(混入)が無いことを確認する試験項目には485種類の医薬品があります。
その内訳は、274種類のWADA(世界アンチ・ドーピング機構)が定める禁止物質と211種類のスポーツでは禁止されていない一般的な医薬品です。
これらの物質名およびリストは、下記のページをご参照ください。
●TRUE STANDARDの形状と味
こちらが、実際に筆者の運営するジムで使用してるTRUE STANDARDクレアチンの形状です。細かな粉末状で水やジュースなどで飲むだけです。味は無味無臭で、とても飲みやすいと感じています。
こちらが、TRUE STANDARDグルタミンの形状で、かなり細かな粉末状です。アミノ酸の一種ですのでほのかに「味の素」のような香りがありますが、ほぼ無味無臭に近く、とても飲みやすくなっています。
▼TRUE STANDARDのラインナップを見る
■実際に使用したサプリメント
世の中には「飲むだけで筋肉がつく」「飲むだけでダイエットできる」といったうたい文句のサプリメントが少なくありませんが、筆者および所属選手は使用しません。
適切な筋トレと適切な食事をしっかりとし、プラスして基本的なサプリメントの摂取こそが、トレーニングの成果を出す方法だと考えて、日々のトレーニングと体調管理をおこなっています。
実際、サプリメントに関しては、大手メーカーがラインナップしている、プロテイン・BCAA・クレアチンや、体調管理の基本となるビタミン・ミネラルといった、基本的なあたりが使用する範囲です。
また、現在サプリメントに起因するドーピングチェック違反が起こるというケースも少なくありません。ドーピングチェックを受ける可能性のある競技者の方は、アンチドーピング認証を取得したものを使用するのが、今後のスタンダードであると言えるでしょう。
■サプリメントの優先順位
ここからは、筋トレや筋肉とサプリメントに関する基礎知識を解説していきたいと思います。まずは、サプリメントに関するよくある疑問に答えていきます。
とても多い質問が、サプリメントの優先順位に関するものです。サプリメントは決して安くはありませんが、きちんとしたサプリメントはその効果も高いため、できたら全種類を使用したいものですが、予算の関係でなかなかそうはいきません。
ですので、目的に応じて優先順位をつけ、優先順位の高いものから使用していくのが現実的です。具体的には、まずはプロテイン、そしてBCAA・クレアチン・ビタミン・ミネラルという順番になります。
■本記事執筆者・監修者情報
●執筆者:上岡岳
・アームレスリング元日本代表
全日本アームレスリング社会人選手権85kg超級2位
全日本アームレスリング選手権大会マスターズ80kg超級2位
アジアアームレスリング選手権大会マスターズ90kg級3位
など
・生物学学芸員
博物館施設研究員
・ジムトレーナー
二見トレーニングクラブ指導者
●監修者:奥谷元哉
・パワーリフティング元全日本王者
全日本パワーリフティング選手権大会74kg級優勝
アジアパワーリフティング選手権大会ベンチプレス種目別74kg級1位
世界パワーリフティング選手権大会ベンチプレス種目別74kg級2位
など
・薬剤師
薬剤師名簿登録番号:第409011号
・株式会社ONI代表取締役社長
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執筆者情報
上岡岳
アームレスリング元日本代表
ジムトレーナー・生物学学芸員
JAWA日本アームレスリング連盟常任理事|レフリー委員長・広報広報部長
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