バーベル筋トレBIG3のなかでも、「キングオブトレーニング」と呼ばれるバーベルスクワットの、筋肉部位別に効果的な種類・バリエーションとそのやり方をご紹介するとともに、筋トレ目的別に最適な重量負荷・回数設定について解説します。
目次
■バーベルスクワットが効果のある筋肉は?
●バーベルスクワットは大腿四頭筋・大腿二頭筋・臀筋群などに効果的
バーベルスクワットは下半身全体に効果的なトレーニングですが、特に太もも前側の大腿四頭筋、太もも裏側のハムストリングス(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)、尻の筋肉・臀筋群に効果があります。
また、二次的にふくらはぎの筋肉・下腿三頭筋や体幹インナーマッスル(腹筋群・脊柱起立筋)など広範囲に効果的で、このことが「キングオブトレーニング」と称される理由です。
■バーベルスクワットのやり方と効果的なフォーム
こちらがバーベルスクワットの模範的な動画です。まずはご参照ください。なお、動画は解説のためにセーフティーラックなしで行っていますが、実際のトレーニングでは安全のために必ずセーフティーラックのある環境で行ってください。
スクワット系動作のポイントを示しているのがこちらの画像ですが、そのポイントは以下のようになります。
バーベルシャフトは首よりもやや下の僧帽筋に乗せ、胸を張り背中をやや反らせるように担ぎます。そこから、膝がつま先よりも前に出ないことに注意してしゃがんでいきますが、真下にしゃがむイメージではなく、椅子に座るような軌道で尻を斜め後方に突き出しながらしゃがんでいきます。
パワーリフティング競技ではボトムまでしゃがむ必要がありますが、一般的なトレーニングで行う場合は、太ももが床と並行になる深さを目安にしてください。
【本種目のやり方とフォームのポイント】
①肩幅程度に足を開き、胸を張って肩にバーベルを担いで構える
②膝がつま先よりも前に出ないようにお尻を後ろに引き、上半身は前傾姿勢をとりながらしゃがんでいく
③太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、背中が丸くならないように上を見て立ち上がる
■バーベルスクワットの動作注意点とポイント
バーベルスクワットは下半身に絶大な効果がある反面、誤ったフォームで行うと非常にリスキーな種目で、まずは膝、そして腰の故障に直結します。
先に解説した基本的なフォームができるようになるまでは、トレーニングのための練習と考えて、軽めの重量でフォーム練習をしっかりと行うことをおすすめします。
バーベルスクワットを行うなかで、まず注意しなくてはいけないのは「つま先よりも前に膝を出さないこと」と「背中を丸めないこと」です。それぞれのイメージしやすいポイントは「お尻を突き出す」と「上を見る」です。
また、フォームのチェックについては自己流にならず、専門知識のあるトレーナーや指導者のもとで行ってください。
なお、どうしても膝が前に出てしまうという方は、バーベルプレートをかかとで踏んで行うことで対処できます。
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■バーベルスクワットの目的別の重量負荷設定
筋トレで鍛える骨格筋を構成している筋繊維には以下の三種類があり、それぞれの特徴は次の通りです。
①速筋繊維TYPE2b
約10秒前後の短い時間に爆発的・瞬発的な収縮をする特徴があり、トレーニングにより強く筋肥大します。10回前後の反復回数で限界がくる重量設定で鍛えます。
②速筋繊維TYPE2a
10~60秒ほどのやや長時間で瞬発的な収縮をする特徴があり、トレーニングによりやや筋肥大します。15回前後の反復回数で限界がくる重量設定で鍛えます。
③遅筋繊維TYPE1
60秒以上数分・数時間の持続的・持久的な収縮をする特徴があり、トレーニングにより筋肥大せずに筋密度が上がります。20回以上の反復回数で限界がくる重量設定で鍛えます。
つまり、筋肥大バルクアップ目的なら①、細マッチョ筋トレや女性の部分ボリュームアップ目的なら②、減量引き締めダイエット目的なら③、の負荷回数設定で筋トレを行っていきます。ただし、腹筋郡・前腕筋郡・下腿三頭筋など日常での使用頻度が高い部位は、基本的に20回以上高反復回数で鍛えます。
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■バーベルスクワットの種類やバリエーション
●内転筋群にも効果的なワイドスタンススクワット
ワイドスタンススクワットは、肩幅よりも足二つ分ほどの広い足幅で行うスクワットのバリエーションで、大腿四頭筋の外側や内ももの筋肉・内転筋群に効果的です。
つま先はやや外向きに開いて構え、膝は必ずつま先と同じ方向を向くように注意してください。
●ハムストリングスに効果的なバーベルブルガリアンスクワット
片足を台の上などに乗せて行うバーベルブルガリアンスクワットは、数あるスクワットバリエーションのなかでも非常に強度の高い種類です。
基本的なフォームは通常のバーベルスクワットと同じですが、前にした足で重量を支えつつも、できるだけ後ろにした足を使って動作するというのがポイントです。
後ろにした足に意識を集中して動作を行うことで、太もも裏側のハムストリングスから臀筋群にかけて非常に強い負荷をかけて聞かせることができます。
●大腿四頭筋に効果的なジェファーソンスクワット
バーベルスクワットは安全に、かつ効果的に行うためにはそれなりのフォーム練習と技術が必要です。これは、バーベルの重心(シャフトの中心)と自身の身体の重心(ヘソ)を垂直に揃える必要があるからです。
しかし、この動画のようなジェファーソンスクワットであれば、ベーベルが低い位置で保持できるだけでなく、比較的簡単にバーベルと身体の重心を揃えることができます。
リフティング競技などにこだわらず、ただ単に脚に効かせたいだけのトレーニーの方には、このバリエーションがリスクも少なくおすすめです。
■スミスマシンを使ったバーベルスクワット
●スミスマシンスクワット
スミスマシンスクワットは、シャフトの軌道が固定されているため、ウエイトのブレを気にせず高負荷でトレーニングを行えます。
反面、軌道のズレは全て自分の腰や膝に返ってきますので、ポジションが悪いと関節に強い負担がかかります。
膝関節の保護のため、スミスマシンスクワットではシャフトの真下に入らず、やや足を前に置き、軽く後傾して持たれるようなフォームで行うことが大切です。
また、つま先の向きと膝の向きがずれていると、膝関節に捻り負荷がかかってしまいますので、内股や外股にならないように気をつけ、常に膝の向きをつま先と揃えるように意識してください。
なお、本セットの前にシャフトだけで軌道の確認を行うことをおすすめします。
●スミスマシンハックスクワット
スミスマシンハックスクワットは、通常のやり方よりもさらに足を前に出し、体重をマシンにあずけるようなフォームで行うバリエーションです。
ノーマルのスミスマシンスクワットよりも、大腿四頭筋にかかる負荷の比率が増加します。
●ワイドスタンススミスマシンスクワット
ワイドスタンススクワットは、通常よりも大きく足幅を開いて行うバリエーションで、内もものインナーマッスルである内転筋群に効果的なバリエーションで、女性の下半身痩せエクササイズとしてもおすすめです。
●スミスマシンブルガリアンスクワット
スミスマシンブルガリアンスクワットは、片方の足を前方に出し、もう片方の足を後方に引いて行うバリエーションです。特に、後ろにした足を主働にして動作することで、ハムストリングスから臀筋群にかけての下半身後面に効果的で、女性のヒップアップエクササイズとしても人気です。
●スミスマシンハーフスクワット
スミスマシンハーフスクワットは、太もものラインが床と並行になる深さで折り返すバリエーションで、ボトムまで下がるやり方に比べると動作が比較的簡単になるため、大腿四頭筋主体に刺激を与えたい場合におすすめの種類です。
●スミスマシンニーリングスクワット
スミスマシンニーリングスクワットは、膝をついて行うバリエーションで、特に膝に不安のある方におすすめです。
ただし、高負荷で行うのには適していませんので、女性の下半身痩せエクササイズとして行ってください。
■トップアスリート執筆記事
下記の記事はパワーリフティング全日本王者の方に執筆いただいた、バーベルスクワットに関する非常に詳細な解説記事です。是非、ご参照ください。
▼アスリート執筆記事
【バーベルスクワットのフォームとメニュー】元全日本王者が効果的な回数・セット数も解説
■バーベルスクワットにおすすめの筋トレグッズ
●ニースリーブとパワーベルトがおすすめ
スクワットはセット中にフォームが崩れてしまうと膝に対して非常に強い負担となります。また、正しいフォームで行ったとしても、ボトムまでしゃがむような深いスクワットを行うと、どうしても膝への負担はゼロではありません。
こちらのニースリーブはパワーリフティングの試合でも使用するような非常にサポート力の高いタイプです。自重+バーベルのウエイトによる負荷は想像以上に高いものです。サポート力の高いニースリーブを着用し、万全の状態でベストなパフォーマンスのバーベルトレーニングに臨まれることをおすすめします。
腰を保護するだけでなく、腹圧を高め最大筋力を向上させてくれるトレーニングギアがトレーニングベルトです。バーベル筋トレにおいては、ほぼ必須のギアとも言えますので、ぜひ入手することをおすすめします。なお、トレーニングベルトはトレーニーにとって「筋トレの友」とも言える存在になってきます。はじめから安易なものを選ばずに、考えているよりもワンランク・ツーランク上のものを入手することがベルト選びの秘訣です。
■おすすめの記事
■バーベルトレーニングの基礎知識
●バーベルトレーニングの長所と短所
バーベルトレーニングは全てのウエイトトレーニングの基本となる筋トレ方法で、全身を高負荷で鍛えられ、なおかつ動作軌道のブレやズレを自身で支える必要があるため、体幹インナーマッスルも強くなるというメリットがあります。
このため、中級者~上級者には必須のトレーニング方法と言えます。反面、マシントレーニングのように軌道が決まっていないため、フォームや動作を習得するのには正確な指導を受け、慣れと経験が必要になります。
バルクアップ筋肥大・減量ダイエットいずれの目的の場合でも、いずれは習得したいトレーニング方法と言えます。
なお、他のバーベルトレーニングメニューについては、下記の種目別解説記事をご参照ください。
■バーベルトレーニング全種目一覧
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執筆者情報
上岡岳
アームレスリング元日本代表
ジムトレーナー・生物学学芸員
JAWA日本アームレスリング連盟常任理事|レフリー委員長・広報広報部長
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