腕相撲(アームレスリング)は「前腕のスポーツ」とも呼ばれるほど手首の強さが重要です。
その技(トップロールとフック)ごとに重要となる前腕の筋肉部位を解説するとともに、具体的なトレーニング方法を解説します。
目次
■手首の動作と前腕の筋肉
手首はとても複雑な動きを持ち、屈曲(掌屈)・伸展(背屈)・外転(橈屈)・内転(尺屈)・回内・回外の作用があります。
■アームレスリングの三つの技
●トップロール・フック・サイドアタック
アームレスリングには大きく三つの技があり、一つは「吊り手」とも呼ばれる「トップロール」、一つは「噛み手」とも呼ばれる「フック」です。そして、その中間的な特徴を持つ速攻技の「横倒し」と呼ばれる「サイドアタック」の三つです。
もちろん、日常での腕相撲に応用することができます。
まずは、その三つの基本アームレスリング技(トップロールとフック)を、世界最高峰のプロ大会や世界選手権・全日本選手権の動画からご紹介します。
■トップロールのやり方と手首の鍛え方
黄色のユニフォームを着たほうの選手がトップロールを使う選手ですが、まずは、この動画をじっくりとご覧ください。
アームレスリングの予備知識がない方にとっては予想外の方向・軌道への技だと思います。
一般的な方の「腕相撲のイメージ」は手首を巻き込んで、横方向に倒すものだと思いますが、トップロールでは自身の手の甲が上になる方向に手首をロールするとともに後ろ上方に相手の手を吊り上げ、そこから相手の指先→手首→肘の順に伸ばして斜め後方に倒していきます。
自身の一番強い部分「手首付近」で相手の一番弱い部分「指先」を攻撃するのですから、倍以上の筋力差があっても倒せてしまいます。
●トップロールに必要な前腕の筋肉
トップロールに必要となるのが、回内回旋の筋力と外転(橈屈)の筋力です。
具体的な鍛え方としては、手首を立てる動作のリストハンマー、手首を捻る動作のリストスピネーションといった種目でトレーニングを行います。
また、これらを実戦的な一連の動作として鍛えることのできる、トップロール専用のトレーニング器具(ケーブルアタッチメント)もあります。
●トップロール専用トレーニング器具
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■フックのやり方と手首の鍛え方
こちらは、むかって右側の選手が使うフックがきれいに決まって勝利している動画です。フックは一般的な方の「腕相撲の概念」に近いテクニックで、一見すると単に手首を巻きつけて横向きに倒しているように見え、技ではなく力任せに見えるはずです。
しかし、実際には組んだ手のなかでミリ単位の動きを必要とするテクニックであり、非常に多くのバリエーションがあります。
もっともスタンダードなフックが上の動画の「下噛み」と呼ばれるもので、スタートの瞬間に①拳を上方へ突き上げながらの前腕回外回旋(手の平が自分に向く方向の捻り)→②指先を数ミリ奥へ滑らせながら手首屈曲(ストローク)を行います。
これにより、相手の親指付け根は自身の手首の下敷きになった状態になります。一見すると互角の手首の巻き合いに見えますが、技が決まっているほうはミリ単位で「自分だけ噛んでいる(手首を巻いている)」に等しい状態となっています。
その後、横方向へ倒しますが、直線ではなく相手の親指を外側に倒す方向に捻りながら曲線軌道で倒します。アームレスリング業界では、この動きが雑巾を絞る動きに似ていることから「絞り倒す」とも表現します。
●フックに必要な前腕の筋肉
フックに必要となるのが回外回旋の筋力と手首の屈曲(掌屈)の筋力です。
具体的には、手首を曲げる動作のリストカールや、前腕を回外させる動作のダンベルコンセントレーションカールなどで鍛えます。
また、これらを実戦的な一連の動作として鍛えることのできる、フック専用のトレーニング器具(ケーブルアタッチメント)もあります。
●フック専用トレーニング器具
ピラミッドセット法|ドロップセット法|アセンディングセット法|ディセンディングセット法|フォースドレップ法|レストポーズ法|パーシャルレップ法|チーティング法|スーパーセット法|コンパウンドセット法|トライセット法|ジャイアントセット法|予備疲労法|部位分割法
■サイドアタックのやり方と手首の鍛え方
こちらは、実際の試合でのアームレスリング全日本チャンピオンのサイドアタック(横倒し)の様子です。
トップロールとフックの中間的な特徴を持ち、一気に真横に倒す技で、もっとも筋力が必要となるテクニックです。
筆者の友人でもある動画の全日本チャンピオン(中島選手)が愛用しているのが、前述のトップロールハンドル・フックハンドル、そしてサイドアタックに重要となるストローク力を鍛えるための最新トレーニング器具「ウルトラグリップ」&「ストラップローラー」です。
■腕相撲の解説記事
【腕相撲の勝ち方とコツ】得意なBIG3種目別にアームレスリングの技と筋トレメニューを解説
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執筆者情報
上岡岳
アームレスリング元日本代表
ジムトレーナー・生物学学芸員
JAWA日本アームレスリング連盟常任理事|レフリー委員長・広報広報部長
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