背筋のトレーニングを高負荷で行うと、背中の筋肉である僧帽筋は筋肥大し分厚い上半身に、広背筋は横にせり出しゴリラのような逆三角形になってしまいます。細マッチョを目指す場合の背筋トレーニングは、筋肥大しない適切な負荷回数設定と逆三角形にならないような種目を選び、背中を引き締める方法で行う必要があります。その具体的な筋トレメニューをご紹介します。
目次
■細マッチョとは?
細マッチョとは厳密な定義はありませんが、一般的に腹筋が割れており、過度に筋肥大をしていないものの、程よく筋肉がついた体型のことで、体脂肪率が15%前後、BMI値が20以内が指標です。
なお、身長ごとの具体的な細マッチョの体重の目安は下記の記事でご確認ください。
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■背筋の構造と作用
●広背筋の構造・部位詳細
●僧帽筋の構造・部位詳細
●長背筋群・脊柱起立筋の構造・部位詳細
●僧帽筋・広背筋・長背筋群から構成される
背筋の筋肉は、首の後ろから肩にかけて分布する僧帽筋、脇から腰にかけて逆三角形に分布する広背筋、僧帽筋・広背筋の深層にあり脊椎沿いに分布する長背筋群から構成されています。その作用と特徴は以下の通りです。
〇僧帽筋:腕を下から引く作用と肩甲骨を引き寄せる作用があり、筋肥大すると横から見て分厚い上半身になります。
〇広背筋:腕を上や前から引く作用があり、特に側部が筋肥大すると逆三角形の体型になります。
〇長背筋群:体幹を伸展させるとともに姿勢を維持する作用があり、鍛えても筋肥大は起こしません。
なお、長背筋群は広背筋や僧帽筋のトレーニングのなかで自然と鍛えられていくため、特に筋肥大を追求しない細マッチョトレーニングにおいては、単体で鍛える必要性はあまりありません。
さて、細マッチョとしての外見に影響するのは僧帽筋と広背筋ですが、この二つの筋肉を筋肥大させずに引き締めキレを出していくのが、細マッチョ筋トレのポイントになります。このためには、次の項目で解説する筋トレの負荷・回数設定が重要となります。
■引き締め筋トレで鍛える筋繊維
●FOタイプの速筋を鍛えるのが正解
筋繊維には速筋と遅筋の二種類があり、速筋は鍛えるとよく筋肥大するFGタイプと、鍛えると筋密度が上がりやや筋肥大するFOタイプに分けられます。細マッチョ筋トレで鍛えていくのは基本的にFOタイプの速筋になり、そのためには15回前後で反復動作の限界がくくる負荷重量で鍛えていくのが適切です。
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■細マッチョ向けの背筋トレーニング種目とは
●僧帽筋と広背筋側部を強く刺激しない種目を行う
細マッチョ志向の身体つくりで避けないといけないのは、分厚く盛り上がった僧帽筋と横にせり出した広背筋にならないようにすることです。このためには、デッドリフトやショルダーシュラッグのような僧帽筋に高負荷がかかる種目や、ワイドグリップでの懸垂のような広背筋側部に高負荷がかかる筋トレ種目を避けなければいけません。
次の項目では、これらを避けた細マッチョ体型つくりに最適な背筋トレーニング種目をご紹介していきます。なお、負荷回数設定は15回で限界がくるようにしてください。
ピラミッドセット法|ドロップセット法|アセンディングセット法|ディセンディングセット法|フォースドレップ法|レストポーズ法|パーシャルレップ法|チーティング法|スーパーセット法|コンパウンドセット法|トライセット法|ジャイアントセット法|予備疲労法|部位分割法
■細マッチョむけ背筋トレーニング種目
●逆手懸垂
広背筋の側部を刺激せずに背筋群を鍛えるのに最適なのが逆手での懸垂(チンアップ)です。顎をやや上げて、肩甲骨を寄せる意識で行うのがポイントです。
また、逆手懸垂が15回できないという方は、こちらのような机を使った斜め懸垂も効果的です。
●チューブローイング
チューブローイングは、僧帽筋と広背筋中央部に効果がある細マッチョの背筋トレーニングに最適な種目ですが、これらの筋肉部位は背筋が最大収縮したポジションで強く負荷を受けます。
このため、胸を張り肩甲骨を完全に寄せる動作をすることが重要なポイントです。
●チューブベントオーバーロー
広背筋のなかでも中央部に効果的なチューブトレーニングがチューブベンチオーバーローです。筋トレの基本スタイルであるニーベントスタイルで行います。
なお、ニーベントスタイルは①胸を張る②背中を反らせる③お尻を突く出す④上を見る⑤膝をつま先より前に出さない、というのがポイントで、多くの筋トレで必要な基本フォームですので、この機会に習得しておくとよいでしょう。
●チューブリバースフライ
自重トレーニング・ダンベル筋トレ→チューブトレーニングとトレーニングを進めてきた最後に、総仕上げとして最適な種目がチューブリバースフライです。ゆっくりとした動作で確実に筋肉を追い込み、オールアウトしてください。
●ダンベルデッドリフト
ダンベルデッドリフトは、僧帽筋および広背筋中央部に効果があり、さらに長背筋群(脊柱起立筋など)にも効果的です。
ダンベルを使って、バーベルデッドリフトに近い効果が得られる、自宅での高負荷トレーニングとして有効です。
動作での注意点は、腰や背中を丸めないことです、胸を張り背中を反らせ、お尻をつきだしたフォームを維持したまま動作を行うことが大切で、目線をやや上にむけるようにすると、この姿勢が維持しやすくなります。
また、腰に不安がある場合は、ダンベルを前ではなくて足の真横に下ろす方法が有効です。
ダンベルデッドリフトは、動画のような膝の外側でダンベルを上下させるヨーロピアンスタイルが一般的ですが、より下半身の筋力も使って高重量でトレーニングを行いたい場合は、足を大きく開いて構え、足の間にダンベルを構えるワイドスタンスダンベルデッドリフト(通称スモウデッドリフト)がおすすめです。
●ダンベルローイング
ダンベルを使い、広背筋側部をあまり刺激せずに背筋を鍛えられるのがダンベルローイングです。胸を張り、やや背中を反らせて前を見ることで自然と正しいフォームになります。
●ダンベルショルダーシュラッグ
僧帽筋に高い効果のあるトレーニング種目がダンベルショルダーシュラッグです。ポイントは、最大収縮時に肩甲骨を寄せるとともにアゴをあげ、僧帽筋を最大収縮させることです。
本種目は僧帽筋の単関節種目(アイソレーション種目)ですので、肩関節は動かさず、肩甲骨の動作に集中するようにしてください。
なお、背筋トレーニング全てに言えることですが、背筋の収縮方向と連動する首の動きは後ろに傾ける方向となります。背筋トレニングのセット終盤で苦しくなると、つい顎を引きがちですが、効率的に背筋群を収縮させるためには、フィニッシュポジションで顎を上げる必要があります。
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執筆者情報
上岡岳
アームレスリング元日本代表
ジムトレーナー・生物学学芸員
JAWA日本アームレスリング連盟常任理事|レフリー委員長・広報広報部長
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