多くの男性が大胸筋を鍛えて胸周りの見栄えを良くしたいと考えています。そして、腕立て伏せやダンベル筋トレに取り組む人も少なくありません。結論から言えば、盛り上がった見栄えする大胸筋を作るためには、大胸筋上部を集中的に鍛えると近道です。
大胸筋は面積の広い筋肉で、上部・下部・内側・外側に分けられます。そして腕立て伏せでもダンベル筋トレでも、大胸筋上部を効果的に鍛えるフォーム・種目があります。今回は、大胸筋上部に着目して、自宅での自重・チューブ・ダンベル筋トレからジムでのバーベル・マシントレまで、そのトレーニング方法を詳しくご紹介します。
目次
- 1 ■大胸筋上部の働き
- 2 ■大胸筋の筋トレの負荷回数設定
- 3 ■大胸筋上部を鍛えるメリット
- 4 ■大胸筋上部を効率的に強化するためのコツ
- 5 ■足上げ腕立て伏せ
- 6 ■インクラインチューブチェストプレス
- 7 ■インクラインチューブチェストフライ
- 8 ■バランスボール腕立て伏せ
- 9 ■インクラインダンベルプレス
- 10 ■インクラインダンベルフライ
- 11 ■リバースグリップダンベルプレス
- 12 ■インクラインベンチプレス
- 13 ■リバースグリップベンチプレス
- 14 ■インクラインリバースグリップベンチプレス
- 15 ■インクラインマシンチェストプレス
- 16 ■インクラインスミスマシンプレス
- 17 ■スミスマシンリバースグリッププレス
- 18 ■ローケーブルフライ
- 19 ■インクラインケーブルチェストプレス
- 20 ■大胸筋の鍛え方記事
■大胸筋上部の働き
●大胸筋の部位詳細
●腕を斜め上に押し上げる
大胸筋上部の主な働きは「腕を斜め上に押し上げる」動作です。ですので、大胸筋上部を効率的に鍛えるためには、この動作の軌道の筋トレ種目を行えばよいことになります。
この「腕を斜め上に押し上げる」動作の軌道をとる主な筋トレ種目が「足あげ腕立て伏せ」「インクラインダンベルプレス」「インクラインダンベルフライ」「インクラインベンチプレス」「インクラインスミスマシンプレス」などになります。
■大胸筋の筋トレの負荷回数設定
●まずは1セット15回で慣れれば8回
筋トレをして筋肉を太く強くする場合にターゲットにする筋繊維は、速筋と呼ばれる瞬発的な動作をする筋繊維です。速筋にはFGタイプ(筋繊維TYPE2b)とFOタイプ(筋繊維TYPE2a)とがあり、それぞれに最適な負荷と反復回数は、前者で8~10回、後者で15回前後で限界がくる重さです。
なお、初心者の方は、まず15回で限界がくる負荷設定で鍛え始め、慣れてくればより高負荷の8回で限界がくる重量設定で鍛えるのがおすすめです。
■大胸筋上部を鍛えるメリット
●大胸筋全体がリフトアップされる
大胸筋上部を鍛えると、大胸筋全体がリフトアップされますので、外見的な見栄えがよくなります。また、鎖骨すぐから胸の盛り上がりが始まるようになり、横から見たときの胸板の厚みが増すのもメリットです。
筋トレの呼吸法|筋トレの頻度|筋トレの順番|筋トレの回数設定|筋肉の名前と作用|筋肉の超回復期間|筋トレの食事例|筋トレの栄養学|男性の筋トレメニュー|女性の筋トレメニュー
■大胸筋上部を効率的に強化するためのコツ
●拮抗筋の僧帽筋もしっかりとトレーニングする
筋肉は必ず逆の作用をする筋肉(拮抗筋)と対になって存在しており、その片側の発達が遅れていると対の筋肉も発達しにくくなります。
大胸筋上部の拮抗筋は背中の筋肉・僧帽筋ですので、大胸筋下部のトレーニングばかりするのではなく、僧帽筋もしっかりと鍛えていくことが「急がば回れ」で非常に有効です。
ピラミッドセット法|ドロップセット法|アセンディングセット法|ディセンディングセット法|フォースドレップ法|レストポーズ法|パーシャルレップ法|チーティング法|スーパーセット法|コンパウンドセット法|トライセット法|ジャイアントセット法|予備疲労法|部位分割法
■足上げ腕立て伏せ
●腰をやや曲げると効果的
自宅でも器具なしで簡単にできる大胸筋上部の自重トレーニングが足上げ腕立て伏せです。
疲れてくると、ついヘソを突き出したフォームになりがちですが、それでは軌道としては普通の腕立て伏せと変わらなくなります。ですので、ポイントはやや腰を曲げるくらいの意識を持って動作を行うことです。
●膝上げ膝つき腕立て伏せ
足上げ腕立て伏せはかなり高強度の自重トレーニングですので、筋力的に行うのが難しい方は、この動画のような膝上げ膝つき腕立て伏せを行うことをおすすめします。
●パイクプッシュアップ
パイクプッシュは肩の筋肉・三角筋の自重トレーニングとして知られていますが、大胸筋上部に対しても効果的で、なおかつ足上げ腕立て伏せよりも強度が低いので、特に初心者の肩におすすめです。
こちらが、パイクプッシュアップの模範的な動画ですので、まずはご参照ください。
パイクプッシュアップは、大胸筋上部が作用する軌道である「腕を上に押し出す軌道」で負荷を加えるために、大きく腰を曲げた腕立て伏せの状態で構えます。
そこから、斜め前方に上半身を下ろしていき、肘が90度になるまで上半身を下ろしたら同じ軌道で斜め後方に戻ります。
また、パイクプッシュアップで最も気をつけるべきポイントは、肩関節への負担を避けるために、肘が体幹の後ろ側にこないようにすることです。常に肘が身体の前面にある状態で動作を行ってください。
こちらのパイクプッシュアップは、足上げパイクプッシュアップと呼ばれるのもので、通常のパイクプッシュアップよりも強い負荷を大胸筋上部にかけることができます。
■インクラインチューブチェストプレス
●大胸筋上部に負荷が集中するゴム筋トレ
大胸筋上部に効果の高いチューブチェストプレスのバリエーションが、斜め上方に腕を押し出す軌道で行うインクラインチューブチェストプレスです。チューブを踏んで固定する足の位置で、腕を押し出す角度が微調整できます。
■インクラインチューブチェストフライ
●大胸筋上部内側に効果的なゴム筋トレ
また、こちらの動画のように、床にトレーニングチューブを取り付け、斜め上方に腕を閉じる軌道で行うインクラインチューブチェストフライは、大胸筋の上部内側に負荷を集中させることが可能です。
大胸筋上部内側には「バストを寄せて上げる」作用がありますので、男女を問わずバストアップ筋トレとして最適な種目の一つです。
■バランスボール腕立て伏せ
●体幹インナーマッスルにも効果的
台などのかわりにバランスボールの上に足を乗せて腕立て伏せを行うと、不安定な動作のなかで体幹インナーマッスルも同時に鍛えることができます。
■インクラインダンベルプレス
●背中から腰ををベンチにしっかりつけるのがポイント
自宅でもできるダンベル筋トレのなかで、大胸筋上部に最も効果的なのがインクラインダンベルプレスです。
苦しくなると、つい腰を浮かせてブリッジを作りがちですが、それだと軌道的には通常のダンベルと変わらなくなってしまいます。背中から腰をしっかりとベンチにつけるように意識してください。
なお、自宅トレーニングでインクラインベンチを持っていない場合は、ソファーなどを流用して大胸筋上部を鍛えることも可能ですが、やはり、効率的に鍛えるためにはインクラインベンチを用意したいものです。
■インクラインダンベルフライ
●刺激に慣れてきたら導入を
こちらの動画のインクラインダンベルフライも大胸筋上部には効果的なダンベルトレーニングです。
インクラインダンベルプレスの後の追い込みや、刺激に大胸筋が慣れてきた時に導入するとよいでしょう。
なお、背中から腰をしっかりベンチにつけるようにするのが、インクラインダンベルプレスと同様に肝心です。
■リバースグリップダンベルプレス
●縦方向の刺激で大胸筋上部を鍛える
通常のダンベルプレスとは反対向きにダンベルを保持するリバースグリップダンベルプレスは大胸筋上部に縦方向のとても強い刺激を与えることができる筋トレメニューです。二次的に上腕三頭筋長頭にも高い効果があります。別名、ダンベルトライセップスプレスとも呼ばれます。
■インクラインベンチプレス
●ジムで大胸筋上部を鍛える定番
ジムで大胸筋上部を鍛えるのに、まずおすすめしたいのがこちらの動画のようなインクラインベンチプレスです。
インクラインダンベルプレスに比べ、より高重量がかけられるので効率的に大胸筋上部を鍛えることが可能です。
■リバースグリップベンチプレス
●縦方向の収縮で大胸筋上部を追い込む
リバースグリップベンチプレスは、縦方向に大胸筋上部を刺激できることから、近年海外を中心に人気の高まっているーベルトレーニングです。
はじめからリバースグリップで握ってラックアウトすると危険ですので、必ず動画のようにノーマルグリップでラックアウトした後に握りなおすようにしてください。また、挙上中はほぼ親指一本でホールドすることになり、誤って顔に落下させると危険ですので、セーフティーバーを顔の高さ以上に設定することを推奨します。
■インクラインリバースグリップベンチプレス
●縦方向の収縮と斜め上軌道で鍛える
インクラインベンチプレスとリバースグリップベンチプレスを融合させた大胸筋上部を鍛えるために特化したトレーニング方法がインクラインリバースグリップベンチプレスです。大胸筋の発達停滞期に是非チャレンジしてみてください。
■インクラインマシンチェストプレス
●マシントレーニングの入門種目
インクラインマシンチェストプレスは、初心者の方でも取り組みやすい、大胸筋上部トレーニングの入門種目とでも言うべきトレーニング方法です。
しっかりと肩甲骨を寄せ、肩から初動してしまわないように気をつけて行ってください。
■インクラインスミスマシンプレス
●最も大胸筋上部に高負荷がかけられる種目
インクラインベンチプレスよりもさらに高負荷を大胸筋上部にかけることができるのがインクラインスミスマシンプレスです。バーベルの揺れをマシンのレールが支えてくれるので、大胸筋上部を収縮することだけに集中できます。
スミスマシンのある環境でトレーニングをしている人は、ぜひ大胸筋上部トレーニングに取り入れてください。
■スミスマシンリバースグリッププレス
●発達停滞期におすすめの種目
リバースグリップ系のプレス種目として最もおすすめなのがスミスマシンでのリバースグリップベンチプレスです。ダンベルやバーベルなどのフリーウエイトでリバースグリッププレスをすると、どうしても動作が不安定になりがちですが、スミスマシンの場合はブレをマシンのレールが支えてくれるので非常に動作がスムーズです。
■ローケーブルフライ
●仕上げに最適なアイソレーション種目
最後にご紹介するのがローケーブルフライです。斜め上方へケーブルフライを行うことにより、大胸筋上部に負荷を集中できます。アイソレーション種目(単関節運動)である本種目は、大胸筋トレーニングの仕上げとしておすすめです。
動作の最大のポイントは、腕を閉じたポジションで両手を合わせ、そこからさらに腕を斜め上方にやや押し出し、大胸筋を完全収縮させることです。
■インクラインケーブルチェストプレス
●刺激を変えたい時におすすめ
インクラインケーブルチェストプレスは、ややマイナーな種目で、なおかつ二台のケーブルマシンが必要ですが、大胸筋上部が刺激に慣れてしまって起こる発達停滞期に組み込むと、非常に効果的な種目です。
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執筆者情報
上岡岳
アームレスリング元日本代表
ジムトレーナー・生物学学芸員
JAWA日本アームレスリング連盟常任理事|レフリー委員長・広報広報部長
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